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最強職《竜騎士》から初級職《運び屋》になったのに、なぜか勇者達から頼られてます  作者: あまうい白一
第三章

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第3話 到着からの発見


 昼の食事を終えた俺達が、平地を抜けて、整備された林の中を歩いていた。因みに隊列は、


『さっき前に行かせて頂きましたから、今度は私が後衛を務めますよ! アクセルも一緒にどうですか』

『いやいや、ずっと前を占領するのもなんだし、ボクが後ろにいくよ。ご主人と一緒に皆の背中を守ってあげる!』

『なるほど。二人が後ろを守ってくれるなら、心強いな』

『『あっ……』』

『ここからは神林都市も近いし、セシルとジョージに細かな道案内をして貰おうと思っていたから有り難いわ』

『『うああっ……!』』


 という、食事中のそんなやり取りのため、先ほどとは逆になっていた。

 俺と姉弟が前、後ろがサキとバーゼリアだ。


「真似っこおっぱい駄竜……!」

「聞かんぼう魔術の勇者……!」


 後ろでは相変わらず仲よさそうにしているので、まあ、このままで行くのが安全だろう。

 そんなことを思いながら進むことしばらく。

 

「この木々のトンネルを抜けると、もう都市と神樹が見えてくるわよ、アクセルさん」


 セシルがそんな事を言って、前を指さした。


「もうか。ここら辺は綺麗に整備されて歩きやすいと思ったが、街に近くなってたんだな」

「そうね。この辺りは神林都市に本部を持つ神林騎士団が、土木や整地作業を率先してやってくれているからね」


 今、自分たちが歩いている街道は、しっかりと踏み固められており、凸凹も少ない。だから疲れも少なくてありがたい場所だな、と思っていたが、道理で。


「その神林騎士団とやらが頑張ってくれてたんだなあ。確か、ギルドが存在し始めた頃と同時期に出来た、歴史ある騎士団だっけか?」


 先ほど軽くセシルたちから説明を受けていたけれども、


「随分と手広い仕事をやっているんだな」

「ええ。仕事に真面目で、良い騎士たちの集まりだから。国外にも支部があって、神樹を与えてくれた神様の加護を得られるって人気でね。実力もあるし、名前にも結構、影響力があるのよ。神樹の上に研究所とギルド本部がある魔法科学ギルドの方は、見た目のインパクトで有名だけど、神林騎士団はその歴史と国外への力で有名って感じね」

「なるほど、そうだったのか。というか、木の上に魔法科学ギルドの本部ってあるんだな」


 見た目が想像つかない。


 ……新たな街に来るたびに思うが、何とも知らない事が多いなあ。


 などと考えながらセシルと話していると、 

 

「あ、ほら、幹が見えてきたわよ」


 セシルはそう言って、僅かに足の速度を速めた。隣にいたジョージも同じく早歩きになる。

 そんな彼女たちの背を追って俺も進むと、その先にはトンネルの終わりがあり。そして――


「あれが……神樹アルエデンと神林都市か……」


 見上げる程巨大な大樹があった。

 周囲にいくつもの建造物が配置されていながら、しかし、それらとは比べ物にならない樹木が、堂々と立っていた。


「どう、凄いでしょ!」

「これが俺たちの街のシンボルっすよ!」


 それをアピールするように、セシルとジョージが言ってくる。


「……ああ、確かに。すごいな、こりゃ」


 もしかしたら過去、空から見ていたかもしれないが、地上から見るとここまで圧倒される程大きいものだとは思わなかった。


「うわあ、太すぎて幹の向こう側が見えないとか、こんなにおっきい樹、初めてだよ!」


 背後でバーゼリアも驚いているようだ。彼女も地上で見るのは初めてだからだろう。

  

 ……神林都市は、神樹と呼ばれる巨大樹を中心に、同心円を描くようにして構築されているってセシルは言っていたが……。


 街が小さく見えるレベルでとにかく樹がでかい。 

 確かにこれは、街のシンボルになり得るだろう。

 

 そう思いつつ、俺はふと、思った事を口にした。


「ああ、でも。神樹の色は説明とは違って、青々とはしていないんだな」

「え……?」


● 

 

 アクセルのセリフに、まず反応したのはセシルだった。


「青々としてないって……神樹は永年、新緑の色を保っているのだけど……」

「そうなのか? でも、上の方とか、緑色はないぞ」

 

 アクセルに言われ、先ほどは幹しか見ていなかったのだが、改めて、樹木の上方を見た。 

 普段ならば、青々とした新緑の葉が見えている筈のそこには、今は赤茶けた色の葉しか残っていなかった。


「本当……ね。紅葉……しているのかしら?」

「この前、沢山雨が降った時の影響かな、姉ちゃん」

「どうかしらね。あまり気象に左右されている姿は見たことがないのだけれども」


 というか、このような色合いになるのも初めて見た。

 

 神樹は大きさから、この地にある理由まで色々な意味で普通の植物ではない。

 故に、紅葉の時期が十年おきとか、そう言った長いスパンで来てもおかしくはないのかもしれないけれども。 


「セシル。こうなるのは珍しいものなのか」

「え、ええ。とても珍しいわ、アクセルさん。さっきも言ったけれど、神樹は永年、緑色で……少なくとも、私が聞いたり調べた中で、神樹が紅葉したなんてデータすらも、見たことが無いから」

 あの木が授けられてから百年以上は立っている聞かされた記憶もある。百年間ずっと青々としていたとも。なのに、今見える樹木に、緑の色は殆ど見えない。


「なるほどなあ。なら、中に入って、街の人たちに聞いてみるか」

「そう、ね。……丁度、都市の中央、神樹の近隣地区に私たちの実家である道場があるから、そこで聞いてみるのもいいかもしれないわ」

「そういや、今回の依頼はそこまでの送り届けだったな。……んじゃ、その方向で行くか」

 

 そして、セシルは弟やアクセルたちと共に、自らの故郷であり、珍しい変化を見せている都へと向かっていく。

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