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僕は女の子  作者: 恵
11/55

第11話 差別

実話を元にしています。

祝日の早朝、突然ドアを激しく叩く音がした。

「何です乱暴な」

「ここに男のくせにスカートを履いて学校に通っている奴がいると聞いた。出せ。出さないと家捜しして引きずり出すぞ」

お母さんが固まっている。

僕は警察に電話した。

しばらくして警察が来た。

「何だお前たちは」

「俺たちは正義の味方だ。この家に変な奴がいると聞いたから根性を叩き直してやりに来た」

「一緒に来てもらいます」

「俺たちは正義の味方だぞ」

揉み合う音がした。

「公務執行妨害で逮捕する」

静かになった。

しばらくして、「彼らは署まで連行します。もう大丈夫ですよ。しばらくはパトロールを強化します。」と言って警官は去って行った。

お母さんの顔色は真っ青だ。

「連れて行ったって。もう大丈夫だよ」

お母さんは腰を抜かしていた。

リビングに連れて行く。

インタフォンが鳴った。

「こちらのお子さんの学校の教員です」

「何の用ですか?」

「お子さんが女子の制服を着て通学しているのをご存じですか?神は男と女しかお作りになっていない。そして神は男が女の服を着る事を禁じられた。。あなたのお子さんは神の律法に反する事をしているのです」

「お帰り下さい」

「あなたも神に逆らうのですか?」

担任の先生に電話した。

玄関先で演説している教員のところに担任が来た。

「先生、ご迷惑ですよ。さ、行きましょう」

「私は神の教えを説くという神聖な仕事をしているのです」

何人かで来ていたらしい。

「私から手を離しなさい。無礼ですよ」とか喚いていた。

さっきの連中をそそのかしたのも、この教員らしい。

静かになった。

お母さんは震えていた。

ミルクを温めて差し出した。

「ああ、怖かった」

もう大丈夫そうだ。

僕はパジャマからブラウスとスカートに着替えた。

しばらくお母さんのそばでテレビを見ていた。

「もう大丈夫よ」

しばらくしてインタフォンが鳴った。

お母さんが身構える。

やって来たのは同じクラスの女子だった。

「先生から電話があったの。大変だったわね。様子を見て怯えている様だったら励まして連絡して欲しいって」

「ありがと。お母さんが怯えていたみたい」

「あの先生にも困ったものね」

「何かあつたの?」

「神社に行って『人々を惑わすのは止めなさい』と言ったり授業中にお寺の子に『淫祠邪教を広める悪魔の子』と言ったりして問題になってるの。聞いた事無かった?」

「何か聞いた事ある様な」

「もう辞めさせられるんじゃ無いかって言ってたわよ」

「ふーん」

「あなたみたいな性分化障害の人?は入れない教会もあるって聞くからねぇ。でも、大丈夫そうでよかったわ」

「うん。僕負けない」

くすっふふふふふふふふふ。

また、インタフォンが鳴った。

「あ、俺たち。変なのが来て困ってるって聞いたからボディガードしに来た」

目が潤んできた。

実際は怖かったのかな。

受け入れない人がいても、受け入れ入れてくれる人がいて嬉しかった。

みんなで賑やかに遊んでいたら、お母さんも落ち着いたみたい。

この前もらったドレスとウイッグを着て見せたら

「おーっ女の子だな」

と変な事を言って赤くなる男子がいた。

「何で赤くなってんの?」聞いてみた。

「いや、僕と結婚式を挙げてる姿を想像しちゃって」

呆れた。

「まだ男の子を好きになれないから」

そう言うと、残念そうにしていた。でも

「まだなんだよな。期待して良いよな?」

そんな事を言うから

「勝手にすれば」と言ってやったら、嬉しそうな顔をしていた。

ふと、ウェディングドレスを着て並んでいるところを想像してしまった。

「いや、それは無いから」

翌日、学校に行ったら、あの先生の姿は無く、机も片づいていた。

読んでくださってありがとうございます。

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