プロローグ side ファング 新たな街の新情報
「え、アクセルさん、もういないんですか!?」
「ああ。もう結構前に旅だったよ」
宿場町から、水の都にやってきたファングは、アクセルが旅立ったという情報を海事ギルドの長、ライラックから聞いていた。
彼女とは王都で開かれたギルド会議からちょくちょくと顔を合わせていたので、直ぐに情報を聞けたのだけれども、
「早さで敵うとは思っていませんでしたけど、想像以上に速いというか。……アクセルさん、流石だなあ」
サーブされたお茶を飲みながらファングは息を吐く。
宿場町からここまでの連絡橋が修復完了したので、急いできたのだが、大分遅かったようだ。
ただ、街の中は風のように去って行った運び屋の話題での会話が、方々でなされていて、
「魔人を捉えて玄武公を倒すとは……何というか、本当に予想を超えた活躍をしてくるんだもんなあ」
「ははは、確かにね。アクセルさんのお陰でアタシ達は救われたようなもんだし。本当に助かったよ。――で、聖剣の勇者さん。アンタはこの街にしばらく泊まっていくのかい? 何なら部屋を用意するけれど」
「あ、いえ、それには及びません。オレはまたアクセルさんを追いかけようかと。直接手渡ししたいモノもありますし」
ファングは懐に入れた小さな袱紗を見ながら言う。
「ああ、そうかい。なら、この街でするのは消耗品の補充くらいか」
「そうですね。少し休憩がてら補給してから再出発です。――それで、アクセルさんは、どちらへ行かれたんです?」
「ああ、ここから北東にある世界樹の都さね」
その言葉を聞いて、ファングは茶を飲んでいた手を止めた。その表情に冷や汗をぶわっと浮かべた状態で、だ。
「世界樹の都……ですか……」
「そうだけど、どうしたんだい? 凄い汗だよ」
「いえ……そのですね。実は……世界樹の都にも勇者がいるのですが……どうにも今、裏切っているっぽくて」
「……うん!?」
「一応、アクセルさんとは仲の良かった勇者なんですけどね。魔獣の味方をして世界樹の都にヒトを入れないようにしているとの報告がありまして。……ここに来た時以上に急がないとなあ……」
第三章、開幕です! そして、いつも応援ありがとうございます!
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