第16話 文化祭
実話を元にしています。
学級委員長が教壇に立って話し合いの司会をしている。
議題は「文化祭の出し物」
なかなかアイディアが出てこない。
「このクラスには良いネタがあるんだから劇にしない?」
ぎくっ
「題は『カミングアウト』で行きましょ」
「モデルは当然この子よ」
いきなり僕の頭をぽんぽんと叩く。
「ただし、本人が出たんじゃ面白くないから、別の子がやるの」
女子が「それいいっ」と賛成する。
男子は主人公をさせられるリスクを考えて何も言わない。
「うーんサイズが近い子が良いかな」
もう配役決めに入っている。
「この子が良いかな。サイズが近いし中性的だから」
ある男子のそばに行って肩をつかんでる。
「僕いやだよ」
「賛成の人~」
「は~い」全部の女子が手を上げる。もちろん僕も。
僕の苦労を解れと思っている。
「う~」指名された子が真っ赤になっているが、嬉しそう。
何でかな?
僕の事好きなの?
「君は衣装用意してね」
「何を用意するの?」
「女子の制服。下着もいるかな?」
「それは嫌っ」
主役の子が喚く。
「ちっ。却下されたぜ」
「ふーん。胸のサイズが小さくなったから新しいのに換えるから、前ので良いかな」
「おおっ女子の制服をくれるそうだ」
「体臭付きだぞ」
主役の子が真っ赤になってる。
「クリーニングに出しとこうか?」
「そのままで良い」
女子が固まってる。
「劇本番まで着こなしの練習で着ておいでよ」
他の男子が言う。
「えっ良いの。嬉しい」
今度は男子が固まってる。
僕も固まってた。
「えっと。サイズ確認で着てみる?」
気を取り直して、体操服に着替えて制服を渡す。
「うん♡」
いそいそと着替えている。何か嬉しそう。
女子がこっそり近づいて、下着を着せる。
「わっ何すんの」
制服をいそいそと着せる。
「かんせ~い」
真っ赤になってる。
「このクラス二人目ね」
ううっ
主人公役の子はスカートの中で足をぴったりと着けて手を挟んでる。
「僕の制服本番まで着続けてね」
何か、僕、意地悪になってる。
他の子はそのままの服装だ。
脚本は委員長が書くんだって。
翌日は、僕は新品の制服。主役の子は家から僕の制服。
当然女子用。
教室に着いたらスカートをめくって下着確認。
「あーっ女子用着てない」
女子用トイレに連れて行かれて着替え。
「あなたは賛成したのよ」
「ううっ僕もうお婿に行けない」
それを言うなら「お嫁に行けない」では?
ああ、女の子じゃ無いから最初からお嫁には行けないか。
劇当日。真っ赤になりながらも演じきった。
劇の後の質問コーナー
「あんまり荒唐無稽すぎると思います」
荒唐無稽で悪かったですー
「この劇は実話を元にしています」
「そうなんだ」ざわざわざわ。
「実話だと言うなら、モデルを連れて来てよ」
監督の子がこっちに来る。
ぎくぎくっ
「ちょっと来て」
腕を掴まれた。引っ張って連れて行かれる。
「この子です」
えーっと大歓声。
何で歓声なの。
古い制服は主役の子にあげた。「いいの?」「うん」
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