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最強職《竜騎士》から初級職《運び屋》になったのに、なぜか勇者達から頼られてます  作者: あまうい白一
第三章

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第4話 サポート続行

竜騎士運び屋のコミックス2巻 本日発売です!


 神林都市に入った俺たちは、街の中央通りを歩いていた。


 様々な商店が道の両端に並ぶそこならば、情報を集めやすいし、なにより神林都市中心近くにあるセシルやジョージの実家に向かうのに最短コースであったからだ。

 そして店に立ち寄りながら、神樹について話を聞いてみたのだが、


「神樹の変化は分からん、って返答がほとんどだったな」


 それは俺と同じように街の人々に話を聞いていたセシルやジョージ、更にはサキ達も同じようで、

「私たちの方も、同じ感じよ。神樹に何かしら異変が起きたら、魔法科学ギルドからが発表する事になっているけれど、それもないから、異変ではなくて、自然の変化かもしれないって言う人もいるみたい」 

「そっちの姉弟さんと同じく、こちらも竜王ハイドラと聞き込みをしてみましたが、収穫なしでした」


 つまり、分からないことが分かったというべきか。

  

「うーん。となると、もっと神樹の近くに行って、実際に見てみるかね?」


 そんなことを皆に言った時だ。


「ちょっと、そこの運び屋のアンちゃん? 神樹の方に行くのかい?」


 俺たちの近くで商店に並んでいたらしい、大きなソロバンを腰に付けた男が話しかけてきた。


「ん? まあ、そのつもりだけど?」

 

 いきなり話しかけてくるとはずいぶんと気さくな人だ。

 装備からして商人だろうか、と思いながら、俺は男に言葉を返す。


「そうか。でも、止めておいた方がいいぜ」

「止めておいた方が良いって、神樹の方に行くのをか?」

「ああ。アンちゃんも運び屋って事は、神樹の上の魔法科学ギルドの方に行って仕事を取りに行こうとした口だろう?」 

「いや、別にそういうわけではないぞ。……まあ、この街には初めて来たし、神樹の上にあるギルドってのが珍しいと聞くから、あとで行こうとは思っていたけど」


 そんな台詞を聞いて、男は残念そうな表情になった。


「うん……やっぱり神林都市が初めてな人か。やけにキョロキョロしてたからそうじゃないかって思ったけど……観光目的だったら尚更、危ないから止めた方がいい。なんか、奇妙な金属系の魔獣が神樹の周りをうろついているんだ」

「金属系の魔獣? 街の中にか?」

「おうよ。なんでも、神樹が紅葉してるってことで、調査の為に変わり者の勇者を一人呼んだらしいんだが、その直ぐに、金属の魔獣が出てくるようになってな。……街の人を傷つけたりはしていないんだが、神樹の近隣地区に近寄ろうとすると、威嚇して、外に追い出して来る奇妙な奴なんだよ」

「確かに、そりゃ奇妙だな。……討伐とかはされていないのか?」


 普通、街の中に入ってきた魔獣は、冒険者ギルドなどによって討伐なり追い出すなりをする筈なのだが。聞くと男は首を横に振った。


「冒険者ギルドや、神林騎士団に伝えても、対処中の一言でなあ。神樹の上に立っている、魔法科学ギルドの研究所が新商品を開発したから見に行こうとしていたんだがなあ。中は螺旋上のスロープと階段になっていて、普段は上まで登る事が出来るんだけどな。近隣地区にすら入れないんだから、そもそもいけないってのが現状なんだよ」

「へえ……。他に上に行く方法はないのか?」

「ああ。神樹の表層からは魔力が流れていて、魔法の安定発動も出来ないから、外部から魔法で昇る事もできねえし。神林騎士団に理由を話しても、急いでいる感じもしなかったから、何かを内々でやってるっぽいし。多分、しばらく近づけないままだと思うぜ」

「ふむ……分かった。情報有り難うよ」


 礼を言うと、ソロバンの男は苦笑して首を横に振った。


「良いって事よ。ここはまあ、外縁部だけでも充分楽しくて、何度来ても良いって思える街だから、初めての人にあんまり悪い思いをしてほしくないってだけだからさ。んじゃな、アンちゃん」


 そう言って去っていく彼の後姿を見ていると、横からバーゼリアが声を掛けてきた。


「あの気さくな商人さんのお陰で、平常通りではない、というのは分かったねー」

「だな。……セシル、本来なら魔獣とか、神林都市の街中に出ないんだろう?」

「勿論よ。仮に街に魔獣が入ってきたら神林騎士団が即座に討伐するもの。……どうなっているのかしら、本当に」

「それは分からん。……ただ、俺の依頼は君たちを実家まで送り届ける事だ。近隣地区に実家があるっていうんだし、このまま行くって事になるんだが。その辺り、どうする?」


 聞くと、セシルはジョージと顔を見合わせて、そして頷き合った。


「そうね……。私たちも実家の道場がどうなっているか知りたいし。少し危ないかもしれないけれど、当初の予定通り、お願いしてもいいかしら、アクセルさん」

「ああ、了解だ」

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