第29話 いろいろな行事
実話を元にしています。
女子の制服を着て学校に行くのに慣れたと言うよりも、当たり前になってきた。
最近は男子の制服を着た自分を想像すると恥ずかしくなる様になった。
そして、季節はスカート登校の大敵の冬になる。
スカートを履いていると意外にスカートの中は暖かい。
けれどスカートの外は寒い。
我慢しているけれど、寒いものは寒い。
「おはよう。今日も寒いね」
駅で会った女子と挨拶する。
近くにいた男子が「女子は寒がりだなあ」と呆れた様に言う。
君もスカート履いてごらんと言いたくなる。
暖かいズボンを履いている人には冬の女子のスカートの寒さは解らないだろうな。
教室に着くとストーブの周りに女子が集まる。
男子が「ストーブの周りに女子が集まると男子が寒いだろ」と言っている。
当然無視。スカートを履いている彩とゆきには場所を空ける。
「ゆきは冬にスカートを履いている女子を馬鹿にしていたけれど、今はスカートを履いているからね」
「あの時は悪かったよ。今は馬鹿にしていないよ。だから男子の制服着ても良いだろ」
「だ~め。もうゆきは卒業までスカートを履くの」
ゆきはほっぺたを膨らましている。
女の子の様な仕草をするゆきを見ていた女子達は、この子卒業してもスカート履く様になるかもと心配になる。
でも、そうなったらウェディングドレスを着て『お嫁さん』になれば良いかと考えてしまう。法律上男性と女性の結婚だから問題は無い。
でも、そうなるとお婿さんが出産?思わず笑いをこらえる女子達であった。
それにしても最近、僕と結婚したいという男子が増えた。
僕と結婚したら、男の気持ちも分かってくれると考えているらしい。
僕は男の子と結婚して、キス!その後子供を産むまでの一連の行為…「おえっ」である。赤ちゃんを産むのが自分…。勘弁して。
そうこうしていたら、修学旅行になる。
僕たちの住んでいるところでは奈良や京都ではなくて北海道にスキーをしに行くところが多い。
僕たちの学校も札幌に行く。福岡まで行って千歳空港。そこからバスで札幌の南に泊まり、スキー場もバスで行く。
レンタルのスキーウェア一式とスキーを借りるがアンダーウェアは買う。靴下も買う。
当然ウェアはださい。
その格好で札幌観光とか思春期の生徒をなんだと思っているのかな。
それで、みんなが八の字八の字をしている横を滑降する。
曲がりたい方向に反対の足を上げて蹴り込む。その時曲がりたい方向にバランスを傾ける。それで良いのさっと。
大雑把だが親戚の人に聞いた方法だ。
余談だけど、僕の住んでいるところでは迂闊に北海道に親戚がいると言うと「精神病ではないか」と言われる。そんな遠いところに親戚がいるわけがないというのだろうけど 理不尽な話だ。この全国規模の転勤がある時代に、何のつもりだろう。
で、修学旅行のスキー教室なんだけど、滑れる人は自由に滑って良い。
だからボーゲンをしている人の横ですいすいと滑っている。
「入試にも滑りやがれ」とか言われる。
「大丈夫。僕は女子大も受験出来るから選択肢が多いもん」と言うと「じ、女子大~。羨ましい~」と言う悲鳴にも似た声がスキー場に響く。
多くの学生が女子だからもてるとか思っているのだろうね、自分もその女子の一人でないと入学出来ないと解ってないだろ。。
それとも僕は女の子なのに、男の子と思われているのだろうか?
とりあえずスキーも終わってお土産を買いに札幌へ。
「黒い恋人達」とか「八花亭」のチョコとかを買った。
そして狐小路でラーメンを食べた。
と簡単に修学旅行の話を流す。
だってお風呂の事は恥ずかしいから言いたくないもん。
そのあと、バレンタインでも、女の子から本命チョコをもらっちゃった。何で本命と解るかというと、ブラックチョコにホワイトチョコで「本命」と書いてあったんだもん。
それにしても陽子と俊子が僕にくっついて来る時に「核融合~」と言うのは止めて欲しい。もちろん離れる時には「核分裂~」と言うんだけどね。
修学旅行のお風呂の話がなぜ恥ずかしいかというと、みんな「わぁーちっちゃーい。これじゃ男の子とは言えないね。誰かルーペな~い?」なんて言うんだもん。
寝る時は女子の部屋なんだけど、ここでもみんな「この子を男子と寝せたら『修学旅行ベイビー』が出来ちゃうもん」なんて言ってた。
もう普通に女子だねぇ。
北海道修学旅行に行くと、僕らの地方の子達は暖房が暑過ぎると言って窓開けて凍り付かせて夜中に部屋移動してた。これもお約束なのかな。
読んでいただきありがとうございました。