第41話 愚痴
実話が元になっています。
朝に、すでに習慣になったブラジャーを着ける動作をしていた。
背中の密着したベルトの感覚は大して重要ではなさそうだ。
問題はカップの感覚だ。
手で触ってもカップの内側だが、乳房で触ると、丸く押し上げられて、寄せられる感覚が独特のものだ。
まーるくカップが乳房を包み込む。そして、身体の前に固定する。
この感覚に慣れると、着けていないと不安定に感じる。
乳房の根元が重いものを支えている感覚になる。
ショーツも前には身体に沿って後ろには膨らんだお尻に沿って膨らむ。
この感覚が女装する人には魅力なのかな。
まぁ冷静に考えると、男性に乳房はないしショーツを履くには邪魔なものがあるんだけど。半陰陽だと、この感覚もかなり女性に近いのかな。
「良いだろー」と言うと石が飛んで来そうだ。
それにしても「僕は半陰陽です」と言うと、「そんな者は存在しない」と言ったり「性染色体に異常がないのは有り得ない」とか「生理があるはずがない」と言う人達がいる。ほっといて。
ネットで言うと「嘘吐き」と中傷してくる。
まぁ、ネットで何か言うと悪口を書き込んでくる人というのはいますけどね。
セクシャルマイノリティについては、特に半陰陽などのインターセックスについては「本当はいない」と言う人達が教員にもいますからねー。
「知らない」と言えない教員がいて、知ったかぶりをするので困るよな。
他の学校で「実は僕は半陰陽なんです」と言った人が「そんなのいるわけがない」と言われた事がある。
キリスト教の教会で「うちの教会に来るな」と言われたインターセックスの人もいる。
実態はかなり差別的だからのほほんとはしていられないんだよね。
性染色体に異常があっても乳房が膨らんだり性器が小さかったりするし髭が生えなかったりするけど、必ず性染色体に異常がないといけないというものでもない。
まぁ、色々あるわけですよ。
実際、半陰陽になる医学的事情がすべてクリアになっているわけでもないしね。
まぁ事情がどうあったとしても、半陰陽で生まれた以上は死ぬまでそれで生きていくしかないわけで、差別したい奴が何をしようと知った事ではない。
敏子の様に子孫を残せない人もいる。
そして子孫を残せないのは個人の責任ではない。
誰の責任でもない。
そういった事について無責任に非難する人はいる。
「あなたが男に生まれた事について非難します」と言われてもどうしようもない。
同じような事だ。
最近は半陰陽であるからと差別したら会社内での処罰を受ける会社も増えたし、学校で半陰陽だからといじめをしたりすれば懲戒対象となる様になってきたが、まだ意識の中に「気持ち悪い奴を排除して何が悪い」という意識があったりする。
学校の教員なんて「男らしくしろ」「女らしくしろ」と当然の様に言うが、半陰陽に限らず、性同一性障害についても何も考えていない。
まだまだ僕や敏子の様な人や彩の様な人が暮らしやすくはない。
表だって教員が授業中に差別的な事を言う事はないけどね。
そんな事をすれば教育委員会に呼ばれて叱られるからね。
でも、教員を性同一性障害だからとか、半陰陽だからと同僚の教員が蹴ったり「汚い触るな」と怒鳴ったりすることがなくなったりしていない。
いつ生徒に殴り掛かるか分かったもんじゃない。
読んでくださってありがとうございます。