愉快なサーカスの朝がゆっくり過ごせるわけがない。
初投稿の見切り発車です。拙い点、誤字脱字もあるかもしれませんがよろしくお願いします。
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――――深い深い森の奥、常に曇天で霧雨が降り、触れれば切れる針葉樹の中に霧雨も鬱屈とした空気も似合わない赤と黄色で彩られた大きなテントがでーんと居座っている。
そのテントこそ『第5エリア"霧雨の森"』最終ボス【戯曲曲芸団・カプリッチョ】である。
そこに1歩踏み込めば君達が出会うのは豪快で繊細な音楽にあわせ踊る麗しい踊り子、おどけた仕草の双子のピエロ、大男による大道芸、魔獣達の多彩な芸、軽業師のアクロバット、愉快な司会、そしてその彼等との血濡れた戦い。
さてはて、君達は彼等と何を楽しみたいだろうか?
「さぁ…自由で巫山戯た曲を奏でようじゃないか!!」
◇◇◇
しとしとと今日もこの森は雨が降り続けている、その雨を眺めながらゆったりと陰鬱なホットなコーヒーブレイクを楽しもうとカップを口につけたが…
――――ドッガァァァァァン!!!!!
テントが揺れるほどの衝撃と衝撃音でコーヒーが顔にかかった。
「うぁあぁつっっっ?!」
思わずカップを放り投げ水魔法がかけてある魔道具を使い顔面に当てる
「うぐぅっ?!」
少し鼻に入りとっさに顔を離し鼻をかめば、ドタバタと足音が聞こえバンッ!とドアが開きそこには必死な形相でコチラを見る青年がいる。
「ハァッ…!だっ、団長!シュレイヤ団長‼シルキーさん!シルキーさん見ませんでしたか?!」
彼はこの曲芸団に勤める第7節団のヤック、この曲芸団には欠かせない戯曲を奏でる演奏者である。曲芸団の中では年齢の若い部類に入る青年だ。
「ぅえほっ…えほっ…んあぁ?シルキー?いや、見てないけど、またなんかアイツやらかしたの?」
「そうなんですよっ!団長‼シルキーの使役してるバーンライガーのデスソースが寝ぼけて脱走して暴れてるんですっ!」
「それでさっきの揺れかぁ…んで今ソースは誰が抑えてんの?」
時間的には朝だからか少しけだるそうに尋ねれば言いづらそうにまごつくヤック。
「ええっと、その…」
そのまごつきに嫌な予感が走り少し躊躇いながら最悪の人選をした。
「……まさかイクスがやってるって事はないよな?」
イクスは副団長で団長のシュレイヤと共にこの曲芸団を設立した5人の初期メンバーの1人でもある、基本冷静沈着でものわかりのいい男なのだが、
「あ〜…えっと、はい。…そのまさかです。」
欠点は狂戦士だと言う事だ。
それを聞いた途端サァッと顔が青ざめて悪い展開が浮かび思わず叫びながら走る。
「うわぁぁぁぁ!!!舞台の修繕費がっ!シャレにならなくなるぅぅうう!!」
―――ボガァァアアアン!!!!
また1つ大きな衝撃音がテント内を駆け抜けた。