05
「あ、エレナ。おんぶされる気はある?」
「え、なに。あなたまさか変な意味で私と組もうなんて思ってたわけ?!」
「いや、違うよ。俺のスキルに【搭載】っていうのがあって、それを使えば人間を4人くらい運べるんだ」
「は? 【搭載】って騎馬とかが習得するスキルじゃない。あなた人間、よね?」
「ちょっと特殊な生まれでね。どうする? 【搭載】すれば【俊足】で一気に隣町まで行けるけど……」
「あなた【俊足】あるの? ふうん、【搭載】が嘘じゃなければ確かにその方が早そうね。私、歩くのも体力も自信ないし、……いいわ、ちょっと試しにおぶさってもらおうかしら」
「はいよ、どうぞ」
シュンは背負子でも用意しておくべきだったかと思いながらも、背中にエレナをおぶさった。
「絵面が最悪におかしいわね。で、本当に【俊足】なんて――」
「じゃあ行くよ」
ギュン! とスムーズな加速から時速100キロまで一気に到達する。
「ちょ、ちょっと待って、速い速い!!」
「うん? これじゃ怖いか?」
「怖いわよ! なによシュン、一体【俊足】、何レベルで――あ、目の前に魔物が!」
そこにはホーンラビットというそうたいして強くない魔物がいたが、シュンが足蹴にするとゴキャ! と嫌な音がして吹き飛んでいった。
「何いまの蹴り!? 格闘家ってこんなに強いの!?」
「今のはたいして本気じゃなかったんだけどなあ。あのくらいの小さいのだと轢いたみたいで気分もよくないなあ」
「って、ちょっと速度を落として……って、もう隣町が見えている!?」
「あ、じゃあラストスパートしよう」
「ちょ、やめてえええええええええええ!!!?」
シュンは八割くらいの速度で走ったが、……エレナは密かにチビっていたという。




