第14話 髭
実話が元になっています。
「あれっ」
顔を洗っていたら髭がうっすら生えているのに気が付いた。
先生に電話して聞いてみた。
「ああ、髭が生える事はありますよ。睾丸を摘出しても髭が生えていた人は脱毛しないと髭が生える事はありますから」と言われた。
女子の制服を着ていて髭が生えていたら「しっ見るんじゃありません」とか言われそうだ。うーん、丁寧に剃っておこう。
とりあえず、後で髭剃りの方法を考えよう。
あっそうか、エステを探してどれくらいかかるか調べよう。
髭を剃って、スカートを履いて学校に行く準備しよう。
家を出ても髭が気になる。
レールバスに乗ったら同じクラスの女子がいた。
「ねぇ。髭が分からないかな?」
「えっ髭が生えたの?」
びっくりした後笑い出した。
乗客がこっちを見て「あの娘髭が生えたって言ってる。女装なのかな」と言っている。
「ちょちょっと笑うのやめてよ」
「ごめんごめん。あんまり面白くて」
「それでどうなの?」
「分からないよ」
「よかった」
「学校にいる間に伸びてきたらどうするの」
「電気髭剃りを借りてきた」
「その格好で髭を剃るの?」
あっ笑いたいのを我慢してる。
満面の笑顔で真っ赤になってる。
うふぷぷあっははははははははははは
爆発する様に笑い出した。
もうっ。僕はほっぺたを膨らます。
髪も少し伸びてきたから、エステと美容院に行かないといけないかな。
駅で降りて、学校に着く。
ぷぷぷぷぷ
まだ笑ってる。ツボにはまったらしい。
「ごめん。でも剃る時見せてね」
それ、謝ってないから。
教室に入ると、ほかの女子のところに行ってこそこそ話してる。
「うそー。生理もあるのに髭剃るの?」
あはははははははははははははははははははははははは。
うううっ。
「ねぇねぇ。髭生えたら見せてね。剃る前にね」
「えっ。髭生えるの?」
男子も聞きつけて来た。
「女子の制服着て、ブラも着けてるのに髭生えるのかよー」
ぎゃははははははははははははははははははははははは。
ううっ、これはいじめだ。
早くエステに行って抜いて来よう。
休み時間のたびに「ねぇ。髭剃らないの?」と聞いてくる。
「見せないも~ん」
「可愛くな~い」
あはははははははははははははははははははははははは。
ううっ。言わなきゃ良かった。
疲れていたら、いきなりウィッグをかぶせられた。
「それで髭剃ってよ」
ううっ。遊ばれてる。
そこに先生がやって来た。
「あれっ。髪が急に伸びたのかな?」
「せんせ~伸びたのは髭だそうです」
ううっ泣きたくなってきた。
泣くぞ泣くぞ泣くぞ
ぐすっ
あーーーん
「ああっ泣かないでいいよ。みんなもからかい過ぎだ」
みんな静かになった。
「ごめん」
みんな謝ってくれた。
「いいの。みんなが良い子だって知ってるから」
そろそろ、こっそり剃ってこよう。
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