7話 エンジュとの出会い編終わり
「いや〜びっくりしたな〜」
「意外とお母さんは勘がいいですからね」
過去に何度も自分の隠し事がバレたのを彾嘉は思い出す。
「おい、りょーか。ちゃっちゃと俺のベッドを作れ。俺は朝からお前を探してて疲れて眠い」
「……はいはい」
言い返そうとするが、言い返してもロクなことがないのをこの数時間で理解したので、彾嘉は自分の机の上にタオルとハンカチやテッシュを使って簡易なベッドを作る。
「まあまあだな」
エンジュは彾嘉の作ったベッドで寝転がりながら採点する。
「明日のためにも早く寝ないとダメだからな」
「明日?明日何かあるんですか?」
「決まってんだろ?お前の学校に潜んでいる堕天使を狩りまくるんだよ」
「え?!学校に来るんですか?」
彾嘉は絵に描いたように驚く。
「当たり前だ!お前を選んだ理由は見た目もさる事ながら元女子校っていう堕天使の発生している可能性大なところに通っているところも入ってるからな」
「えぇ…」
彾嘉の通う学校『高山学園』生徒数700人。その中で男子生徒は200人ほどしかいない。女子生徒の芸能やスポーツに力を入れている学校であり、芸能科・スポーツ科・普通科の3つが存在する。才能のない普通に受験した彾嘉は当然のように普通科だ。
「ほとんど女しかいない学校なんて芸能人のパーティーくらい堕天使が大量にいるに違いねぇ!適当に女に勝負挑んだら堕天使の可能性だってあるくらいだ!」
「やめてくださいよ!そんな適当に!もっと慎重に選んで勝負して下さいよ!堕天使に取り憑かれてる女の子って特徴ないんですか?」
「ある。取り憑かれた女には左の手首に黒い羽根のタトゥーみたいのが現れる」
エンジュは体をハンカチの布団に入りながら顔だけは真面目に話す。
「堕天使に取り憑かれたやつにはレベルがある」
「レベルですか?」
「羽根の枚数で深刻度が分かる。最大三枚だ。三枚になると女神のババアどもを呼ばないといけなくなるから、その前になんとか堕天使を追い出さないといけにゃい…」
「にゃい?」
エンジュを見ると、気持ちよさそうにスヤスヤと眠っていた。
「はぁ…」
彾嘉は部屋の電気を消して今日は早く寝ることにした。明日から起きるエンジュとの生活を考えて…。