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第8話 商談よりも真面目そうに話しますね

 

「ただいま帰りました。」


 無駄に荘厳な雰囲気のする玄関を開けて戻ってきた私は叔父と叔父が見送ろうとしている若い男性と、叔父と同じくらいの男性と遭遇した。東郷家は家族用と来客用の玄関が別れておらず、下駄箱の位置が違うだけなのでよくある事なのだろう。そう思いながらお互い数秒間固まっていたが、私は叔父が後見人扱いなだけなので特に関わる必要の無い者達だろう。


 なのでそのまま客人に挨拶してスルーしようかと思ったのだが叔父に止められる。恐らく私の表情を読んで相談したい事がある事を見抜いたのだろう。なんというか叔父は私のライダーが関わっている事柄についての表情を読むのが異様に上手い。まぁ、本来ならば自分の娘や息子に対して発現するのが普通なのだろうが……叔父と同レベルのライダーファン及びオタク兼マニアは私しかいないので仕方ない。


「……攻略者になった事と、ダンジョンツリー[特撮]で手に入れた討伐報酬について話したかったんですよ。」


「成る程……ちなみに何が出たんだい?」


 叔父はその言葉に驚いていたが見送られる筈の2人の男性も驚いていた。ただ、特撮という言葉に反応したのが叔父と同年代の男性であり、[特撮]というダンジョンツリーの名称に反応したのが若い男性だった。特に叔父と同年代の男性が興味津々といった体で聞き耳を立てている。


「最初に出たのは幻と呼ばれるラミーデュエルの第8弾筐体ですね。それもカードと印刷機能も完備されてます。」


 普段ならタメ口で話すのだが、客人がいるのでこのまま敬語っぽく話す事にする。叔父は少々困惑しているが、それよりもラミーデュエル第8弾の方に興味を出していた。実際、玄関前に設置してみると新品同然なのが分かる。


 ちなみにラミーデュエルというのは平成3作目の時代に出たライダーのカード系アーケードゲームであり、コンセプトはモンスターと契約し、自分だけのオリジナルライダーを作り出せ!だ。プレイする為に専用のデッキケースが必要になるが300円で買えるので良心的だ。デッキケースの色によってオリジナルライダーを構成するカラーも変化するので主人公の赤色や準主人公の黒に近い紺は人気があり品切れな事も多かったそうだ。


……………ラミーデュエルの手順…………

初回プレイ前の準備

1.300円(税込み)で売られている専用デッキケースを購入する。

2.デッキケースに付属しているカード3枚をデッキケースに入れておく。


初回プレイ時

1.はじめてプレイするを選択する。

2.本当にはじめて?の選択ではいを押す。

3.ストーリー鑑賞後、契約したいモンスターを選択する。

4.印刷されたエンブレムカードを画面に従ってデッキケースに入れる。その後印刷されたカード3枚をデッキケースに入れる。

5.チュートリアルをクリアする。

6.遊んでくれてありがとう!の画面が出た後、通常カード排出口から出てきたカードを取り出す。


2回目以降のプレイ時

1.100円を投入した後、通常カード排出口から出てきたカードを取り出す。2人プレイの場合はさらに100円必要。

2.遊び方ではじめて遊ぶ以外を選択する。

3.デッキケースを画面に向けて突き出す。この時、画面にベルト装着のムービーが流れた後、ベルト部分にデッキケースを装着する。

4.基本的には攻撃、防御、決め技のフェイズで短期決戦を行うスタンダードモードと、自由な戦闘を楽しめるファイトモード、友達と対戦できるバトルモードがあり、いずれかで遊ぶ。

5.ゲームが終わると遊んでくれてありがとう!の画面が表示される。エンブレムカードの記憶容量が限界の場合は新しいエンブレムカードが印刷されて排出される。


捕捉

・デッキケースはアーケード専用品の為に他のベルトに付属している物とは構造が異なる為、お互い装着できない様になっている。しかし第5弾稼働の時にオリジナルライダーに変身する気分を味わう為という理由でベルトが通販限定で発売される。

・ゲームオリジナルライダーは逆輸入もされなかった為、フィギュアは発売されていない。

……………………………………………………………………


 この作品の面白い所はオリジナルライダーの他に過去のライダーや後に登場するライダーも使える様になった事だ。まぁ、第6弾から第7弾の間には2年程間が空いたという。次回作以降の敵からオリジナルライダーを作れるというのがシリーズを長く続けられた秘訣なのだ。ただ、幻と言われる8弾が正式に稼働していたのは僅か3日間であり、すぐに第9弾が稼働したのだ。


 こうなってしまった理由は平成一期最後のライダーで3番目ライダー登場回に合わせて8弾を出したら新ライダーが現れたので慌てて新ライダーや見送りにしていたモンスターを追加した第9弾を稼働させ第8弾筐体を全て回収してしまったのだ。この為、第8弾で初登場のオリジナルモンスターは激レアとなってしまったのである。ちなみに第10弾がラミーデュエル最終作となり、筐体を買い取ろうとした人も多くいたとかいないとか。


「実際に変身する過程も楽しめる良い作品だったけど、後発作品を多く取り込み過ぎてしまってたからねぇ……。」


 流石にデータがパンクしそうになっていたので仕方ないとの事だ。まぁ、オリジナルのデザインを考えるだけでも大変だったのだろう。本編に出てこないライダーの方が多くなるという悲しさもあった訳だし。ちなみに原作設定ガン無視になるのはどの作品でも仕方ない事なのでスルーして貰いたい。


「……まぁ、これはコレクションとしてどこかに出して貰おうかな。で、もう一つは何だったんだい?」


「成人用のニンケンレッド変身グ「それ見せてくれないかな!?」………へ?」


 私と叔父は戦隊物に付いての知識はライダーとのコラボで知っていたりはするものの、グッズを集めるなんて事はしていない。強いて言うならコラボした映画やOVA等で見た事があるレベルなので話の途中に飛び込む事はしない。だが、叔父と同じ年齢層の客人がズイッと話に割り込んできたのを見て若干引いてしまった。


「あ、あぁ…すまないね。私は西都 (つよし)。一応西都財団の会長をしている。……父が急死しなければ会長にはなっていなかったんだがね………。」


 彼はどちらかというと上に立つのでは無くサポートする方に適性があった事から父親と相談し、年の離れた弟妹を跡継ぎとして教育していこうと話していたらしい。しかし彼が大学進学をする前に父親が死亡してしまい、充分に育て切れていない弟妹達を会長にする訳にもいかず会長に就任。本人は代理のつもりだったのに今でも会長のままという立場なのだという。


 その為か部下にもフレンドリーな態度……というか遠慮無く文句やら手を出される様な関係になっているのだろう。鬼気迫る表情で私に近づいていた西都会長の首根っこを掴んで後ろに引いた後、流れるように礼をさせた運転手らしき男がそれを物語っていた。


「ウチの会長がすみません……。あ、俺は会長の秘書兼専属運転手兼奥様から送られた監視役兼会長の長女のコミケで売り子する役役兼[特撮]スタンピード対策パーティリーダーの朝陽(あさばれ) 慶一です。」


 肩書きが地味に多い気がするが、それだけ苦労しているのだろうと思える。彼は若く好青年という印象があるが故に白髪ができはじめているのが残念に思う者が多いだろうと見える。元々は攻略者として活躍しており[特撮]のスタンピードを終息させたパーティのリーダーだったらしい。しかしその後[死々]というダンジョンツリーに挑戦した際に愛用の武器が装備できなくなる様なトラウマを植え付けられて引退したそうだ。


「まぁ、拾ってくれた事には感謝しますけどね……流石に短期間で大型車の免許、飛行機やクルーザー、戦闘機や戦車の運転技術、ベタやトーン貼りに背景の描き方や重鎮の顔を覚えさせられましたけどね。あ、1番辛かったのは戦隊物の知識ですね……変身ポーズ全ては流石に覚えるの辛かったです。」


「いや何かさせないとすぐにリストカットしてしまいそうな雰囲気醸し出してたし仕方ないじゃ無いか。私が目を離した隙に漫画のアシスタント技術やサイリウムの振り方、お菓子作り等も覚えさせられていたのは驚いたが。」


「今となってはあれくらい詰めこんでないとすぐに自分を傷つけてましたからね。幻覚と分かっていても自分の武器で自分の仲間を切り裂く感触は……まぁ、今となってはどうにか乗り越えられそうですが、当時の私には無理なトラウマですし。」


 そんな事を話しながら私は引き取って貰えそうという理由でニンケンレッドの変身セットを取り出す。〖収納EX〗から取り出したそれはスーツケースに入れられており、『始めに開けた人専用となります』という注意書きがしてあった。それを見た西都会長は悩んだ。それはもう、本気で悩んでいた。


「自分で着たいのもあるけど変身シーンをみたいのもある……どうすれば良いだろうか?」


「いや会長、なんで今日の商談で何を話すかを悩んでいる時よりも辛辣な評定してるんですか……。」


 自分で変身したい気持ちと変身している所を見たいという気持ちが強いのだろう。しかし悩んでいる際に作品の情報を呟いてくれるのはありがたいと思うのだった。いやネットで調べるとたまに知りたい情報だけ抜けてる時あるんだよね……それも結構な頻度でだ。なので質問すれば帰ってきそうな状況はありがたいと思うのだった。


………忠臣戦隊ニンケンジャーのあらすじ………

悪の秘密結社、悪認党のボスと幹部達を成敗すべく紅の里の筆頭忍者である武滝 戒刃、白の里の筆頭忍者の密目 貞治はあと一歩の所まで追い詰めていた。しかし悪認党の目的である墜血武者の魂が解放された事により形成は一気に逆転されてしまう。


 密目は刀で左腕を貫かれ、武滝も致命傷を負ったものの、何とか逃げ出す事に成功する。しかし密目は武滝を救うために囮となって捕まり、全身を焼かれてしまった。そんな彼の為にも何とか逃げ切った武滝だったが大量出血により意識を失う。


 彼が次に目覚めた時、武滝は犬の姿になって紅の里の長に保護されていた。そんな長の元に筆頭忍者の招集が掛かる。紅の里の長はいなくなった武滝の後継者がまだ育ってない事を心配するが、武滝は自分が付いていくと忍犬という形で後継者と同行する。するとそこに集まっていたのは青、黄、緑の筆頭忍者と密目の後を継いだ白の筆頭忍者であった。彼等は墜血武者の復活に備えて作られた変身アイテムを持って行く。


 最初の敵の威圧で怯んでしまうが、武滝の後継者は恐怖と筆頭忍者としてのプレッシャーに勝てず変身出来ず、アイテムを落として逃げてしまう。初めての戦闘で苦戦を強いられた他の4人と目の前に落ちている変身アイテムを見つめた武滝は意を決して変身アイテムを使い、人型のニンケンレッドへと変身するのだった。


後半のネタバレ(追加戦士関連)

 物語の中盤で1話で逃げ出してから修行に向かわされた武滝の後継者は、修業先で忍犬の素質を持つゴールデンレトリバーを見掛け、供に修行する。そして彼女は新たな力、ニンケンピンクとなる資格を得て救援に入る。


 しかしニンケンピンクは敵を倒すまでに行かず、苦戦。そんな中彼女と修行していた犬がニンケンシルバーへと変身。実は彼女と修行を供にしていた犬の正体は密目だったのである。密目もまた忍犬として蘇っていたが、目覚めた場所が修行場だったので鍛錬していたので合流が遅くなったという。

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