第24話『捜索』
久しぶりに投稿しました。
何となく暇なときに20文字くらいのペースで文字を打っていて、ようやく区切りが良いところまで終わりました。
月に1度くらいで投稿できたら良いなぁ……小説家になろうは良いよなぁ。
「まだ戻って来てないのか……」
着替えが終わり、エンジュと別れた場所に戻ってきたが三毛猫が1匹居るだけだった。
寝転がる三毛猫のお腹を撫でると、彾嘉の手に顔を擦りにくる。
「ねぇ、こんなところで何やってるの?」
後ろから聞き覚えのある声が聞こえ振り返ると、そこに立っていたのは来栖遥だった。
「来栖先輩……」
猫を撫でるのを中断して立ち上がる。
来栖は半袖半ズボンの体操着で汗だくだった。
「休みなのに学校に居るって、何か部活に入ってたっけ?」
「あっ、いえ!わ、忘れ物しちゃって……」
「そう」
「く、来栖先輩は部活ですか?」
「ええ。夏の……最後の大会のためにね」
来栖は流れる汗をタオルで拭きながら答える。
「そうですか……あ、あの、頑張って下さい」
「ええ。ありがと」
彾嘉は女の子と2人きりの状況に緊張してしまい、目を泳いでしまう。
来栖は彾嘉の足元で寝転がる三毛猫を見つめる。
「その猫、人懐っこいのね」
「え?あ、そうみたいですね」
「ふ〜ん」
猫に触れようと歩き出した来栖が、ピタリと動きが止まる。
来栖は自分のシャツの袖の匂いを嗅ぎ、彾嘉を見つめる。
「あのさ……私ってそんなに、汗臭いかな?」
「え?」
「前に茶道部の部室で言ったでしょ?お前みたいな汗臭い女って」
「あっ……」
エンジュが来栖を挑発するために言った言葉を思い出す。
来栖遥も女の子なので、臭いと言われれば気にしてしまう。
彾嘉は内心で謝りながら、気の利く一言を考える。
「い、いえ!来栖先輩は全然汗臭くなんかないですよ!」
「本当に?」
「はい!今も汗臭いって言うより良い匂いが………」
自分の変態的な発言に気が付いた彾嘉は、顔が熱くなる。
「そうだったら良いけど……」
来栖も彾嘉の意外な発言を受け、顔を赤くして照れる。
「そういえばさ、あなたが勝ったら言うことを何でも聞くって約束したでしょ?」
空気に耐えられず、来栖は強引に話を変える。
「え?」
彾嘉は来栖の言っていることが一瞬理解出来なかったが、エンジュが部室でしていたことを思い出す。
「あれって何にするか決めたの?」
「いえ……」
エンジュがした約束なので、彾嘉は何かをせようなどと思ってはいなかった。
「なんだか弱みを握られてるみたいで嫌だから、早く決めてくれると嬉しいんだけど」
「え、分かりました」
「あっ、でも、えっちなのはやめてね」
「し、しませんよ!」
急にそんなことを言われ、若干想像してしまい彾嘉は下がっていた顔の熱が上がる。
「まあ、そんなこと言うタイプじゃなさそうだもんね」
来栖は、顔を赤くする彾嘉を見て苦笑する。
「決まったらまた言ってきて」
「はい……」
「今までなかったんだけど、あなたに負けて気分が良いのよ」
「え?」
「あなたに負けて気分が良いのよ。今まで何故かずっと不安だったの……試合に負けるとか、自分に自信がなくなってとかじゃない。私が引退したあと、後輩たちは私のことなんて忘れてしまうんじゃないのかって」
来栖は額を手で押さえながら、苦しそうに話す。
「だから私のことを思い出してくれるんじゃないかって考えて、部室を後輩たちに残そうと思ったの」
「そうだったんですか……」
「でも、あなたに負けたら馬鹿みたいって思っちゃった。だってそうでしょ?次の大会で優勝カップを残してやれば良いんだから」
来栖は彾嘉に微笑む。
その顔には、出会った時の刺々しい雰囲気が微塵もなかった。
「ここであなたを見つけた時、お礼を言おうと思って声を掛けたのよ。私と勝負してくれてありがとうって」
「い、いえ……僕は」
「でも最初に手を抜いて、後から本気出すって結構性格悪いわよね〜」
「それは……!」
取り憑いている堕天使を出させる為とはいえ、やはり褒められたやり方ではないことに、彾嘉は反省した。
「良いのよ。真剣勝負で、相手を油断させる作戦なんだし」
「すみません」
「それじゃあ、また約束のやつが決まったら教えてね」
来栖はニコリと笑うと、体育館に向かって歩き出す。
「堕天使の影響がなくなったせいだな」
「わっ!」
いつの間にか戻って来ていたエンジュに話し掛けられ、驚いてしまう。
「あいつも堕天使に影響されて、焦りや不安を増長させられたてたんだろうな」
「そうだったんだ」
「おい、行くぞ!ヘルメットの返してきたしな」
エンジュは学校に向かって飛んで行く。
彾嘉は自分のしたことで人を救えたことが嬉しく、軽い足取りで追いかけた。




