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第壱話 夢で肉食系淫乱女児に奪われた童貞はノーカンですか?

 東京湾沖合に作られた海上都市イザナギ。

 新エネルギーの鉱脈の発見を発端に、レアメタルの採掘等も目的に作られた日本の、いや世界の最先端技術の粋を集めた場所である。

 霊和拾柒年春。

 日本が独占するこの新エネルギーにより、東京を中心に空前の好景気が訪れていた。

 特に海上都市イザナギは急速に異様な発展を遂げていた。

 一般人が立ち入れない区域は勿論ある。

 だがそれ以外の区画には商業施設や遊園地、高層ホテル等が出来上がる。

 そして新エネルギーの研究を進める為の設備も充実し、学校も併設された。

 イザナギ大学と、附属高等学校である。

 この新天地には数多の人間が押しかけ、正に地上の楽園となる。

 だが光有ればまた闇も有る。

 成功のリスクは、誰もが予想もしないカタチで現れたのだった。


ウゥーーーーーーーーーーーーーーーー!

 聴いた者の不安を掻き立てる様なサイレンが鳴り響く。

 確かに危機感を煽らねばならないのだから、役割としては正しい。

「あーまたか。月一くらいかー?」

 クロウは慣れたものでそうぼやく。

 クロウはイザナギ大学附属高等学校一年生である。

 全寮制のイザナギ大学附属高等学校…通称イザ高へこの春入学したばかりのピカピカの新一年生十五歳だ。

 今は放課後であり、宛もなくぷらぷらしていたところだった。

 友達も居ない訳ではないが、部活にも入らず帰宅部をしている。

 しかし学校附属のマンションは真横にある為、学生服のまま繁華街へと繰り出していたのだ。

「怪獣かー。カメラで撮ってネックスに上げたらいいね貰いまくれるのになー」

 クロウは学校支給のスマートフォンを弄る。

 そう、この海上都市イザナギには定期的に怪獣が襲って来るのだ。

 この悪い冗談みたいな珍事件は世界も注目している。

 しかし実態は不明だ。

 怪獣が襲って来るのはイザナギの重要施設の為、あらゆる報道機関は立ち入りを禁止されている。

 さらに忍び込んで撮影しようにも、イザナギの監視システムですぐに発見され、強力な電磁波と妨害電波により高価な機材は破壊される。

 報道ヘリすらイザナギの制空権に侵入出来ないのだ。

 週刊誌やゴシップ番組に出るのは、東京湾から超望遠で撮ったなんだか良く解らない影のみだ。

 テレビでは勿論怪獣等信じられてはおらず、イザナギ側が何らかの秘密実験を行ってるとか、自作自演の話題作りとか、アメリカや他国のスパイ工作船だとか、眉唾でデタラメな話題しかない。

 都市外から持ち込んだ通信機器ですらジャミングの餌食になるのだ。

 都市から支給されたスマートフォンを持って重要施設に入り込もうとすれば、怪獣に辿り着く前にGPSで発見され警備ロボットに締め出されるだろう。

『一般人の方は速やかに非難して下さい。最寄りの避難施設へは案内図をご覧下さい』

「はいはいっと」

 近くの変なモニュメントに仕込まれたスピーカーから指示が飛ばされ、通行人達は思い思いの避難場所へ向かう。

 クロウも適当にアプリを起動し案内図を確認する。

 日本人はこう言う時に素直に従う民族だ。

 小さい頃から避難訓練に慣らされているからだろう。

 それ以外にも理由がある。

 避難施設が物凄く快適なのだ。

 食糧は備蓄されており、宿泊施設もある。

 ネットで電子書籍やゲームも楽しめる。

 入浴も出来るし、併設ジムで筋トレも出来る。

 流石に人間スタッフは居ないが、全自動マッサージ機やエステマシンまである。

 それが全て無料で楽しめる。

「確かにあそこは、俺ここに住む…になるわな」

 避難指示は長くても半日くらいなので、昼過ぎにサイレンが鳴って避難所に行っても、夜までには帰宅出来る。

 毎週なら少し嫌になるが、月一くらいなら堂々と仕事や学校をサボれる公然の有給休暇の様な感覚だ。

「ん〜どうせなら大きい施設のが良いな」

 勿論避難施設全てにエステマシンやジムが有る訳ではない。

 場所によっては風呂も無く、雑魚寝を余儀なくされる様な施設もある。

(今四時か…なら夜十時くらいまで居座れるかな?)

 避難施設には一泊くらいはさせて貰える。

 ネットで読みかけの漫画を一気読みしても良いし、ネットゲームに興じても良い。

 一人遊びが好きなクロウからするとこの避難は良い事尽くめなのであった。

「にゃーお」

「ん?」

 聞き慣れない声を聴いてクロウが反応する。

「猫?猫が居るのかっ!?」

 クロウは猫好きだった。

 幼少期から猫を飼っており、初代の猫が死んでからも家族の誰かが野良猫を拾って来たりして猫が切れた事は無い。

 しかし今は、実家に泣く泣く置いて来た愛猫とも数ヶ月会えていない。

 クロウは何故か、イザ高への特別推薦枠が通りこの海上都市へとやって来た。

 世界の最先端に居る優越感も然る事ながら、スマートフォンや高級マンションの無料支給、学費全額免除に大学進学も確約されている恩恵はデカい。

 クロウ本人も、庶民的な両親も大喜びした。

 しかし、クロウにとって唯一の不満は、猫が居ない事だった。

 イザナギでは研究目的以外の動物の持ち込みは禁止されており、学生身分の彼ではペットで猫を飼う事は不可能である。

 脱走した動物はすぐに捕獲され保護施設へと送られる。

 その為このイザナギには野良猫や野良犬は一匹も存在していないのだ。

「もしかして、猫カフェから脱走したのかな?」

 繁華街には猫カフェも存在しているが、クロウの様に猫に飢えた者達が蜘蛛の糸に群がる亡者の様に殺到しており、半年先まで予約はいっぱいなのだ。

 その為クロウは今現在猫に飢えていた。

 友達よりも彼女よりも、今はとにかく猫が欲しい。

 美少女のおっぱいと実家のデブ猫を並べられたら、今なら先ず間違い無く愛猫の腹を吸う自信があった。

「お〜い、猫ちゃ〜ん、出ておいで〜?」

 そうしてクロウは、キョロキョロ見回りながら声の出処を探し始めたのだった。


「にゃーん、にゃーん」

「おーい、ちっちっちっ」

 クロウは舌で音を鳴らしながら地面や塀の上をチラチラ見て猫を探す。

 声はすれども姿は見えず。

 不思議な猫の鳴き声に導かれてクロウは進む。

「あっ!居たっ!」

 そろそろ猫禁断症状による幻聴なのか疑い出した頃、目の前に遂に真っ白な仔猫が現れた。

「にゃーん」

 仔猫はクロウの方を振り向いて一声鳴くと、再びトテトテと歩き出す。

「危ないぞ〜怪獣に食べられちゃうぞ〜」

 クロウは突然の猫との出会いに心を弾ませ、後をついて行く。

ウゥーーーーーーーーーーーーーーーー!

 鳴り響くサイレンにも気を留めない。

『一般人の方は速やかに非難して下さい。最寄りの避難施設へは案内図をご覧下さい』

 避難指示のアナウンスも耳に入らない。

『此処からは立ち入り禁止区域です。通行許可証をお持ちでない方はお引き返し下さい』

 本来入ってはいけない場所にも入ってしまう。

 さらには…

「こらこら、危ないって、何処行くんだよ?」

ガチャリ

「にゃーん」

 カードキーや虹彩認証、静脈認証、声紋認証、他のチェックをクリア出来ねば開かないはずの扉を開けた事にも何故か気付かず、クロウは進む。

「にゃんにゃん♡」

「あはは、可愛い奴」

 扉を開けないと進めないはずの向こう側に見える真っ白な仔猫。

 それを追いかける自分に、何故か彼は何の疑問も抱かない。

『侵入者有り。侵入者有り。制圧用電気銃発射します。ご注意下さい』

 壁から現れた銃口にも気付かない。

『動作不良確認。制圧失敗』

 クロウに向けられた銃口は、何故か沈黙したままだった。

「にゃんにゃん」

「あはは、待てって〜」

 白い仔猫が少年を誘う。

 そして…

「あれ?何処だ此処?」

 目の前に広がる青に困惑する。

ザザーーーーーン…

「…え?海?空?」

 波の音に我に返る。

 クロウは何時の間にか、東京湾沖合の水平線が一望出来る、ウォーターフロントの端に立っていた。

「ゴクリ…」

 剥き出しの機械部分が見えるゴツゴツとした断崖絶壁を覗き込むと、真っ暗な水面が見下ろせる。

 このまま落ちたら確実に死ぬ。

「やべっ…なんで、俺、こんな所に…」

 しかし、そう恐怖を感じた時には、もう遅かった。

ドゴオオオオオオオオッ!

「うわっ!?」

 クロウが音と振動に吃驚して尻餅を付く。

 海上が突然爆発したからだ。

「え?ええええええっ!?」

 クロウが困惑の声を上げる。

「鮫ぇぇぇぇえっ!?」

 鮫だった。

 まるで鮫がイルカショーの様に海面からジャンプしたのだ。

 しかし…

「デ、デケェッ!デカ過ぎんだろっ!」

 思わず突っ込んでしまう程、その鮫は巨大だった。

 鮫が居るのが海上なので遠近感が狂うが、人間を丸呑み出来る程の大口を開けている。

 実際に今、人間が飲み込まれそうになってい―――

「ひっ!人が居るっ!?」

 クロウはさらに信じられないものを見て驚いた。

 鮫が大口を開けた先には、五人の人間が居た。

 状況からすると、海からその五人が飛び出し、それを追って鮫が飛び出して来た様である。

「え?鮫?は?人?え?」

 さらに驚きの光景は続く。

 五人は色鮮やかな衣装に身を包んでおり、その色が空中を泳ぐ様に線を残す。

(空飛んでるしん)

 そしてその五色の線を喰い破る様に鮫がガチガチと牙を噛み鳴らす。

「あの鮫、空を、泳いでる?」

 まるでB級鮫映画でも観てる様だった。

「か、怪獣、マジだったのか?」

(だとしたら、あの鮫と戦ってる五人はいったいなんだ?)

 五つの光はそれぞれ光る何かを鮫に撃ち込んでいる。

 赤に青に黄色に桃色、そして緑。

 五人の攻撃は鮫の鱗を削り取り、血が噴き出る。

「シャアアアアアアアアアアアアアアック!」

「うわあっ!?」

 空中巨大鮫の咆哮に耳を塞ぐ。

「げっ!?」

 それはたまたまなのか、五人の攻撃がヒットした為か、鮫がクロウを狙ったのかは解らない。

 しかし、突然クロウの方に向かって来た鮫に、クロウは押し潰されそうになる。

(やばいっ!けど、逃げれる…)

 咄嗟の反応で鮫の突撃地点からは動けた。

 しかし…

「にゃーん」

「え!?」

 あの真っ白い仔猫が鮫が突撃する場所に座っていた。

「危ないっ!」

 クロウは白猫を守るために鮫の前に飛び出し―――

「危ないっ!」

 別の誰かの声が聴こえた気がして、クロウは体に衝撃を受ける。

「うぐぅっ!?」

 お腹が圧迫され、肺から空気が絞り出され、頭に痛みを感じ、クロウは―――

「にゃーん♡」

 …意識を、失った。


「危ないっ!」

(なんで一般人がっ!?」

 サラマンダーレッド、アカネが声を上げる。

 ディーヴァ(セブン)

 それが彼女達、海上都市イザナギを守護する戦う女神達のコードネーム。

 今年からイザナギ大学附属高等学校に通う一年生。

 コードネーム、サラマンダーレッド。

 コードネーム、ウィンディーネブルー。

 コードネーム、ノームイエロー。

 コードネーム、フェアリーピンク。

 コードネーム、ドライアドグリーン。

 アカネは彼女達五人を束ねるリーダー格である。

 彼女達はイザ高への特別推薦枠により集められた。

 そして推薦が内定した中学三年生時からこの海上都市へ移り住み、世界の秘密を聞かされた。

 日本は、いや人類は今、脅威に晒されていた。

 新エネルギーは彼女達の様な覚醒者に超常の力を与えてくれた。

 だが、そのエネルギーを狙い、海から巨大なモンスター、正に怪獣が襲って来る様になったのだ。

 荒唐無稽、聞かされても信じられない。

 体験でもしなければ信じられなかった。

 アカネ達は選ばれ、研究機関でトレーニングを受け能力を覚醒させた。

 そして、実際に怪獣が現れた。

 怪獣には銃器や爆薬よりも、覚醒者であるアカネ達、ディーヴァ7の力が最も効く。

 そもそも軍事基地でもないので、防犯対策レベルの武装しか許されない。

 だから彼女達は戦った。

 自分達がヒーローとなって戦う特別感。

 大企業が複数出資し国や世界が注目する海上都市で暮らせる優越感。

 今現在から未来までの将来を約束された生活。

 しかし何より、彼女達は正義感が強かった。

 正体を隠さなければならない、能力を隠さなければならない部分はあるが、普通の人間以上の能力を使って、都市を襲う怪獣をやっつけるのだ。

 彼女達は、自分達こそが世界の中心、物語の主人公であると自覚していた。

 その日も普段と変わらなかった。

 実は怪獣の襲撃は月一以上に起こっている。

 その度に彼女達五人は招集されて事に当たっていた。

 サイレンを鳴らして一般人を避難させるのは、目撃者が出そうな大物が現れた時だけだ。

 その日もサイレンが鳴る前に招集される。

 学校からは早退した。

 教師陣は勿論彼女達がディーヴァ7だとは知らない。

 しかしイザナギ大学で研究チームに所属してる才能有る若者だと認識されている。

 そうして無事に集まった五人は出動する。

 そして怪獣との戦闘中、有り得ない物を見た。

 イザナギの端っこに、イザ高の学生服を着た男の子が立っていたのだ。

 そしてそこに、鮫型怪獣が突進した。

(間に合えっ!)

 アカネが変身しているサラマンダーレッドは身体能力が最も高くバランスが良い。

 パワーならイエロー、知覚能力ならピンク、精密性ならブルー、耐久力ならグリーンのが上だ。

 しかし瞬間最大火力、つまり爆発力はレッドが一番、正にリーダーである。

 アカネはリーダーらしく一般人の男の子を抱き締めて守る。

 その上から鮫怪獣がタックルしてきた。

「ぐっ!」

 ウォーターフロントの一部が破壊される程の一撃だ。

 能力を強化するスーツの影響でアカネは多少の痛みは感じるだけで怪我はしていない。

 しかし…

「ねぇ君っ!大丈夫っ!?」

 アカネは抱き締めてる少年に話しかける。

 だが少年…クロウは目を閉じて反応が無い。

 頭から血を流して気絶している。

(ちょ、コレまずいんじゃ…)

 アカネが軽くパニックになる。

 今までの戦闘では無かった事だ。

 イザナギの監視システムによる避難誘導により、一般人が戦闘区域に迷い込む事等無かった。

 どうすれば良いのか解らなくなる。

「レッドっ!」

「このぉ〜っ!」

「待ってっ!一般人も居るしっ!」

 仲間達四人も攻めあぐねている。

 丘に上がった鮫怪獣は格好の的である。

 トドメを刺すなら今しかない。

 しかし、レッドはともかく、あの一般人らしき少年は確実に巻き添えになって死ぬだろう。

 超常能力を身に着けた彼女達ではあったが、精神までは超人に成れていない。

 他人の命を左右する様な行動は取れずに居た。

「シャアアアアアアアアアアアック!」

「こ、このぉっ!?」

 鮫怪獣は体勢を変えると、レッドとクロウを纏めて丸呑みにしようとして来た。

「くそぉっ!」

(食べられちゃうっ!?)

 ならせめて、この一般人の男の子だけは守らなければ―――

 サラマンダーレッドがそう思った時だった。

 クロウを抱き締めていた左半身が熱くなる。

ドクンッ!

 胸の鼓動が一つ大きく鳴る。

(な、何これ―――?)

 クロウを抱き締めていた左半身から熱いエネルギーが伝わり、心臓を通り、そして右手側から―――

ズドンッ!

 何かが解き放たれた。

 それは炎の弾丸だった。

 サラマンダーレッドの能力は炎である。

 拳に炎を纏わせたり、炎の剣を出したりする。

 炎を飛ばす事も可能だが、某格闘ゲームのヨガマスターよりもショボくて遅い火の玉しか出せないのであまり使ってこなかった。

 なのに…

ボパァァァンッ!

 レッドの炎の弾丸は鮫怪獣の体を真っ直ぐに撃ち抜いた。

 口腔内に侵入した炎は内臓を焼き尽くし背びれを突き破って飛び出す。

 そしてなんと、水平線の彼方まで高速で飛んで行き…

ドドオオオオオン!

 遥か向こうで海へ落下し、水柱を上げたのだった。

「嘘…」

 呆然とするレッド。

 水柱に虹が架かる。

「凄いわね、レッド。あんな技何時の間に身に付けたの?」

 ウィンディーネブルー、アオイが感心した様に近付いて来た。

「カッケー!流石だぜリーダーっ!」

 ノームイエロー、レモンも興奮した様に腕をぶんぶん振っている。

「凄いじゃ〜んっ!マジやべーっしょ」

 フェアリーピンク、モモカがスマートフォンを取り出してパシャパシャ撮り出す。

 ディーヴァ7に支給される端末は本部と繋がっており、無許可の端末にジャミングがかかっていても問題無く使える。

「うひゃ〜大穴だぁ〜」

 ドライアドグリーン、コノハが鮫怪獣の死体を検分している。

 怪獣は常識が通じない個体もおり、ちゃんと死んでるか確認しているのだろう。

「…………いや、違う…」

 それぞれが称賛してくれるが、アカネ本人だけが釈然としない。

「今、この子から、力を貰った、気が、する?」

 確信が持てずに語尾が疑問形になってしまうが、それがアカネが今感じてる本心であった。

「え?」

「はぁ?」

 ディーヴァ7の五人は、困惑しつつも、未だ目を開けぬ少年…クロウを見下ろしたのだった。


「危ないっ!」

 クロウは白猫を救け様と手を伸ばし…そこで記憶は途切れていた。

(俺、死ぬのか…?)

 クロウが居たのは真っ白な世界だった。

 上も下も解らない。

 寒いのか暑いのかも解らない。

 怪我をしたはずなのに痛くない。

 死ぬ時は痛みも感じなくなると聞いた事がある。

(彼女も居ないのに?エッチはおろか、キスもした事無いのに…)

 猫に飢えていたが、末期の時に感じるのは、彼女居ない歴イコール年齢である事への虚しさだった。

 そんなクロウの耳に…

『ねぇ?死にたくないの?』

 声が届く。

(誰だ?)

 クロウは無い目で辺りを見回し…

『うふふ、にゃーお♡』

 真っ白い少女と出会った。

『あなた、シラユキのことみえるんでしょ?うれしいなぁっ』

(それ、怪談とかで幽霊が言う台詞…)

 クロウはいよいよ自分が死んだのだと確信したのだった。


 海上都市イザナギを守る麗しき女神達、ディーヴァ7。

 そんな彼女達が結成史上一番慌てていた。

「ちょっ!この子息してないよっ!」

「おおお応急処置をっ!」

「きゅっ、救急車っ!きゅーきゅーしゃっ!」

「病院っ!びょーいんっ!」

「ボクが担いで病院にっ!」 

「駄目だよ頭動かしちゃっ!」

 ディーヴァ7はアワアワするだけで何も出来ない。

 超常の力を持っていても、皆十代の少女達に過ぎないのだから。

 事情を訊こうと少年を起こそうとしたら死にかけていた。

 それだけでパニックだ。

 ちなみにクロウはまだ息はしていたが、人命救助の訓練をした事も無ければ知識も無い彼女達には、それすらも把握出来ていなかった。

 彼女達の任務は怪獣との戦闘なのだから。

「博士ぇ〜!どうしようっ!?」

 レモンが泣きそうになりながら博士に助けを求める。

 身体は一番大きいが、五人の中で一番メンタルは弱い。

『やむを得んな。今から救護スタッフが駆け付けても間に合わんかも知れん』

 スマートフォンから男性の声がする。

 ディーヴァ7に能力覚醒の実験を行い、変身スーツを与えた海上都市イザナギの総責任者、シロガネ博士である。

『力を少年に注ぎ込め』

 博士の指示に五人は困惑する。

 そんな事はやった事が無い。

 掌や体から力を放って怪獣を攻撃した事しかない。

「ど、どうやって?」

 アカネの問いかけに博士が即答する。

『マウストゥマウス』

 一瞬、空気が止まる。

「ねずみ?ねずみがどーしたの?」

 コノハがキョトンとする。

「そーじゃないでしょ」

 アオイが溜め息を吐き出す。

「まさか…」

 レモンが恐る恐る口を開く。

「口移しぃぃぃっ!?」

 モモカが絶叫する。

「あの、手かざしとかじゃ駄目ですか?」

 アカネが博士に訊ねる。

『その少年が死ぬ事になるぞ』

 博士の返答はにべも無い。

「うぐぐぐぐ…」

 全員が互いの顔を見合わせる。

「じゃぁ代表を決めて」

 五人が頷く。

「じゃ、じゃんけんで…」

 ディーヴァ7結成後、初めてと言って良い位、五人の間に緊張感が走る。

『全員じゃ。五人全員分の力を注がねばその少年は死ぬと見た』

 しかし無慈悲な博士の言葉に絶叫する。

「嘘でしょーーーっ!?」

 わぁわぁきゃぁきゃぁ騒ぐ乙女達を博士が冷たい声で一蹴する。

『嫌なら構わんぞ?まだ今なら情報操作出来る。目撃者も居らんしの。その少年を事故死として処理するだけじゃ』

「…………」

 その言葉を聴いて、五人の顔つきがギュッと引き締まる。

「…巻き添えで一般人死なせたらさぁ〜」

 コノハが頭をかく。

「ヒーローじゃぁないよね?はぁ〜〜〜」

 レモンが大きく息を吐いて深呼吸する。

「えぇ〜?あーしは別に…コイツなんだか笑ってるし〜」

 モモカがクロウを半眼で見下ろす。

「死ぬ直前に脳が幸せな夢を見せているのよっ!危ないわっ!」

 アオイが冷静に分析する。

「そ、そうかなぁ…な、なんかアソコ勃ってね?」

 モモカはクロウの下半身を見つめる。

「肉体が死に直面して子孫を残そうとしてる反応よっ!」

 アオイが冷静に分析する。

「そうかなぁ?あーしらが何もせんでも救かりそうだし?そもそも凄い幸せそうに笑っててキモいしぃ〜」

「つべこべ言わないっ!舌まで入れる訳じゃないんだからっ!」

 フェアリーピンクは感覚が元々鋭く、覚醒後は第六感が強化されている。

 なのでモモカの直感はかなりの確率で当たるのだが、今は却下されてしまった。

 キスをするのが嫌だからだと思われたからだ。

『いや舌も入れないとならん。唾液を交換してそれを媒介にして力を注ぐのじゃ』

「最悪」

 五人はさらに顔を顰めながら、寝ながら勃起して薄ら笑いを浮かべるクロウの蘇生を始めるのだった。


 それは真っ白い少女だった。

 年齢は、多分小学校低学年くらいだろう。

 真っ白な肌に、赤い瞳に白髪。

(アルビノってヤツか?)

 ご丁寧に白いワンピースまで着ている。

『げんみつにはちがうよ?ちょっとじじょーがあってね。むかしはクロウとおなじくろかみとくろめだったよ』

(俺の名前?)

『魂にふれてるからね、シラユキのなまえもわかるでしょ?』

(解る)

 この目の前の少女の名前はシラユキ…それが何故だかクロウには理解出来た。

(てゆーか、一人称名前やん)

『いーじゃんべつに』

 美少女だったが、クロウは年上が好みだった。

 つるぺったんよりボンキュッボンが大好きだった。

『ならだいじょーぶだよ。シラユキはクロウよりずっととしうえだもん』

 舌っ足らずな口調でシラユキがクロウの上に跨る。

 クロウはいつの間にか裸になっていた。

 と言うか…

(あれ?体が有る?)

 そしてシラユキも裸になっていた。

 ローアングルで見上げる白い肌が艶めかしい。

 凹凸も無く、膨らみも無い胸を見て、クロウはシラユキに―――

(そん、なっ!俺、ロリコンじゃないのに―――)

 おっきしていた。

(もしかして、死ぬ前に見る夢?妄想?俺って実は心の底では、小学生女児とイケナイ事したがってたの―――?)

 クロウが自分の真の望みを知り絶望した。

『パクッ!』

 そんな彼の欲望の塊を、暖かくて湿った感触が優しく包み込んでくれる。

(はううううっ!?)

 屈み込んだ小学生低学年女児に咥えられて身体が痙攣する。

『えへへ、げんきいいね♡』

(やめっ、やめてぇぇぇっ!)

 脳天を貫く様な快感に発狂しそうになる。

 思わずシラユキの頭を掴んで離そうとするが、ピクリとも動かない。

 逆に体勢的には、頭を抑えて無理矢理捩じ込んでる様な姿勢に見えなくもない。

『やめていいの?ほんとにぃ?ちゅぱっ』

 幼い口が自分のモノをしゃぶってる光景に脳が破壊されそうになる。

 それになんだか…

(…あれぇ?なんだか、凄い得した気分になったぞ?なんでだ?)

 クロウの唇と舌に、甘い感覚が広がっていったのだった。

(まるで…)


『呼吸を整えるのじゃ。イメージが大切じゃ。エネルギーを集め、息と共に吹き出せ』

「うぅ、ボクのファーストキス…くぅっ!」

 ぱぁんっ!と頬を張り、アカネはクロウの唇に唇を重ねる。

 博士に言われた通り舌を絡める。

 その時―――

ドクンッ!

「!?」

 ギュンッ!と、唇から何かを吸われた実感があった。

「なに…今の…」

 思わず唇を離し後退りするアカネ。

 その次はアオイがクロウの顔に唇を寄せる。

「これも仕事。これも任務。これも私達の役目。これも、これこそがディーヴァ7―――」

 ブツブツと呟きながらアオイがクロウの唇に唇を合わせ、舌を入れる。

「―――――!?」

 バッ!と飛び退き、後退るアオイ。

「何?今の…」

「うええ…次オレかよぉ?」

 レモンが涙目になりながらクロウの唇に齧り付く。

「ご、豪快に行ったし〜」

 モモカが若干引いている。

「勢いが、大事」

 コノハは腕を組んでうんうん唸っていた。


(…まるで、美少女達に代わる代わるディープキスされてるみたい…)

 クロウはかつてない幸福感を感じて舌舐めずりする。

 そんなクロウに対して…

『がぶりっ!この浮気者ぉーっ!』

(なっ!?なんでぇぇぇっ!)

 シラユキが突然おしゃぶりを止めて齧り付いて来た。

 脳内フラッシュバックで、猫飼いあるあるの感覚を思い出すクロウ。

 猫がペロペロ舐めて来てると思ったら突然齧り付いて来るアレだ。

 勿論今、幼女にペロペロされた上で齧り付かれたのは彼の分身だ。

 とっても痛い。

 夢の中のはずなのに、アソコを齧られたら無茶苦茶痛かった。

 だが男の性なのだろう。

 美少女にがぶがぶされた所為で、クロウのクロウが先程よりも硬く太くそそり勃つ。

 更に…

(うぐっ!?)

 なんという事でしょう。

 幼女に齧り付かれた刺激により、思わず発射してしまったのだった。

『んんんっ、ごくん…熱い…ん…ちゅっ』

 シラユキはトロンとした目でクロウのモノを飲み下してゆく。

 しかし、当のクロウは…

(甘い…)

 股間の爽快感と同時に、口の中に広がる幸福感を味わっていた。


 青空は広く、大海原も青い。

 こんな雄大な大自然と比べたら、乙女の唇等、小さい事…………とは思えない。

「…あの、もう十分じゃね?」

 モモカが笑いながら逃れようとする。

 一歩一歩、後ろ向きに後退して行く。

 しかし許されない。

 逃げられない。

「ボク、ファーストキスだったんだよ?」

 憮然と応えるアカネが躙り寄る。

「あーしも初めてだし。嫌。やだよぉ〜」

 モモカはぷるぷると首を振る。

「これは人命救助。ノーカンで良いんじゃない?」

 アオイは唇をハンカチで拭き、ペッとクロウと交換した唾液を吐き捨てている。

 冷静沈着を装っているが、嫌悪感は一番なのかも知れない。

「ほら、コノハを見習ったら?」

「いっくよぉ〜っ!むちゅ〜っ!」

 コノハは勢いでキスをしてる。

 キスと言うか、大型犬の様に舌でクロウの口周りをびちゃびちゃに舐める。

「うわぁ…」

 流石にアカネ達も引く。

「べろべろべろ〜…ん〜?不思議な感覚〜?吸われる〜?」

 コノハはすぐに唇を離すと、もぐもぐと口を動かす。

「な、何してんの?」

「この子の唾液、味わってる。なんだか美味し―――」

「やだぁっ!やめろよぉっ!」

 レモンが食レポを聴いて絶叫している。

 一番身体の大きいレモンは体育座りをして膝を抱えていた。

(ううっ…出動前に激辛カレー食べちゃってた。カレー味…ファーストキスはカレー味…)

 相手に意識は無かったが、無意識で『このデカ女カレー臭ぇ』と思われたらどうしようと落ち込んでいたのだ。

「ああああ〜っ!やめてぇっ!」

 遂にフェアリーピンクは捕まる。

 総合戦闘力ツートップのサラマンダーレッドとウィンディーネブルーからは逃げられないっ!

「モモカっ!一番遊び慣れてるアンタが尻込みすんなっ!」

 アカネとアオイに両腕を掴まれモモカは身動き出来ない。

「みんなしたんだよぉ〜ズルだめぇ〜」

 コノハも参戦し、後ろから腰を掴んで押して来る。

「最後は一番長くするべきね。トリだもの。うふふ」

 含み笑いをするアオイの目が座っている。

「あ、あ〜しはこれでも純情―――んぶぅっ!?」

 激しい抵抗を試みるモモカであったが、そこは知覚強化の感知能力特化型のフェアリーピンク。

 無理矢理クロウの唇に唇を押しつけられる。

 他のディーヴァ7三人にはパワーで勝てる訳は無かったのだ。

「ぷはぁっ!嫌だぁぁぁぁぁっ!れろぉっ!?」

 頭を抑え付けられ、舌と舌を絡めさせられるモモカ。


 一方、真っ白い世界でクロウは今までに無い感覚を味わっていた。

(いったいコレはなんなんだろうか?なんだか激辛カレーを食べ…舐めた?感じ?する…)

 クロウがまた意識を他所に向けていると、シラユキがぷんぷんし始める。

 しゃぶり尽くしていたクロウのモノを放り出して叫ぶ。

『ぷはっ!ああもうっ!こんなびしょーじょがいるのに、浮気はめっ!』

 シラユキはそのちっちゃいお手手でクロウの息子さんをぎゅむっと握り締める。

(はううっ!うおおおおおおおおおっ!?)

 そしてシラユキは自分でクロウの上に完全に跨がった。

『はぁ、はぁ、ようやく、ようやくみつけたんだもん…にがさない…』

(ひぃぃぃぃぃっ!?)

 狂気を孕んだ瞳で見下されたクロウは恐怖する。

 しかし指一本動かせない。

『こんなちゃんすにどとないかもだもん』

 されるがままだ。

『ようやくつかまえた。シラユキをみつけてくれた男………』

 そして遂に―――

『あああっ!はうぅぅぅぅぅぅっ!?は、はいってくりゅぅぅぅぅぅっ!』

 シラユキは涙を零し、涎を垂らしてよがり狂う。

 長く白い髪を乱し、頬や体を上気させて、腰をくねらせてクロウを締め上げて来る。

(うあああああっ!は、初めてなのにぃぃぃっ!?)

 クロウのプライドはズタズタだ。

 初めては年上のお姉さんに筆下ろしされたいかもとか思ってたのに。

 まさか夢の中で淫乱女児小学生に逆レイプかまされるとは思いもしなかったからだ。

『あっ♡あっ♡いいっ♡これが、愛しあうってことなんだねっ…』

 どんどんと腰の動きを加速していくシラユキ。

(ち、違う…)

 クロウは快楽の海に溺れて藻掻き苦しみながらも否定する。

(あ、愛しあうって、のは…)

 クロウの脳内を、走馬灯の様に彼の願望が駆け抜ける。

 学園内にあるカフェで一緒にランチをするクロウとシラユキ。

 映画館で一緒に恋愛映画を見るクロウとシラユキ。

 遊園地でジェットコースターに悲鳴を上げるクロウとシラユキ。

 そして公園で、夕陽が沈み行く水平線を眺めながらキスを交わすクロウとシラユキ。

(こう、こういうの、だっ!)

 クロウはむっつりスケベな割に純情なのだった。

 しかしそんな事はお構い無く…

(うあああああああっ!やめっ………あっ)

『はぁぁぁぁぁぁぁんっ♡』

 シラユキにガッツリ搾り取られてしまう。

 ビクビクと体は痙攣し、一滴残らず吸い付くされて行くのが解る。

 シラユキの身体も小刻みに震えている。

(お、俺の、初体験…………うぅっ…)

 クロウは顔を覆ってさめざめと泣く。

(もう、お婿に行けない…)

 そんなクロウを面白そうに見下ろすシラユキが、小悪魔の様にクスクスと笑い出す。

『へぇ〜クロウはこーゆーのがいーんだぁ?おこちゃまだね〜。ふふっ♡』

 先程クロウから搾り取ったモノが唇の端から零れ、それを艶めかしく舌で舐め取るシラユキ。

『だってデートのさいごは、ほてるのすいーとるーむでしょ!』

 どうやらクロウが脳内で描いたデート風景も伝わっていた様である。

 ダメ出しまでされてしまう。

(くっ…この、淫乱肉食女児がっ…!)

『だぁかぁらぁ、としうえだってば。まぁいーや。ふふっ、こんどはちゃんとしよーね、クロウおにーちゃん♡』

 シラユキが微笑むと、クロウの意識は急速に遠退いて行く。

(君は、いったい…)

 そうクロウが問いかけるも、シラユキは指を曲げて…

「にゃーお♡」

 …と、猫の鳴き真似をするのだった。


「少年が息を吹き返したぞっ!」

 海上都市イザナギの端っこ、鮫怪獣の死体が転がる真横にて…クロウは無事に生還したのだった。

「良かった」

「でも…」

「うん」

 ゴクリっ …誰かが生唾を飲み込んだ。

「アソコ、凄い」

「えぇ?あんな大きくなるのぉ?」

 五人のうら若き乙女達は、喜びよりも戸惑いの視線をクロウに…クロウの下半身に向けている。

 何故ならクロウの股間に、大層立派なテントが張られていたからだ。

(ボクの…)

(私の…)

(オレの…)

(あーしの…)

(コノハの…)

 内部崩壊寸前まで関係が悪化しかけた五人の思考が一つに纏まる。

(((((唇が、そんなに良かったの?)))))

 クロウの分身がギンギンにエレクトしてるのが、謎空間でシラユキと滅茶苦茶おセッセしたからだと言う事を、五人は知らなかった。


『怪獣退治に人命救助、ご苦労だった。後は任せてくれ。基地に戻ったら身体チェックとメンタルケアを受けるんじゃぞ?なんだったら明日は学校も休んで構わん。英気を養ってくれ給え』

 博士はディーヴァ7に労いの言葉をかけると、通信先を切り替える。

「ヒスイ君。少年を病院ではなくワシの研究所へ、秘密基地へと運んでくれ給え」

『畏まりした。博士』

 そこで音声通話を完全に遮断した後、博士は独り、司令室内にて豊かに蓄えた白髭を撫で付ける。

「ふむ。ディーヴァ7の力を受けて生き返っただと…?おもしろい」

 ダメ元で指示を出しただけだった。

 覚醒者による力の譲渡は基本的に出来ない。

 もしそれが可能だとすれば、そう言った能力か、もしくは…共振による覚醒。

「当たりが引けたか。ラッキーじゃの。敵のサンプルも手に入ったしの…ふっふっふ」

 含み笑いを漏らすシロガネ博士。

 キーボードを操作し検索をかける。

「監視カメラのログは…イザナギ大学附属高等学校の生徒か。元から素養はあったと言う事か」

 博士の目が細まる。

「何故防犯設備が作動しなかったのかは解らんが…」

 カメラの映像内では、クロウ少年が何かを追いかける様に独りで立ち入り禁止区域をウロウロと彷徨っている姿が記録されていた。

「クロウか。覚えておこう」

 博士はクロウのデータを保存すると、本日の戦闘データの解析を始めるのだった。


 ウォーターフロント、海上都市イザナギにはもう一つの顔がある。

 新エネルギーの源である、ゲート。

 そのゲートを守る様に海底のさらに下のプレート内に建造されたジオフロント。

 地底都市イザナミ。

 ディーヴァ7達の真の秘密基地であり、シロガネ博士達ゲート研究者達が詰める場所。

「…ん。バイタル確認。クロウ少年が目覚めた様れふ…ん…」

 イザナミ内に造られた病院の一室にてクロウは目覚める。

 見知らぬ天井を見上げながらクロウは呟く。

「何処だ此処?」

 病院。

 なんとなくだがそれは解る。

 身体を起こそうとするが上手く動かない。

「うっ…」

 身体に痛みは無いが違和感がある。

(生きてる?もしかして、全部、夢?)

 あの真っ白な少女も、白い仔猫も、鮫も、五色の人達も、全部夢幻だったのかと、クロウは考える。

「取り敢えず、身体が怠いなぁ…」

 特に下半身…

「ふぇ?」

 クロウは己の下半身を見て言葉を失う。

 彼が目にしたのは…

「ふぉふぁようふぉふぁいふぁふ…ちゅっ…」

 自分よりも五歳くらいは年上の、二十歳くらいの大人っぽいお姉さんが、おはようフェラしてくれている姿だった。

第壱話お読み頂き有難う御座います。

未完の連載作ばっか乱発しておりますが、コレは一応大筋や、中ボス戦、ラスボス戦のプロットは完成しているので、最大火力で駆け抜ける所存です。

どうかよろしく御願い奉り早漏。

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