第8話 『高山学園』
仕事が忙しくて久しぶりに投稿しました。
この章はスパン!スパン!スパンッ!と凄まじい速度で進んでいきます。もっとゆっくりやった方が良いのになぁっと思うかもしれません。よろしくお願いします。
彾嘉の通う高山学園の校門前。
「にゃっはっははは…ここなら堕天使が入れ食い状態だな」
晴れ渡る空。彾嘉の頭の上でエンジュは仁王立ちで気味悪く笑う。
「あの…本当に学校に堕天使がいるんですか?」
「あったりめぇだ!思春期の少女に堕天使は取り憑く!つまり女しか殆どいない学校なんて堕天使の養殖場みてぇなもんだ!俺のエンジュ様最新最強堕天使レーダーMkーⅡもビンビン反応してるぜ!」
「そうですか…」
エンジュは契約した人間にしか見えない為、今の彾嘉は独り言をボソボソ言っている痛い人に見えてしまう。
独り言を言う彾嘉を登校する女生徒たちに不思議そうに見る。
「学校入りますね…」
恥ずかしくなり彾嘉は校舎へと向かう。
「りょーか、女生徒の左手首を見てろよ」
「え?」
「忘れたのか?堕天使に取り憑かれると左手首に黒い羽根のタトゥーが彫られる」
「でもそんなのがあったら友達や先生に言われるんじゃないですか?」
「その黒い羽根は俺たち天使と契約した人間…それと取り憑かれた人間にしか見えない」
彾嘉はエンジュの話を聞きながら、上履きに履き替え自分の教室に向かった。
教室に着き、真ん中の1番後ろにある自分の席に座る。
「なあなあ。聞いて良いのか分かんねぇけどさ、お前って友達とかいるのか?」
「……」
教室で独り言を言う痛い奴にはなりたくないので、教室ではエンジュとは話すことができない。
「おい!無視すんなよ!はっは〜ん、さてはいないんだな?いないんだろ〜!にゃっはっは!教室に来ても誰とも話さないもんな!」
「……」
図星を突かれた彾嘉の頭の上から飛び降り、机の上に着地する。
「そうか!そうか!でも安心しろ!この俺がお前に憑依して人気者にして、友達を両手で数え切れないくらいに増やしてやるからな!」
自信満々な態度のエンジュは彾嘉を指差す。
正直なところ友達は一人もいないので彾嘉は少し期待した。
「ホームルーム始めるぞ〜」
教室の前の扉が開き、眉毛の太い40代くらいの担任の先生が入ってくる。
そこからホームルームを済ませ1限…2限と授業を終えていく。
「ヒマだ〜」
3限目の数学の授業中、エンジュは広げているノートの上で大の字になって寝そべる。
「……」
凄く邪魔なのでシャーペンの消しゴムの方で押しながら横にずらしていく。
猫の動画でこういうのあったなと彾嘉はふと思い出す。
「ヒマだ!学校でも探検してくる!」
エンジュは飛び起きて、放課後する予定だった学校探検に行ってしまう。
時間はあっという間に過ぎていき、エンジュが帰ってこないまま昼休みになる。
「メシだ、メシだ〜!」
エンジュは何事もないように戻ってくると彾嘉の机の上に着地した。
彾嘉はエンジュの姿を確認すると弁当を持って移動する。
「おい、どこ行くんだ?便所か?もしかして便所でメシ食うのか?!友達がいないからって便所で食うなよ!やだからな!便所でメシ食うなんて俺やだからな!」
「っ……」
抗議するエンジュを無視して向かった彾嘉は、目的地の誰も居ない体育館の裏にある階段に腰を落とす。
「良い場所だな。なるほど、ここなら人も居ないし俺と話しながらメシを食えるな」
「はい。それじゃあ食べましょうか」
彾嘉は弁当の蓋におかずやご飯を乗せ、横にチョコンと座っているエンジュの前に置く。
「いただきます」
「おい、待て!」
「どうしたんですか?もしかしてブロッコリー嫌いでしたか?僕が食べますね」
彾嘉は蓋の上に置いたブロッコリーを自分の口に放り込む。
「あっ!俺のブロッコリ〜〜!!お前、なにを『仕方ないな』みたいなかんじで食ってんだよ!俺はブロッコリーは好きだ!」
「ブロッコリー好きなんですか?珍しいですね」
「いや、好きとは言ったけど普通だ!」
エンジュは彾嘉の顔の目の前まで飛んで行く。
「俺が言いたいのはもっと寄越せって言ってんだよ!」
「それならそうと早く言ってくださいよ」
「その『仕方ないな』みたいなかんじやめろ!あとおかずは緑色は要らないからもっと茶色を寄こせ」
「はいはい」
弁当に入っていた昨日の残りの唐揚げを二つ蓋の上に置く。
「いっただきまーす!」
高校に入学してからずっと一人で食べていたが、誰かと食べるのも悪くないなと彾嘉は思った。
「放課後は俺に付き合え」
「ふぇ?」
「学校を探検していたら良い場所を見つけた。放課後はそこに行くぞ」
「良い場所ってなんですか?」
彾嘉は言っている意味が分からず最後のブロッコリーを食べてエンジュに質問する。
「俺たちの作戦会議する場所だ。そこで学校で見つけた堕天使の対策やら何やらするわけだ」
言い終わるとエンジュは自分の頭と同じ大きさの唐揚げを半分食いちぎる。
「そんな良い場所があったかな…?」
彾嘉は頭の中で校内を思い出しながら昼食を進めていく。




