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「いや悪かったねえ。結界を抜ける車があるとは思わなかったよ。あれ念が溜まるほど入れ込んでいたようだけど、車にそこまで愛着もっているってなかなかないよ。いや車オタクとかいるけどさあ。でも霊力込めて魔法的に装甲を強化しているっていうのはないよねえ。君、どっかの寺か神社の生まれ?」


 真っ白な空間に工藤俊介は居た。

 目の前には焦げ茶色の高級ソファにだらりともたれかかった白い貫頭衣の美女がいた。


「あの化け物は異世界から襲来したものでね。本当は結界を張って中で始末して、地上の人間には誰にも気づかれずに。はいオッケーだったはずなのよ。でもあなたが巻き込まれてしまった。上半身を食べられて、下半身はぐちゃっと潰れて。お生憎様、例の魔法装甲車もグチャグチャだねえ」


 まくしたてるのは日本語なのだが、内容がぶっ飛びすぎていて、工藤にはにわかに理解できなかった。

 しかし自分が異世界の化け物に殺されたこと、愛車がおじゃんになったことだけは、理解できた。


「いや、それだけ理解できれば十分だよ。じゃあ補償の話に入ろうか」


「補償?」


「そうそう。地球の神様として、手抜かりがあったのは確かだから。補償。これ条約で決まってるから、受けてもらうよ。あ、別に拒否するっていうならそのまま死んでもらうけど……神様の過失だから結構、来世は充実した人生を送れるよ?」


「来世?」


「そそ。まあイチから生まれ直すようなものじゃなくて、いまの工藤さんそのままで行ってもらうけど、お得な異世界渡航パックは必ず付いてくるから。転移場所の主要言語すべてと一年は暮らせるだけの金銭、それから簡易鑑定とアイテムボックス、現地の衣装と着替え一週間分、あとは呼吸を始めとした環境適応魔法が常時消費魔力ゼロでかかっております」


「ええと、なんか俺、これから地球じゃないところへ行くみたいな話になっているんだけど……」


「あ、そうなんですよ。地球に戻すのはもう無理。だって事故って死んじゃったんですもの。二人目の工藤俊介さんが現れたら、世界が大混乱しちゃうでしょ?」


「あ、そういうことですか」


「そういうことなんです。だから、あの犬の出てきたような危険なとこじゃないにせよ、魔物とか魔法とかある異世界なんで、今回の補償でガッツリ自分を強化してくださいね」


「危険なんですか?!」


「地球が安全すぎるんですって。特に日本が」


「まあそれは分かりますけど……」


「で、こちらがパラメータリストとスキルリストですねえ。ポイントは補償分合わせてガッツリと。お、工藤さん悪いことしてないし割とポイント高めだね」


「そう、なんですか……あの。愛車を新しい世界に持ち込むことってできます?」


「あ、それ無理です。ていうかハイオクないですよ、あっち」


「あ、じゃあ無限の動力機関とか、ガソリン生み出す能力とかで……」


「ていうか、すみません。そもそも高度に発達した文明の産物を持ち込むのが条約で禁じられているんです」


「あ、そうなんですか」


「百円ライターですら持ち込めませんから。まあ工藤さん、車にすごく愛着あったようなので、じゃあ車と同化するというのはどうでしょう?」


「え、なんですそれ!?」


「見た目は人間のままなんですけど、車のもっていたポテンシャル、つまり速度とか装甲とか車内にあるカーナビとか360°車載カメラとか……おやまあ4WDってことは【悪路走破】スキルもついてきますね」


「……たいです」


「はい?」


「合体したいです! 愛車を連れていけるなら、もう合体でもなんでもやってください!! ポイントいくら必要ですか!?」


「あ、じゃあこっちで車との合体作業は行いますね。ええとちょいちょいちょいの、こんだけ使って……お、まだスキルが取得できそうですよ」


「ええと、このリストですね? ……じゃあ護身用に【格闘】を」


「はい、ピッタリポイントゼロですねえ。じゃあこれで決定です。いやすんなり決まりましたね。なかなかないですよ工藤さん」


「あ、いや。どうも」


「そんじゃ転送しますね。なにか聞いておくこととかあります?」


「あのじゃあせっかくなので。あなたは何という神様なんですか?」


「あ、地球の既存宗教のいずれにも当てはまらないですよ。私、神様とか名乗ったけど実は派遣でして。任期が百年単位なんですけど、結構入れ替わってるんですよね。この星の管理者は~……まあ百人越えてますね」


「あーそういうシステムなんですか。分かりました、ありがとうございます」


「はい。じゃあ転送準備オッケー。……良い旅を」


 工藤は異世界に転移した。


気になったらブックマークと評価をよろしくお願いします。


魂(工藤俊介)

├【多目的スポーツ者】

│├【物理装甲】Lv5

│├【魔法装甲】Lv7

│├【俊足】Lv8

│├【悪路装甲】Lv4

│├【全周視界】Lv1

│├【カメラ記憶】Lv6

│├【ナビゲーション】Lv10

│├【歌唱】Lv8

│├【空調】Lv5

│├【照明】Lv5

│├【魔力庫】Lv5

│└【搭載】Lv6

└【異世界渡航パッケージ】

 ├【人類共通語】Lv1

 ├【簡易鑑定】Lv1

 ├【アイテムボックス】Lv1

 └【環境適応】Lv5

肉体

└【格闘】Lv1

精神

└【神道】Lv7


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