第1話 ある一時の話
お待たせしました。更新再開します。
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海港都市・シルベスタに滞在していたファングは今、その都市を出発しようとしていた。
「それでは、ライラックさん。お世話になりました」
目の前にいるのは、海事ギルドのトップである《女将》のライラックだ。彼女はこちらに歯を見せる笑みを浮かべて首を横に振っていた。
「いやいや、やれたことは物資の補給だけですまないねファングさん。内地にある世界樹の都――神林都市・イルミンズルに向かうってんじゃあ、船では送れないからねえ。馬車もまともに動かなくなっているしさ」
「あはは、まあ、仕方ありません。玄武公の襲撃からひと月も経っていないのですから」
玄武公の襲撃の影響で、海港都市から神林都市に繋がる連絡馬車は未だ動いていない。馬車の被害も勿論、街道の被害もあった。
玄武公から放たれた魔法弾は広範囲に散らばっており、馬が走るには危ない環境な事にもなっていたのだ。
故に内地への移動手段は徒歩が最も早く確実だとファングは勿論、ライラックも判断していた。
「この前の、玄武公の岩石弾が街の外にもぶっ飛んでいたからねえ。街の近くにいた人ら全員、都市のシェルターに避難させられて本当に良かったよ。アクセルさん達の動きがあったから、けが人もゼロで済んだし……。お陰で復旧も早められる……と言っても、ファングさんには、不便を掛けてるんだけどさ」
「いえ、遅くとも地道に、ひたすら歩く事だけは得意なので。アクセルさんと違って悪路を走破する技術などは持ち合わせていないので、一歩一歩超えていきます」
「そういや、アクセルさんはとっくに神林都市に着いているだろうが、何をしているかねえ。あそこは街の中央にある、神から授けられた『神樹・アルエデン』によって加護を掛けられてるから、そこそこ過ごしやすいとは思うが……」
神林都市には、世界規模で栄養分を吸って成長したかのような巨大さから、通称、世界樹と呼ばれる樹木が存在する。
神林都市の別名、『世界樹の都』というのもそこから来たものだ。
「周りに魔獣はそこそこ多いみたいだけど、街中で生活する分には中々快適な場所だと思うが……勇者がヒトを入れないようにしているらしいのがネックだね」
「まあ、その辺りも含めて情報を収集しながら行こうと思います。最近はゴタゴタし過ぎて情報の伝達速度も鈍っていますが……まあ、近づいていけば増えるでしょうし。各都市の情報も、……魔獣や、魔人についての情報も」
「大変だね。ファングさん」
「そういう仕事ですから。今回のような場合は、王都で待っているよりも現地で動いていた方が楽ですしね」
何しろ、戦後復興中な都市もあるご時世だ。王都で待っていても、不正確な情報が来ることは多々ある。
速報系となれば特にだ。
そこで結局、真偽を確かめる為に情報の裏取りもしなければならないし。だとしたら自分が出向いて直接調べた方が早いまである。
「まあ、なんだ。最近は魔人云々もあって物騒だから、気を付けておくれよ、ファングさん」
「お気遣いありがとうございます。では、また今」
「ああ、またね。次はゆっくりともてなさせて貰って、ついでにアクセルさんの話とかをもっと聞かせてくれると嬉しいねえ」
そうして、ファングはライラックと別れ、一人海港都市から神林都市への道を行く。
「……さて、では行きますか。噂は噂で、正確な情報が来ているとは言い難いですし。俺が着いた時にどうなっているかも分かりませんが……アクセルさん達に何事も起きてなければ良いんですがね」
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また前書きにも書きましたが、来週、10/12に竜騎士運び屋のコミックス2巻が発売されます!
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