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オレは転生者

 オレはルドガー・イシュハート、転生者だ。


 前世では、コミュ障こじらせた平凡な社畜リーマンの日本人男性だった。


 平凡な顔、平凡な身長、平凡な体型。


 そしてコミュ障!


 それがオレだ。


 死因もトラックにひかれそうになった子供を助けて死亡……なんてカッコイイ終わり方じゃない。


 夜桜を見ながら酒をたしなむ社内の花見で、酒に酔ったオレはお喋りコミュ障の本領発揮。


 さんざウザ絡みした挙句、橋から転落。


 ライトアップされた満開の桜の下、真っ暗な川の中で命を終えた。


 ……これは、アレだ。会社の行事で行方不明になったんだから探さないと責任問題になっちゃうから案件のヤツだ。酔いも醒めちゃう系の厄介な案件だ。酔っ払いによる酔っ払い探しという二次被害を招きかねないヤツだ。


 もう、もう、もうっ!


 絶対、周りに迷惑かけまくって死んだだろオレ⁉


 後悔ありまくり、懺悔必須の死である。


 ちなみに前世を思い出したのは、五歳のある日、畑のあぜ道でコケて頭を打った時だ。


 思い出した記憶に絶望してオレは泣いた。


 泣きに泣いて将来を悲観してビビり散らかし、その夜はおねしょまでした。


 前世を考えたらハズレ人生必至……なんだと思ったんだがさぁ……違うんだよ。


 生まれた家は平民だけど、貧しくもない。


 住んでた場所も、田舎すぎず都会すぎずで子供のオレにとっては超快適。


 要は堅苦しくもないし飢えもしない、イイ感じでぬるま湯のような環境だった。


 その上、メチャクチャ強い魔法使いになってしまったんだ。


 オレは日本人にしたら珍しくもない黒髪黒目なんだが、コッチの世界では黒い髪や瞳は魔力量が多い証なのだ。


 しかもメッチャ厳しい修行にも難なく対応できたんで、大変優秀な魔法使いに育ってしまった。


 オマケに無駄なく筋肉の付いた細マッチョで、背もスラッと高くい。


 190にちょい届かないくらいなのだが、コレがコッチの世界だドアとかで頭をぶつけずにスッと通れるくらいの絶妙な身長なんだよ。

 

 大人になったら、国お抱えの魔法使いという職も得た。


 と、いってもこの国は平和なんで、特にすることはない。来賓があった時に、花火的な派手な魔法を披露するくらいだ。


 ……恵まれ過ぎである。


 王都勤めになるから住み慣れた故郷からは離れなきゃならなかったけど、近所に住んでた幼馴染と一緒だから寂しくはない。


 しかもオレは、メチャクチャ顔が良い。


 なのでメチャクチャモテる。


 こんな超ラッキーな転生なんだから、めっちゃ幸せになると思うだろ?


 しかし、今ここにいるのはチートな魔力を持て余すコミュ障のオレだ。


 だってさー、転生したところでオレはオレ。


 当然と言えば当然なのだが、中身はオレのままなんだよ。


 一番の悩みであるコミュ障がそのままなんよ……どうするよ、オレェ……。


 コミュ障のままモテモテになっても、メチャクチャ居心地悪いだけだからな?


 モテが憎い。


 しかも身分こそ平民なんだが、なぜか家名はあるという意味深な家に生まれている。


 イヤだねー、オレってばこの先、どうなっちゃうの?

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