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最強職《竜騎士》から初級職《運び屋》になったのに、なぜか勇者達から頼られてます  作者: あまうい白一
第6章

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18話 水上

剣の一撃に合わせてタックルをぶち込んだアクセルは、鎧の騎士と共に、泉の浅瀬にいた。

 十数メートル前には、鎧の騎士が相変わらず健在だ。

 

 タックルにより吹き飛ばしで一旦距離を取ったものの、ダメージはほとんどないようだ。

 

 だが、そんなことは分かっている。大事なのは、ここから後ろの二人に、何ら戦意を活かせない事だ。

 

「神様というべきか、鎧の騎士というべきか、分からないけども。――俺の仲間が、頑張っている間な。俺との戦いを楽しんで言ってくれ」


 その言葉に、にやり、と兜の頭が笑った。

 刹那、


「――」


 音を超えた速度で踏み込んできた。


 最速の突進だ。


 鎧の騎士の速度は、先ほどから上がりっぱなしだ。

 

 付いていける範囲内ではあるが、この速度で動き回られると面倒でもある。だから、 

 

「ここからは、時間稼ぎの為にも、細かい技を披露しよう……! 【竜脚】!」


 言葉と共に俺は、足元を蹴る。

 

 蹴りの勢いで飛沫となって吹き飛ぶのは、浅瀬にあった水だ。

 

 それが鎧の顔の付近目掛けてぶち当てた。瞬間、

 

「……」


 突進がわずかにぐらついた。

 そして、手で水を払おうとして、その上、こちらを探す動きを見せた。


 ……視覚はあの兜の光――目の付近あるみたいだな。


 水飛沫で動きが鈍った。

 が、まだ突進速度は保たれている。


 だから、その速度を利用する。


「例え倒せなくても――」


 俺は鎧の騎士の腕を、己の腕と絡めるように取る。

 そして、そのまま、

 

「これならどうだ……!」


 背負うように投げ捨てた。 

 

 ――バシャン!

 

 という飛沫と共に、鎧の騎士を、背中から水面に叩きつける。


 本来は硬質な鎧を纏った者の、生身に衝撃を与える技。

 重ければ重い程、その衝撃は着用者に響き、頭を揺らすことになる。だが、

 

 ……今回の相手の中身は空っぽだ。


 効き目はどんなものだろうか、と、水面の甲冑騎士を見ていると、

 

「……」


 数秒、起き上がらない。が、

   

「――」


 バネ仕掛けのように起き上がった。

 

 その兜の表情は、笑みのような形になっている。

 

【先の技は、生きてきて初めて食らった。それが人の子の格闘か】

 

「ダメージはなさそうだが……ちょっとは、動けなくなってくれるのかね」


 その言葉に対する反応は、再びの突進だ。

 

 先程と同じように突っ込んでくる。


 だから俺も、先と同様に投げようと腕を絡めようとした。が、


【――一度見た技は、あんまり面白くないから、いい】


 甲冑騎士の胸に文字が光った瞬間、

 

 ――パン!


 と、俺の手は鎧の腕に弾いてきた。


「なるほど……!」


 俺は弾かれた腕の勢いを利用して、身体を流しつつ、更には鎧の足を蹴った。

 走ってくる相手に足を引っかけつつ、横に進む動きだ。

 

 当然、鎧はバランスを失い、自分の背後ですっこける。

 

 そのまま倒れて、しかし数秒で立ち上がる。

 

 そしてその兜には、笑みが浮かんでいる。

 

 ……楽しそうだな。


 俺の手と足にビリビリとした痺れが来ている。


 先程まで剣で受けていたから分かってはいたが、パワーや重量も相当なのだから当然だ。

 しかしそれ以上に厄介であるのは、 


「一度で飽きるとか、贅沢な神様だな」


 一回技を食らったら、二度目は弾いてくる事だ。

 

 先ほどの、剣のスキルを使っている時もそうだった。

 二回目からは避けたり、弾いたりしてくる。

 

 ただ、ひとつの技を食らうと、何秒か止まってくれるのは有情ではある。その反応はこれっきりかもしれないけれど、

 

 ……試す価値はある。

 

 だから、俺は肩を回してから、構える。


「なら、別の技でエスコートしよう。――よそ見は禁止だぞ、神様」


 鎧の騎士の兜は、にやりと、笑った。


 その反応に俺も笑みを浮かべながら一歩を踏む。


 他所に――デイジーたちの元に行かせる余裕もなくすために、俺は神の鎧に向かっていく。

 あまういが原作を務めます、「叛逆の血戦術士」のコミックス第一巻が、9月9日に発売されました(表紙画像↓から公式サイトへ行けます)


 是非一度、お手に取って頂ければ嬉しいです!

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