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翌日、シュンとビビはヘインズワース錬金術専門学校のエレナの研究室に向かった。
「いらっしゃいふたりとも。今日はどうしたの?」
「ゴブリンリーダーの魔石を手に入れたんだ。これはどういう使い方があるのか知りたくて」
「魔石!? 見せて見せて!!」
エレナに魔石を渡すと、エレナは棚にある眼鏡のひとつをとってかけた。
「魔石にはたくさんの形質が含まれているの。この眼鏡は魔石の中にある形質を鑑定する眼鏡だから、それが分かるの」
「へえ」
そういえばシュンは自分も【簡易鑑定】が使えることを思い出した。
鑑定してみると、《ゴブリンリーダーの魔石》であることが分かった。
残念ながらなんの形質があるかまでは分からない。
さすがは鑑定だった。
「ええ。大体分かったわよ。ええと……怪力、知恵者、カリスマだって。どれを何に付与しましょうか?」
「ちょっと考えさせてもらえるか?」
「うん。知恵者やカリスマは面白そうね」
怪力は自前のチカラで代用できそうだが、知恵者とカリスマはシュンのスキルにないものだ。
確かに付与するならどちらかだろう。
ただカリスマなどあっても仕方がないから、知恵者がいいとシュンは思った。
「決めた。知恵者の眼鏡を作って欲しい」
「分かったわ。付与対象は眼鏡でいいの?」
「うん。資料室で勉強するのに丁度良さそうだから」
「じゃあ銀貨1枚ね」
そう言うとエレナは【抽出】と【付与】を行い、かけると賢くなる眼鏡が完成した。
「ありがとう、エレナ」
「どうってことないわ」
魔石はチリになって消えた。
シュンは知恵者の眼鏡をアイテムボックスに仕舞うと、ビビと一緒に研究室を出た。
「なんだかシュンを見張ってるみたいになってすまないね」
「いや、いいんだよ。ビビの気持ちは分かってるから」
「シュン……」
「冒険者ギルドへ行こう。今日は早速、資料室で勉強しよう」
「アタシは眠くなりそうだから覚醒の眼鏡をかけるよ」
「あ、そうか。しまったな、両方付けられないや」
「今更気づいたのかい。それじゃエレナと変わらないね」
「本当だ。あはは」
ふたりは笑いながら冒険者ギルドへ向かった。




