第21話 『エンジュの能力』
「そこのシスターのお嬢さん、向かえに来たぜ」
「アァ?」
男二人が不機嫌そうに話し掛けてきたエンジュを睨んだが、体の曲線や声の高さで女の子だと分かると態度を変える。
「君なに?この子と知り合い?だったら一緒に送ってあげるよ?」
「いや知り合いじゃない。でも誘拐されそうだから俺が送ってやろうと思ってな」
『エンジュ、そんなハッキリと言ったら…』
男たちはエンジュの爪先から頭までを下から上へと見ながらニヤニヤと笑う。
「マジかよ…俺たちは親切にこの子を送ってやろうとしたのに、誘拐だなんてマジで傷ついたわ〜。しっかりと慰めてもらわないとな!」
「本当に親切に送ってやろうとしたのか?」
「モチロン。俺たちって優しいからさ!」
「りょーか、俺の2つ目の能力を見せてやる」
前に居る男達には聞こえないほど小さな声で彾嘉に話し掛ける。
『能力?』
「ああ、俺の2つ目の能力は1人の人間に一日一回だけ本音を言わせることができる。まあ見てな」
彾嘉はエンジュの初めて見せる能力を黙って見ていることにした。
「だったらもう一度質問するぞ【お前はこの子に何をしようとしていた?】」
「だから言ってるだろ?俺はっ
質問をされた男は口をパクパクと数回動かすと。
「俺はこの子を自分の家に連れて行こうとしてた…」
「おい!なに言ってんだっ!」
もう一人の男が突然のことに慌てる。
「う〜わっ!きっも!やっぱり誘拐しようとしてたのか!引くわ〜」
「…ッハ!ち、違う!俺は一体…!」
質問された男は我に返る。
「さっきのは違う!そ、そうだ!お前が催眠術か何か使ったんだろ!」
「んなわけねぇだろ。もういいから、さっさと失せろ誘拐野郎」
その言葉を聞いた男二人は頭にきたのか青筋を立てる。
「もう完全にキレた!調子に乗り過ぎだ!」
男はエンジュに殴りかかる。
「バカだなぁ、ヘルメットしてるやつに殴りかかるなんて」
「ガアアアアァ…!」
拳をエンジュは被っているヘルメットで受け止めると、男は激痛で悲鳴をあげる。
「この!」
もう片方の男が蹴りかかるがエンジュは三メートルほどジャンプし避けると、そのまま男の顔面に着地する。
「ガアァッ!」
顔面を踏まれた男は地面に勢いよく倒れる。
「バカめ!この俺様に喧嘩で勝とうなんて一生無理なんだよ!」
男が苦しそうに立ち上がろうとすると。
「おい!!そのヘルメット私のだろ!!」
腰まで伸ばしたストレートの茶髪に、黒いマスクをした彾嘉と同い年くらいの女性店員がエンジュに向かって来ていた。
「ちっ …」
エンジュがシスターの少女に向かって走り出す。
『ちょっと!ヘルメット返さずに逃げるつもり?!』
「あたりめぇだ!このまま店員に捕まってヘルメットを取られたら、変装した意味ねぇだろ!」
「きゃっ…!」
シスターの少女を強引にお姫様抱っこする。
「悪いがこのヘルメットは少し貸してもらうぜ!ばいにゃ〜!」
少女を抱えてエンジュは走り出す。その速度は速く、女性店員と男二人が追いかけようとしたが数メートルで諦めてしまうほどだった。
「ヘルメット泥棒め…覚えとけよ!」
女性店員はエンジュが走り去って行った方向を睨みつけた




