第15話 エステ
実話を元にしています。
「あれっ。君、ニューハーフなの?」
今日はエステに来ている。この前髭でからかわれて懲りたもん。
でも、
「何でそう思うんですか」
「だって、女の子みたいな胸してるし、体つき女の子だし、それで男性の…もついてるし」
「ああ、僕のこれは生まれつきですよ」
「え、天然のニューハーフなの?」
「天然のニューハーフ…」
絶句してしまった。
「ああっごめんなさい。泣かないで」
泣きそうに見えたのかな。
「何かそういう風に言われると、男性と女性の機能が両方完全みたい」
「え、機能もあるの?」
「うん。子供作れるって」
「スゴいなぁ」
「スゴいですか」
「女性ホルモンやってるの?」
「いいえ。卵巣ありますから」
「すっごーい」
何か喜んでる。
「じゃあ、腕によりをかけて、きれいにしてあげる」
「お願いします」
気持ちよくなって寝てしまった。
「お客さん起きてください」
「うに?」
「終わりましたよ」
鏡を見る。女の子がいる。
「何で女の子が写ってるの」
「あなた。女の子でしょ」
「え」
「あなた、この胸で男の子は無いわよ」
「ああ、そうだった」
女の子になったのを忘れてた。
「でも、何でセーラー服着てるの?」
「いや、似合いそうだったから、着せてみた」
「遊ばないでよ。でも良いなぁ。何か女の子って感じで」
「ああ、だから驚いていたのね。男の子を女の子にしちゃったかと焦ったわよ」
「男の子はブラつけて来ないと思う」
「そうね」
あははははははははははははははははははは
「それなんちゃって制服って言うのよ」
「なんちゃって制服?」
「本当の制服じゃない服をみんなで着て制服気分を味わうの」
「何か楽しそう」
「男の子が仲間に入りたいって言うから、あなたもセーラー着たいのって聞いたら、いや男は詰め襟でしょって言うから、仲間になりたいならセーラー服着なさいって言って、みんなで着せた事もあったなぁ」
何か可愛そう。いや可哀想か。
「その子どうしたの?」
「うん、女の子の服の着心地好きになっちゃって、私たちに着せてもらって喜んでいますよ」
「そうなんだ」
何か理解出来る…・いや理解したらいけないのかな。
「あなたも、女の子の服が好きになって着ているのかと思ったけれど」
「ちがうよ。男の子だったけれど、女の子になって良いよと言われて女の子になったの」
「なにそれ~?」
「生まれた時に両方の性器を持っていて、どっちの性になるか選びなさいと言われた時に女の子を選んだの」
「面白~い」
うん。面白かった。女の子の方が楽しいもんね。
「今いる学校を卒業したらどうするの?」
「女子大に行きたいんだ」
「行けるの?」
「問い合わせてみたら、歓迎しますって。」
「時代は変わったわね」
色々雑談していたら、時間が経っていて、元々の服に着替えて帰った。
これで、もう髭でからかわれないぞ。
読んでくださってありがとうございます。