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最強職《竜騎士》から初級職《運び屋》になったのに、なぜか勇者達から頼られてます  作者: あまうい白一
第二章

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第17話 水の都の朝と予定更新

 その日、朝の陽ざしが眩しくなり始めた頃。

 俺は海賊の宿屋の一階で朝食を食べていたのだが、

 

「おはよう。運び屋の兄さん」


 ちょうど食べ終わる頃合いに、昨日見たばかりの顔が訪ねてきた。


「うん? ああ、おはよう。ええと、ヴィルヘルム、でよかったよな?」

「おうよ。覚えて貰っていて光栄だぜ、運び屋の兄さん。本当に昨日は有難うな」


 俺の顔を見るなりヴィルヘルムは勢いよく頭を下げながらそう言ってきた。

 その動きは昨日よりもキビキビしているように見えた。

 

「良いって。俺たちは依頼を果たしただけなんだから。ところで、もう怪我の方は平気なのか?」

 聞くと、ヴィルヘルムは顔を上げて自分の胸元をドンと叩いた。

 

「当然。完全に治ったぜ。兄さん達が、俺の身体を早く街に届けてくれたおかげだよ。兄さんにも、あの氷の道を作った魔術の勇者にもすげえ感謝しているよ」

 

 言いながら彼は、俺の周囲をキョロキョロ見回す。


「というか、兄さん、今は一人なのかい? 船員の命を拾ってくれた魔術の勇者とか、荷物を担いでくれたあの赤い髪の姉さんは……」

「アイツらは上でまだ寝てる」


 昨晩の夕食の後、就寝するタイミングで、バーゼリアとサキは俺が使っている二人部屋でどちらが眠るかを言い合っていた。 

 

 俺はいつもの事だと思って、さっさと寝てしまったのだが、どうにも夜が更けるまで言い合っていたようで。

 俺が起きた時には二人仲良く同じベッドでダウンしていた。

 周辺が微妙に凍り付いていたり、焦げていたりしたが、疲れ果てて眠ったのだろう。

 仲のいいことで何よりだし、このまましばらく寝させておこう、と思いながら、俺は先に朝食を済ませてしまった訳だが、


「でもまあ、そろそろ起きてもいい時間帯だな。用があるなら起こしてこようか?」

「いや、そこまでして貰う必要はないさ。ただまあ、用自体はあるかな。主に兄さんに、だけど」

「俺に?」

「これから造船ギルドに顔を出して貰う事は出来るかい? あそこのデカいドッグの近くにある、マストが突き刺さった建物だ」


 ヴィルヘルムは言いながら窓の外を指さす。

 港からそう遠くない位置に、船のマストが目立つ建造物がある。

 あれが造船ギルドらしい。

 

「いや、行くのは構わんが、何かあるのか?」

「兄さんに謝礼代わりに渡したい品物があってな。あと、魔術の勇者や兄さんに命を拾って貰った連中もいるんでな。皆して押しかけるのは迷惑だから、今は俺っちが一人で来ている訳だけど、感謝を伝えなきゃ気が済まねえって奴も多くてよ……。ご足労かけるけど、しっかり歓迎と礼をさせて欲しい、と言われちまってんのさ」


 ヴィルヘルムは頭を掻きながら、俺の向かって尋ねて来る。

 

「いきなり言われて迷惑かも知れないが、来てもらう事は出来るかい?」

「迷惑って事も無いぞ。別に今日の予定は無いし。街を見て回りながら、何か適当に運び屋の仕事をしていこうと思っていた位だからな」


 いつかは他のギルドにも顔を出したいと思っていたし、好都合だとも思う。


「そうなのか。なら、尚更、来てくれると嬉しいぜ。一応、俺っちの所、王導十二ギルドの中の一つだから。何かと仕事の融通も効くしな」

「へえ、造船ギルドも、その王導ギルドって奴なのか。海事ギルドもそうだって聞いていたけど」

 言うとヴィルヘルムは意外そうな顔をした。

  

「え? もしかして兄さん達は、知らずに俺たちの事を助けに来たのかい?」

「最初はライラックが助けてくれって言うから、助けに行っただけだな」


 あの時は急いでいたから、ライラックからどんな船かも、どこの所属かも聞かなかったし。

 王導ギルド云々というのは初耳である。

 そう伝えると、ヴィルヘルムは頬を緩ませた。

 

「そうか……。本当に立場抜きで、助けてくれたんだな、兄さん達は……」

「いやまあ、沈みかけている船を前にしたら、立場も何もないだろう」


 相手が余程の悪人であるならともかく、そうでないなら、とりあえずは助けるだろう。


「はは……そうだな。ああ、そういう人なら、なおさら感謝したい所だ。……まあ、俺っちの造船ギルド『イクシス』は都市間を行き来する船に関してを一手に任されている、それなりにデカいギルドだって考えてくれればいいさ」

「なるほどなあ」


 今の自分は輸送系の職に就いているから、これから船に乗る機会も増えるかもしれない。

 

 ……バーゼリアに乗ればある程度の距離は飛べるけど、それでも今の状態で長距離長時間飛行は難しいしな。

  

 となると、仕事相手になる可能性も大きい訳で。

 ならば、今のうちに造船ギルドの人たちと知り合っていた方が、今後の仕事がやり易くなるだろう。だから、


「分かった。じゃあ、造船ギルドの方、一度行かせて貰うわ。サキやバーゼリアも連れてな」


 そう言うと、ヴィルヘルムは歯を見せて笑った。


「オッケー。ありがとうよ、兄さん。先日は、情けねえ所を見せちまったからな。しっかりした歓迎と、仕事をしている所を見て貰えるようにするぜ!」


 こうして、俺は仲間二人を引き連れて、造船ギルドという新たな場所へと向かう事に決めたのだった。

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