91話
オカ達はゆっくり、静かに玄関まで異動する。
「うぅ……」
「い、いこう?」
メグとミズキが途中に転がっていた死体を見て一瞬足を止めたが直ぐに動かす。
(友達が、あんな殺され方されたら……)
死体はしっかりと両指とも切断されており、死体の周りの地面は赤茶色になっていた。
「あまり見ない方が良いわ、いきましょ……」
プルは二人の死体を少しだけ見つめて、玄関に向かう。
全員が着いて来ているのを確認してから、玄関に手を掛けると簡単に開いた。
「鍵は掛かって無いわね」
「罠なんじゃねぇーか?」
カンジの言う通り、罠の可能性は高い。
「罠だとしても、二人を倒すには入るしか無いわ」
そう言い、プルは家の中に入る。後を追う様に全員が中に入ると、そこには長い廊下が続いていた。
「本当に家の外観と中のバランスが違いますね」
カメラマンがシャッターを切りながら呟く。
「とりあえず、進みましょう」
ヒューズの言葉で全員が長い廊下を歩き始める。
廊下を歩く度にギシギシと音を立てている。結構な人数の為、静かな廊下には煩いくらい響いてしまっている様だ。
「こんな音立てたらバレるんじゃねぇーか?」
パークが周囲を警戒しながら話し始めた。その間もオカ達は足を止めず歩き続ける。
「そうね……」
プルも、これは流石に不味いのでは無いかと考えていると背後から声を掛けられる。
「ふふふ。もう遅いわよ?」
「!?」
一瞬で全員が後ろを向くと、そこにはアケミが立っていた……
「ようこそ、皆さん。私達のお家はどうかしら。気に入って頂けたかしら?」
和服を来たアケミが袖で口元を隠し可笑しそうに笑っている。
「ふふふ、何のおもてなしも出来ませんが楽しんでいってくださいね?」
「アケミ……」
オカは、小さく呟いたつもりだがアケミが、その声に反応した。
「おや? アンタは旦那と壮大な鬼ごっこをしていた子じゃないかい?」
「……」
「ふふふ、黙りっ子かい?」
アケミはオカに妖艶な視線を送ると、また何処からか声がして、女の子が現れた。
「ママ、オカはダメ!」
そこには、アケミと良く似た美しい女性が居た。ただ、アケミとは違って目が垂れているが、またそこがアケミとは違った妖艶さが現れている。
「アンタ……何勝手に出て来ているんだい!!」
女の子が現れたと思うと、先程までのアケミの表情が変わり激昂し始めた。
「ご、ごめんなさい」
女の子は直ぐにアケミに謝るが、アケミの怒りは収まらない様だ。
「本当ッッに出来損ないだね、アンタは!!」
すると、アケミは和服から取り出した扇子で女の子を叩き始める。
「ご、ごめんなさい。や、やめて!」
「アンタが! 居るから! ソラタが恥をかくんだよ!」
「ママ、ごめんなさい、やめて!」
(も、もしかして……)
オカは、アケミに叩かれている女の子を見て誰なのか分かった様だ。
「ハルカなのか……?」
オカの呟きに、激昂していたアケミの表情がスッと変わり、また妖艶な笑みを浮かべる。
「ふふふ。アンタ、この子に何も話してなかったんだね? それに関しては偉いわよ」
(な、何の事だ!?)
アケミの言葉が何を示しているのか理解出来ない、いや理解したく無いのかオカは頭の中が真っ白になっている様だ。
「あはは、ここまでのやり取りを見て分かるだろ?」
アケミはオカを見て笑う。
「ど、どういう事だ……?」
「あくまで、分からない振りかい……? いや、真実を知りたく無いって所かい?」
アケミはニヤリと笑いながら話し始める。
「アンタ達をここに誘き寄せたのは私達の作戦よ?」
「なんだと……?」
ヒューズも含め、パラノーマルのメンバーが驚く。
「あはは、アンタ達は、この子から色々情報を得て私とソラタを出し抜こうと考えていた様だけど、残念ね逆に貴方たちの行動が私達に筒抜けだったのよ?」
アケミは全員の表情を見回して喜び、最後にオカを見て更に嬉しそうに笑う。
「アンタがこの子に逐一情報を提供してくれて助かったわ。ありがとうね?」
(お、俺のせい? 俺が皆んなをここに連れて来た……?)
オカはパラノーマルのメンバーを危険な目に合わせてしまった事を悟り、放心状態になる。
「オカ……ごめんね……」
オカの様子を見て、ハルカが申し訳無さそうに謝る。
「あはは、生まれてから一度も役に立たなかったアンタだけど、まさか死んでから役に立つとは思わなかったね!」
ハルカを扇子で叩きながらアケミは愉快そうに笑う。
「さてと、説明も終わった事だしそろそろ……」
アケミの雰囲気が変わる。
「ソラタ、出て来なさい」
ハルカとは正反対の甘い声色で呼び掛けると、ソラタが出て来る。
「ママ、オナカヘッタ」
「ふふ、分かっているわ。今ご飯が到着したから、食べていいわよ?」
「ゴハン? コイツラ、タベテイイノ?」
ソラタはオカ達をじっくりと見回しながらアケミに問う。
「えぇ。好きなだけ食べなさい」
「ウン、オレイッパイクウ!」
すると、ソラタは自身が持っていた大きなハサミを目にも止まらない速さで投げつけたのだった……




