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休日のシュンを見てみよう。
手袋、ブーツ、武道着を身に着け、ダンジョンに入る。
一人でだ。
そんな奴は浅い階層で小銭を稼ぐ連中くらいなものだが、シュンは違った。
第三階層に来ると、全速力の〈突進〉でゴブリンパーティを崩壊に追い込む。
剣も魔法も効かないシュンだからこそできる悪どい戦法だった。
これを6人のときにやれば、簡単に第三階層を突破できるが、それは良くない。
第四階層で味方を死なせるパターンだ、とシュンは考えている。
あくまで6人のチカラで第三階層をクリアしなければならない、と。
シュンは特殊個体を解体して魔石を入手する。
それらをアイテムボックスに入れて、次へ進む。
コレを繰り返して第三階層は突破でき、第四階層にやって来た。
ここでも特殊個体が現れるため、できるだけ倒して魔石を持ち帰らねばならない。
早く戦力アップしなければ。
シュンは第四階層でも同じように〈突進〉で魔物を狩っていった。
たくさんの魔石を持ち帰ると、中にはいくつか使い物になるものもある。
例えば風魔術強化の形質。
これはシュビレナの杖に付与した。
例えば鷹の目の形質。
これは戦場を俯瞰して見ることのできるスキルのようなものだ。
これはルウのゴーグルに付与されている。
魔法に耐性のつくような形質は稀だ。
しかし必ず人数分揃えて、第三階層を突破してやる。
シュンはそう思って、魔石をたくさん確保して帰ってくる。
使えない魔石は探索者ギルドに売ればいい。
この日、魔法耐性の形質をもつ魔石がひとつあった。
それは前衛のニーナの防具に付与された。




