日韓慰安婦問題解決へ一歩前進か? 「帝国の慰安婦」著者が無罪確定したことについて
筆者:
本日はこのエッセイを選んでいただき誠に光栄です。
今回は日韓問題の一つとして言われている全然の「慰安婦問題」について考えていこうと思います。
やはり、「慰安婦問題」というのは性的なことも関わってくることから日本の中ではある種「タブー視」されているところもあると思うんですけど、
僕なりに頑張って解説していこうと思います。どうぞよろしくお願いします。
◇慰安婦は「必要悪」だった。無ければ現地の人達が危機に瀕していた
質問者:
そもそも「慰安婦」というものがあること自体がちょっと理解できません……。
筆者:
無理からぬことだと思います。今現在ないものですからね。
今では国家公認でのものは無いのですが、1960年代のベトナム戦争ぐらいまでは世界で国家公認としてあったようなんですね。
第二次世界大戦の際には欧州の主要国でもあったようです。
戦争と言うのは恐ろしいもので“常識“の感覚が狂っている状況とも言えるのです。今でも徴兵や戦時経済、軍隊同士ならば人殺しも合法のように、その取扱いの一つとして慰安婦と言うのもあったのです。
(だから、戦争抑止のための軍事力、外交力、自前の農業生産力・資源確保力だと個人的には思っております)
慰安婦が無ければ現地の人たちをレイプしてしまう事件が発生したり略奪・強奪が発生したりと、かつての国家正規軍の中でもモラルが欠けている軍隊もあったのです。
しかし第二次世界大戦後には国際的な人権の保護の観点から「合法的な売春」という指摘により慰安婦と言うのは無くなっていきました。
世界的に軍隊の規律が整いつつあり、住民へのレイプ犯なども裁かれる国際法の状況になったというのもあると思いますね。
質問者:
そうは言ってもやっぱり受け入れにくいものがあります……。
筆者:
現代の感覚で生きている人たちにとっては受け入れがたい感覚ではあると思うのですが、当時の価値観を今の価値観で押し付けるのはそれはそれで問題。“常識“と言うのは歴史とともに変化していくものだと思っています。
例えば江戸時代以前は10代前半で結婚することが当たり前だった。不倫はおろか側室すらあったのは今では信じられない文化と言えるが当時としては“常識”として存在したんです。
しかしそれを断罪すると言ったことはないと思うんです。
◇日本と韓国との間の“感覚の差”
質問者:
“当時の常識“を今の感覚で語るとちょっと議論がおかしくなるという事はなんとなくわかりました。
そんな中で日本と韓国との間で存在している「慰安婦問題」と言うのはどうしてこんなにも問題になっているのか教えてもらえますか?
筆者:
やはり日韓の“捉え方の差”と言うのが如実に出ているのがあると思います。
日本側としては当時の朝鮮半島は“日本の一部”として扱っており、
「日本人を慰安婦として雇う」のと同じような感覚で新聞にて募集をかけていたとの主張です。
韓国もベトナム戦争で「トルコ風呂」と呼ばれた慰安施設を作ったという事も「合法性」の主張の一つとしてあります。
それに対して韓国側は植民地として強制的に徴収されたり、日本軍や官憲による強制連行だと主張しているんですね。
そんな中、今回問題になっている韓国・世宗大の朴名誉教授というのは、
「帝国の慰安婦」2013年に韓国で、14年に日本で出版された本の中で以下のような主張をされています。
『日本の植民地支配下で多くの女性が慰安婦になった過程には朝鮮人業者が介在し、家父長制の社会構造も影響したと指摘。慰安婦問題で日本の責任は否定できないが、法的責任を問うことは難しい。』
と、どちらかと言うと、韓国人でありながら「日本側の主張」をされたわけです。
質問者:
そう言えばかつて日本にも貧困農家は「女子の身売り」という事があったそうですね……。
それに近いことが韓国にも起きていたという事ですか……。
筆者:
女衒という仲介・斡旋の仕事まであったぐらいですからね。明治・大正には東南アジアで身売りにあって働いていた方々について「からゆきさん」と呼ばれていたこともありました。
日本・韓国関係なく貧困家庭の悲劇と言うのが起きているわけです。
ちょっと話は逸れますが日本も世界的に見て円安もあって相対的な貧困化が進んでおり、「外国に体を売る女性」と言うのが徐々に出てきているといった話もあるので、
経済的な問題はこういうところまで波及していると言えます。
質問者:
余程の経済的困窮が無い限り、敢えてそういった仕事をやろうとはそうそうは思いませんものね……。
ところで、朴名誉教授はどういったことで裁判を受けていたんですか?
筆者:
先ほどの「帝国の慰安婦」について上記のような主張が虚偽事実ではないか? 韓国の元慰安婦の名誉を傷つけたのではないか? という事が争点になっていたようです。
23年10月にはソウル高裁で無罪判決、そのあと原告側が上告するも24日に最高裁で無罪が確定したという事です。
韓国最高裁は問題となった著書の記述はいずれも「学問的主張、意見の表明」にとどまり、虚偽事実の記載にはあたらないと判断したということです。
◇日本側に“問題なしが確定したわけではない”が一歩前進
質問者:
この判決によって日本は慰安婦について問題が無かったことが決まったんでしょうか?
筆者:
この判決については朴名誉教授の「表現の自由が保障された」というだけであり、
「日本側に問題が無かった」という事を証明・担保するものでは無いと思います。
ただ、韓国側も明確に朴名誉教授の主張を否定する材料を「最高裁は見つけ出すことが出来なかった」という事も間違いのない事実だと思います。
これは慰安婦問題について前進したと言っても良いと僕は判断しています。
特に韓国最高裁は徴用工問題については未だに賠償責任があると思っている立場ですから、そう言った機関がこの判決を下したことは大きな社会的意義があると思っています。
質問者:
現在は違法とされることについて過去に遡って違法になることは無いんですか?
筆者:
法学用語として「法の不遡及」というものがあります。
法令は施行と同時にその効力を発揮するのですが、原則として将来に向かって適用され法令施行後の出来事に限り効力が及ぶのであり、過去の出来事には適用されないという原則です。
先述した通りその「当時において」合法的手段を取ったという事であるのでしたら、慰安婦については問題は無いというのが世界的な共通認識だと思います。
ただ、「合法だった」ということと「見直すべきこと」や「教訓とすべきこと」という事は切り離して物事を捉えるべきだと思っています。
質問者:
それはどういう事でしょうか?
筆者:
やはり後に慰安婦が後年に見直されたという事は大きな意味があることでした。
女性の人権が無視されていたという事実は揺ぎ無いですからね。
また、教訓として「戦争によって常識が変化する」とこから戦争は未然に抑止しなくてはいけないということは慰安婦という観念が消滅したとしてもそれは変わりないと思います。
質問者:
なるほど、それは大事なことですね。
特に戦争はウクライナやガザ地区を見ても悲劇しか生んでいませんからね……。
しかしこの判決によって日韓の慰安婦問題は解決に繋がるんでしょうか?
筆者:
韓国メディアの関心はあまり高くはなく、「無罪だからといって朴氏の主張が正しいわけではない」と突き放した反応を示しているようです。
ただ、日本としてはこの判決を利用しない手は無いと思います。
今後の主張の裏付けとして活用するべきだと僕は考えますね。
日本側は「無いこと」を証明しないといけないので、地道に主張することが大事だと思います。
基本的には1965年の日韓基本条約と日韓請求権協定で戦前のことについての外交上の清算は終わっていますからね。
徴用工問題もそうなのですが、被害者がいた場合の個別具体的な案件に関しては本来韓国政府が責任を持つべきなのです。
歴史的事実を受け止めつつも、どこかで区切って未来に向けて歩みを進める必要があると思います。
それと同時に韓国で行われている歴史的事実とは異なる「反日教育」を辞めさせるように主張していく必要があるように思いますね。
質問者:
今でも第二次大戦中やそれより前のことに引きずられていたら困りますものね……。
筆者:
そういうことです。もうちょっとこの判決については注目されていい話題だと思いますね。
という事でここまでご覧いただきありがとうございました。
今回は慰安婦はかつては世界中にあったので当時としては合法であったものの、
時代の変化に伴い無くなっていったこと。
日韓の慰安婦問題について客観的な視点で見ていた朴名誉教授が無罪になったことは日本にとってプラスになる可能性が高いという事をお伝えしました。
今後もこのような時事問題や政治経済、マスコミの問題について個人的な解説を行っていきますのでどうぞご覧ください。