第36話 敏子の幸福
体験を元にしています。
朝、学校に行って教室に入ると敏子がいた。
なんだか、女子の制服を恥ずかしがるどころか、満足そうにしている。
「昨日、病院に行ってお母さんに会ったよ」
「そう。何か言ってた?」
「うん。ブラジャーを自分で着けたと言ったらびっくりしてたよ」
「え、何で知ってるの?」
「そりゃあ女子の間で評判だもん」
「『女子の間で』ね」
「どうしたの?」
「僕は女の子でも男の子でもないからね」
「半陰陽の事?」
「そんな事まで聞いたんだ」
「女の子になりたいの?」
「そりゃ。なれるものならなりたいよ」
「女子の制服着てるから、もう女の子でしょ。女性器もあるんだから」
「痕跡がね」
「痕跡でもあるんだから」
「解らないかな。僕の身体に機能する性器は無いんだよ」
「つまり?」
「機能しない性器が二種類あっても、無いのと同じ。だから生き方として、男でも女でも好きな方を選びたい。で、僕は女で生きたいから女子の制服を着た」
「だから女子の制服を着たんだ。恥ずかしくないのもそのせいなんだね」
「君みたいに、かなり成熟した性器があって、女子の性器が完全に機能しているから女の子になったのとは違うんだ」
「僕は機能する性器なんて欲しくなかった」
「どうして?」
「僕は男の子でいたかった。この前泣いて解った。なのに身体は女の子になろうとしている」
「なるほど。だから結婚して出産なんてしたくないんだ」
「そう」
「世の中思う様にならないね」
「でも女の子で生きたいなら、みんなに事情を説明しようよ。僕が女の子として認められているのと事情は一緒なんだから」
「ありがとう。そうしてもらうと嬉しい」
ちょうど陽子が来た。
陽子に事情を説明する。
「うん。解った。敏子は正式に女の子よ」
みんなに説明しに行った。
嬉しそうな顔をして女の子が集まって来る。
「そういう事なら早く言ってくれれば良いのに」
男子が、何があったのか分からず不思議そうな顔をしている。
彩やゆきは着替えは一緒にしてもらうまで時間がかかったが、敏子は即日認められた。
お風呂も一緒で良いらしい。
彩が羨ましそうだ。
敏子がブラを着けるのにズレなかった理由が解った。
「女の子どうしの友情を学校を卒業しても続けましょうね」
敏子が嬉しそうだ。
敏子は髪を長くしていたから整えたら女の子の髪型になりそうだ。
靴入れも女子のエリアに移し、上履きも女子用にすることになった。
敏子は正式に女の子として扱われる事になって嬉しそうだ。
スカートを弄って、嬉しそうに笑ってる。
何日か更新を休みます。
昔のエピソードを思い出して書いていますから、少し思い出して書く用意をします。
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自助団体関係で動いた事もありますし、今も、違うところで同じような事をしています。