第35話 二人目の半陰陽
実話を元にしています。
「敏子の制服が出来たわ」
三人目の女装男子がデビューらしい。
彩、ゆき、敏子と続いて来た。
女子と一緒に着替えたいから女子の制服を着て来ると言っていたが、本当かな?
登校して来た敏子が女子に連れられて行く。女子がブラを持っている。
しばらくしたら女子の制服を着て来た。平然としている。
「恥ずかしくないの?」「別に」
うーん。女装に慣れているのかな。
自然に女子のグループに入っている。
謎な子だ。
「あの子旧家の出身で学校に上がるまで女の子の服着ていたんだって」
そういう風習があるのか。
「由紀子は良いな。本当の女の子と男の子の経験が出来て」
そういうものかな。
「生理の経験はしたくなかったな」
「でも自分のおなかを痛めて我が子を産めるなんて」
「代われるものなら代わりたいよ」
気が知れない。
敏子はウィッグも用意していた。
「あれ、女装した子が増えると聞いていたが、女の子だったかな?」
敏子は違和感なく女の子になっていた。
所作も女の子のものだ。これなら女装にためらいがないだろう。
むしろ、女装している時が本来の姿の気がする。
スカートの下の足はきちんと脱毛してきたらしい。
ゆきは毎日剃られているらしいけど。
それにしても、僕は本物の女の子なのに女装男子の子が寄ってくる。
県には性同一性障害と届けているらしい。
ゆき以外はそうなんだろうな。敏子が性同一性障害ではないとは信じられない。
ゆきも抵抗せず女子の制服を着ているから、そうなのかも知れない。
そんな事を考えていたら「由紀子、先生が呼んでいるわよ」と言われた。
先生のところに行く。
「何ですか?」
「いや、校医の先生が一ヶ月に二三回は来てくれと言っているそうだから」
何でかな。
「特異なケースだから、健康診断をしたいらしい」
ふーん。
注射は嫌だなぁ。
「すまないが、今から行ってきてくれ」
むぅ
病院に着く。
診察室に直ぐ連れて行かれた。
「やぁ。敏子はどうしていた?」
え、何で敏子の事を聞くのかな?
「私は敏子の母親なんだよ」
「それを聞くために来させたんですか?」
「いや、君が精神的には女の子にならないと聞いてね。あの子には女の子のグループに入って観察してくれと頼んだのさ」
「そうだったんですか。しかし敏子さんは平然と女装してますよ」
「あの子も半陰陽だからね。ただし女性器は痕跡程度だが」
「なるほど。だから僕が羨ましいと言ったのかな」
「ふーん。そんな事をあの子がねぇ」
「女の子の服を着せられても全く嫌そうじゃなかったって」
「まぁ、あの子の男性器も未熟だからね」
「だからブラを着けてもズレなかったのか」
「え、あの子ブラジャーも着けたの?」
「はい。自分で着けたって」
「ふむ。こっそり着ていたのかな?」
「先生、診察は?」
「ああ、ごめん。忘れていたよ」
忘れるなー。
血液検査して、腎臓が少し悪いと解った。
まあ、経過観察で異常が無ければ良いらしい。
子宮は普通の女子とサイズも機能も変わらないらしい
ただホルモンバランスは崩れているから定期的に診た方が良いらしい。
読んでいただいてありがとうございます。