第42話 嫌がらせ
実話を元にしています。
「男のくせにスカートなんて履きやがって気持ち悪いんだよ」
また、嫌がらせを言ってきた。
陽子が「悔しかったら、あんたも履いて来な」と言った。
「たれがスカートなんて履くか。女のくせに生意気な」
あーあ、また、掴みかかってきたよ。懲りないね。
「まだやる?」
あっさり陽子にやられてる。
だいたい女は弱いと思って、男には勝てないから、女にかかってくる辺りで情けないんだけれどね。
「女にやられたからスカート履く?」
祐子がスカートを持って来た。
「誰が履くか」
捨て台詞を残して逃げてった。
だったら最初から絡むなよ。鬱陶しい。
別に、お前なんか相手にする義理もない。
あははははははははははははははははははははは
女子に大爆笑されている。
けんかに弱い頭も弱い奴が女子にけんかを売るのはよくあるが、そして負けたら恥の上塗りと相場が決まっている。
逃げた先で男子にも笑われている。
ぎゃははははははははははははははははははははははは
こういう奴は陰険に待ち伏せしたり、助太刀を頼むんだろうな。
仕方ない、しばらく陽子を家まで送ろう。
そう思っていたら、親が学校に来て抗議しているそうだ。
女装している「男子」がいるのが悪いそうだ。
けんか売ったのは悪くないらしい。
モンペ親は、学校に抗議し慣れている様だが、自分の息子がけんか売ったのはみんな見ていた。あっさり処罰が決まった。
そらそーだろ。
親は、「呆れた学校だから」転校させると言っていた。
それは願ってもない。さよならー。
次の学校でも僕みたいなのにけんか売って、入れてくれる学校がなくなって、中卒で社会に放り出されるのかな?
今はセクシャルマイノリティ差別に厳しいよ。
まぁ、けんか売っている段階でアウトかな。
陽子は武術道場の娘。幼児期から武道をしている。
けんかを売った相手がものすごく悪かったね。
「女は弱い」
とは限らないのさ。
僕もけんか売られやすいけれど、相手を怪我させない様にやっつけるくらいは慣れている。だいたい武道というのは暴力を止めるためのもので、暴力を振るう者を制圧するための技だからね。
それにしても、陽子が武道系の部活をしないのは、武道の練習をうんざりするほどさせられているからで、おとなしいと思い込む人が多いのは、観察出来ないんだろうな。
それにしてもスカートを履いているだけで言いがかりを付けて、親もその行動を正しいとするなんて、迷惑だから、早く転校して欲しいな。
生涯誰からも肯定されないと思うけれどね。
この地方にはこういう人達が多いらしいけれど。
だいたい、今の時代に人権差別を肯定していてどうするの?
読んでくださってありがとうございます。