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楽しい食事 2

「うわぁ……カワイイ~」


 レイが食堂に足を踏み入れて発した最初の言葉だ。


 今日の我が家の食堂は広い。


 そもそも魔法の家なので、外からの見た目と内部が異なっている。


 しかも家の気分で間取りが変わるくらいなので、食堂の中も日替わりだ。


 日替わり定食は聞いたことがあるが、部屋そのものが日替わりというのは聞いたことがない。


 いつもはタミーさんの好みに合わせたシックな雰囲気にさせているが、今日はレイの好みに合わせてみた。


 フリフリの白いレースのカーテンに、ウサギ柄の散るテーブルクロス。


 ブルー地に白でウサギ柄が浮き彫りになっている皿。


 レイたちのために家が思い切り飾り立てたのでとてもファンシーな見た目に仕上がった。


 銀食器にもウサギ柄が施されていて、大きな皿の上には様々な種類のカナッペがカラフルに所狭しと並んでいる。


 レイの喜びっぷりを見て、タミーさんもアニカもニッコリだ。


『大変可愛らしいですね。レイさまのためにここまでしていただいてありがとうございます』


『いえいえどういたしまして。レイちゃんの為だけでなく、セツのためにも飾り付けてみました』


『それはありがとうございます』


 家がちゃっかり手柄を独り占めしたぞ。


 それはちょっと見逃せない罪だが、背もたれにもウサギの浮き彫りが施された白い子供用椅子にレイが大喜びしているから許そう。


 レイが椅子に座ると、オレはその正面の椅子に座った。


 アニカとタミーさんはレイの両側に立っている。


 タミーさんはお給仕のために立っていて、アニカはガラスのぶら下がった片眼鏡越しに観察しているようだ。


 レイの前に白いカップが置かれた。


 白いカップの中では、ココアが湯気と共に甘い香りを漂わせていた。


 レイはそれを不思議そうに見ている。 


 白いカップには浮き彫りにされたウサギが飛び跳ねているが、彼女が注目しているのはソレではないようだ。


 ジッとカップの中を見つめていたレイがヒョイと顔を上げ、ニコッと笑ってタミーさんに聞く。


「これは……どろ?」


「違いますっ」


 即答だ。


 タミーさんがピキッとなっている。


 でも相手は幼いロボット生命体だから、優しいタミーさんが怒ることはない。


「これはココアという飲み物です。お砂糖が入ってますから、甘くて美味しいですよ」


「ココア? おさとう? あまい?」


 レイは不思議そうに首をかしげながら、カップを両手で持ち上げると一口すすった。


「おいしい! レイちゃん、これスキ!」


「ふふ、それはよかったです」


 大喜びするレイに、タミーさんも嬉しそうだ。


「カナッペも美味しいから食べてみて、レイちゃん」


 アニカに勧められたレイはサーモンが乗ったカナッペをひとつ手に取った。


 そして直線的な機械っぽい口を開けると、カナッペを放り込むようにして食べた。


 子どもだから食べ方が雑なのか、ロボット生命体の食事の仕方がそうなのかは謎だ。


「ん、おいし。コレ、石とおなじくらいおいしい」


 比較対象がなんで石なんだよっ。


 無言のまま心の中で突っ込むオレ。


 だがアニカも、タミーさんも優しいから突っ込まない。


 食事をするレイをニコニコと楽しそうに見ている。


 オレは自分のクソ野郎ぶりを反省しつつ、無言でフルーツの乗ったカナッペをレイに勧めた。


 レイはしょっぱいカナッペも、甘いカナッペも気に入ったようだ。


『レイさまは好き嫌いなく何でも召し上がります』


 セツが自慢げに言う。


 けど、石を好き嫌いなく食べるっていうのはどうだろうか?


「でもレイさまは育ちざかりですよね? 栄養面に関しては、セツさまに確認しないといけないのではありませんか?」


『心配は要りません。足りないものがあればレイさまが自分で判断して食します』


 ……ん?


 それって、逆にヤバいのでは?


『勝手に食べないよう、事前に確認はとりますよ? 建物や橋など壊したら困るものについては避けますし。いくらレイさまが子どもでも、好き勝手にその辺の物を食べてはいけないくらいの分別はつきます』


 そっか~……って、今オレってば心を読まれた?


 オレはちょっと引き気味になりながら、レイの赤いおリボンを見つめた。


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