18
シュンは朝起きると、知らない部屋で目覚めた。
しかも隣には裸の女性がいる。
いや、裸のビビだ!
「う、ん……? もう起きたのかシュン」
「え、あ」
「まったく……酒癖が悪いんだな、お前。昨日はちょっとびっくりしたぞ」
「お、俺は……」
「ん? なんだ、まさか覚えてないのか? 全く……これだから男は……」
ぶつぶついいながら下着をつけるビビを見ながら固まってしまったシュン。
しばらくぼんやりそれを眺めて、自分も下着を身につけることにした。
ふたりで冒険者ギルドへ行くと、何やら騒がしい。
「何か事件があったに違いない。シュン、巻き込まれないようにこっそり近づいて、マズそうなら逃げるんだぞ」
「う、うん。分かった」
シュンはビビとの距離感に戸惑っていたが、それを気にもとめないというか気づいていないビビだった。
異性経験の差が如実にあらわれていた。
冒険者ギルドの騒ぎは、どうやらゴブリンの集落がみつかったことによる強制依頼の話題だったようだ。
「強制依頼か……受けざるを得ないね」
「そういうものがあるのか。ゴブリン……」
獣を捌いたことはあっても、人型の生物を殺したことはない。
シュンは少しだけ不安になった。
「サーベルタイガーをひとりで倒したアンタがビビるこたないだろ」
「そうなんだけどさ。人間と同じ形をしているんだろう?」
「ああ。人を殺したことがないのかい。まったく……チグハグな奴だなあ。じゃあ一緒にいて気をつけてやるから……」
「あ、ありがとうビビ」
「ふん」
強制依頼は午後かららしい。
それまでは自由時間だったので、ビビとカフェに行った。
初日にエレナと来たサンドイッチが美味しいカフェだった。




