第21話 変化
実話を元にしています。
脚色は個人特定できないようにするため程度に抑えています。
お風呂で身体を洗っていて、ふと股間に目が行く。
そのまま目がとまる。
僕は漫然と女の子になるか男の子になるか選べると考えていたけれど、こんな状態で男の子を選べたんだろうか?
その下に目をやると遅れを取り戻すかの様にどんどん膨らむ乳房が見えた。
腰骨も広い。
僕は男の子になるのを諦めて女の子になる事を考えて正解だったのかも。
いや、女の子になるのが必然だったのかも。
そう考えたら、何か怖くなってきた。
声も高くなってきた。
「うーん。考えても落ち込むだけだから寝ちゃぉう」
お風呂を出て身体を拭いて寝た。
ぐー。
朝になる。起きる。
女の子の下着を着る。
女子の制服を着る。
「こんな女の子の服を着ても、男の子と結婚して子供産んで育てて…」
それでいいのかな。フツーの生活。
いいのかな?
手術して女らしい身体になって女性の人生を歩む。
ほんとは男の子でも女の子でも無い精神なのでは?
悩んでいたら挨拶された。
「おはよう。何深刻な顔してるの?」
「深刻な顔してた?」
「うん。目一杯」
うーん。顔に出てたんだ。
「僕はこのまま女の子になれるのかなってね」
「そんな事考えたってしょうが無いじゃん」
軽いなぁ。
そんな事を話しながら登校して教室に入ると、昨日女子の制服を着た後女性用の下着を着たまま帰った男子が予測通りお姉さんのお古の女子用の制服姿で登校していた。
「昨日女性用の下着を着たまま帰って、こっっそり脱ごうとしていたら。姉に見つかって、『そんなに女性の服が着たいなら今日から女子の制服を着て行きなさい』と言われてしまったよ」と言って来た。
「どうすんの、このまま女子の制服を着て来んの?」と言うと、まさかという顔をして、「今日帰ったら誤解だと説明するよ」と言っていた。
受け入れて欲しくないというオーラが出ていた。
しかし、彼のお姉さんは学校に連絡して、同じクラスに女子用の制服を着て来ている生徒がいるらしいから弟も女子用の制服で登校する事を了解して欲しいと交渉して学校の了解を取っていた。
「今日から女子の制服で登校する者が増えるからよろしく頼む」と担任から連絡があった。彼が愕然としたのは言うまでも無い。
ちなみにジェンダーが女性だからと女子の制服を着て来た者は、みんなから「彩」と呼ばれ、姉のお古を着てきた子は「ゆき」と呼ばれていた。
ゆきは、立ち直れなさそうだ。
彩は、一人で着替えなくて良くなって嬉しいと喜んでいてぶたれていた。
僕は女の子だから関係無いも~ん。
ゆきは体育の前に着替えを鞄から出して固まっていた。
そこには女子の体操服が入っていた。
ゆきも彩も体育は女子として受けさせられた。
ゆきは水泳は来年まで無いから良かったと言っていた。
ゆきも彩も食事は女子のグループに入れられてゆきは居心地悪そうだ。
ちなみにゆきの名字は「長門」だ。
ゆきがふてくされていると、女子から「ゆ~きちゃん」と言われて胸を揉まれていた。
不登校にならないと良いけれど。
ゆきは時々ブラウスの胸の辺りを持って下に引っ張っている。ブラがズレるのだろう。
しかし、女子の下着を着ると男子でも女らしい仕草になるのはどうしてだろう。
それにしても、ゆきがスカートをばさばさしていても女子は注意しない。
やはり僕は女の子だけどゆきは女の子では無いのだろう。
スカートの前がつんっとすると注意されていた。
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