第4話 帰宅中のおしゃべり
女の子のおしゃべりの話です。
家に帰っていい時間になった。
「一緒に帰ろう」
「良いけど。僕は列車だよ」
「私も同じよ」
「ふーん。じゃ一緒に帰ろう」
ローファーに履き替えて校門を出る。学校の目の前の駅に着く。
「初日なのにスカート履き慣れてるね」
「お母さんが何かというと履かせてたからね」
「そっか。生まれた時に将来女の子になるかも知れないと言われてたから、困らないように練習させてたのかな」
「うーん。ただ履かせたかっただけかも」
「ふふっ」
「寒くなったら、素足が風に吹かれたら寒いだろうなぁ」
「そこは根性よ」
女の子でいるにも根性が必要なのか。
レールバスがだんだん田んぼだらけの景色の中に進んでいく。
「君はどこで降りるの」
「野中駅よ」
「僕と一緒だ」
「僕はやめて私にしたら」
「何か恥ずかしいよ」
「もう女の子なんだから」
「うーん。そのうちにね」
「みんながね。あなたか女子の制服着てきて安心したと言ってたわよ」
「何で」
「やっぱり、女の子体形だから、女の子の服じゃないとなんか嫌だったみたい」
「そんなもん?」
「そんなもん」
「一人だけ男装しているのは嫌だとかかな?」
「あら、男装だと思っていたの?」
「知らない女の人から『どうしてスカート履かないの?』と言われた時に『男装が好きなの?』と言われたことはあるから」
「へー。そういったことがあったんだ」
「あの時はその後スカート持ってきて『ほら履いてご覧なさい』と言われて焦ったよ」
「スカート嫌いな子もいるのにね」
「うんうん」
野中駅に着いた。レールバスを降りる。
「じゃ。また明日ね」
「うん。また明日」
家に向かって歩き出した。
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