『残像の行く先』ー終幕ー
『残像の行く先』ー終幕ー
㈠
荘厳なる残像の行く先を思考していた長期的な自己があった。何にも増して、ペシミストにならなかったこの、充実した時間を、終幕するには、些か早すぎるかもしれないが、人間は丁度、安定した処で、執筆する言葉を天に返さねばならない様だ。
㈡
所謂、残像の行く先の、終幕に於いてだが、夜道を歩くこともまた、何かしらの光を探している様で、虚無的自己存在の、孤独というものを知る中で、誰かが居てくれる世界のことに、感謝しなければならないだろう。それは、終幕という言葉に相応しいと思われる。
㈢
結句、残像の行く先を知っているのは、自分だけだということだ。そして、行く先を創造するのは、自分だということだ。もう、残像だけに任してはいられまい。自己の運命を打破するのは、自己だけが可能な宝石だろう。終幕したのは、自己ではない、残像のほうである。行く先を決めた自己は、残像をもう、振り返らないだろう。これからの、君の幸運を祈るばかりである。