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最強職《竜騎士》から初級職《運び屋》になったのに、なぜか勇者達から頼られてます  作者: あまうい白一
第6章

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4話 side人間界 出会いの流れ


「なるほど。ではウブメさんは、戦争中にアクセルと肩を並べて戦っていた人なのですね」

「ああ。といっても、ほんのひと時、彼が一人でいた時の事ではあるけれどね。彼の強さはこの目でしかと見たよ」


 医療ギルドの宿屋、エントランスにて。

 サキはバーゼリアと共に、ウブメ・シャントリエリと名乗った黒髪の女性と、テーブルを囲んでいた。


「なるほどねー。ご主人が一人の時代は結構、色々な職業者と一緒に戦ったって言ってたけど。シャントリエリも、その時の知り合いなんだね」


 バーゼリアの言葉に、ウブメはテーブルに置かれた茶を一口飲みながら微笑する。


「知り合い、というほどではないさ。というか、本当に戦線を共にしただけだから、挨拶をしたわけでもないのでな」

「基本的に乱戦だったことが多いですからね」

「その上、彼はとんでもない速度で、戦線を駆けまわっていたからなおさらだな。――ともあれ、本題なのだが。彼はここにいるのかい?」


 目を細めながらウブメは問うてきた。

 

 アクセルに用があるとのことだが、 

 

「残念ながら、私の夫は外出中なんですよ」

「……前半は魔術の勇者の妄言だけど、外出中なのは本当だよー」


 精霊界を救ったアクセルが、連絡してきたのは数日前だ。


 ……『しばらく帰れないし、そちらとも連絡が取れないから、温泉でゆっくりしていてくれ』とのことでしたね。

 

 だからこそ自分たちはゆっくりと、この温泉宿での癒しを楽しんでいる訳だが。ともあれ、ウブメに問いに対する答えを言うと、

 

「ん、そうなのか。……いつ帰ってくるとか、そういうのは分かるかい?」


 少し口元に手を当ててから、再び質問をしてきた。


「それも不明です。私の体温が恋しくなったころに戻ってくるとは思いますがー」

「後半がリズノワールの妄想だけど、前半はホントだね。ご主人のことだから、気楽に構えていれば、すぐだと思うよ」


 何やらバーゼリアが横から奇妙な付け足しをしてくるけれど、サキとしても、そこまで長くは掛かるまい、とも思っている。それに、

 

「例え長くかかったとしても、私の愛が高まるだけなので。それはそれで、再会した時の燃え上がりというスパイスにもなりますし。問題ないですね」

「一人で盛り上がっているところ悪いけど、一応、初対面の人に対する答えだからね、リズノワール! まあ、ボクとしても、会ったときの嬉しさが倍増するのは賛成するけど!」

 

 横で何やら騒いでいるけれど、賛成であるなら問題ないという事だろう。そんな風に思いながら、バーゼリアと喋っていると、


「ふむ……なるほど……。ちょっと頼みたいことがあったのだがな……」


 ウブメが、やや、表情を渋めにした。 


「頼みたい事……というのは、アクセルに対する依頼ですか? もしも私たちで良ければ話を聞きますが?」


 アクセルと自分たちはパーティーを組んでいる。

 各職業で違いはあるけれども、誰かが欠けた時でも、依頼はこなせるようにアクセルとは話し合い済みだった。


 だから聞くと、ウブメは、しばし口元に手を当て、


「いやな。この辺に、魔人が出た、という話を耳にしていてね。――その捜索と、討伐をしにきたのだ」


 声のトーンを落としながらウブメは言った。


 その発言に対し、サキは眉をわずかにひそめた。


「それは……誠ですか?」

「勿論。嘘をついても仕方がないだろう。まあ、こちらの情報筋が間違っていたら、結果的には嘘になるかもしれないが――信頼できる情報屋から得たものでね」


 ウブメの黒い眼は真っすぐこちらを見てきている。


 目だけで嘘か誠か、見抜くようなスキルは持っていないが、からかうような目ではない、とサキは感じ取った。


「ふむ……そうなのであれば、私たちも協力したいところですね」

「うん……。魔人関係は、素早く動いた方がいいもんね。嘘だろうと真実だろうと、警戒しておいて損はないし。ここの医療ギルドとか、鬼の勇者にも話を通しておいた方がよさそうだしさ」


 バーゼリアも、頷きながらそんなことを言ってくる。

 この街は、ウロボロスの襲撃や、精霊道の異常などがあったせいで、大分、疲弊もしている。

 そこを魔人に狙われると、それはそれで、厄介なことだ。

 

 だから、今のうちにギルドに連絡しておいた方が良いだろう。

 そして、それについてはウブメも同意見の模様で、


「ああ、そうしてくれると助かる。街の近くで、戦闘が起こるかもしれない事を考えると、ギルドの面々には挨拶もしておきたいしな。この街に来たのは初めてだし」

「なるほど。では、一度顔合わせと情報共有といましょうか。……まあ、既にギルドマスターはそちらで見ておられるようですが」


 サキの視界には、この温泉宿の女将であり、医療ギルドのマスターである牡丹の姿があった。

 先ほどまで、エントランスラウンジの奥にいたのだが、魔人、という言葉が放たれた途端、こちらの視界にあえて映るように移動してきたのだ。

 

 目線を送ると、にこりと笑いながら、こちらに近づいてくる。

 

 ……この調子だと、こちらの会話もそれとなく聞いていたでしょうね。

 

 この街のギルド――それも王導ギルドのマスターだ。魔人、という言葉も聞き逃す訳もないだろうし。話としてはスムーズにいきそうだな、とサキが思っていると、


「そういえば、ウブメは、どこのギルドの所属なの?」


 バーゼリアがそんなことを聞いていた。

 

「無所属だ。流れの職業者というやつだよ。まあ、そんなことをしているから、他のギルドに情報を回す伝手がないんだが」


 ウブメは苦笑と共にそんなことを言いながら、軽くこちらに礼をしてくる。

 

「情報の提供は惜しむつもりもないし、可能な限り行わせてもらうから。しばらくよろしく頼むよ」


最近、裏サンデーで、「叛逆の血戦術士」という作品の漫画原作を始めました。是非、そちらも読んで頂けると嬉しいです。

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