30話 それぞれの戦い方
精霊都市インボルクの玉座の間。
「――アクセル様が、インボルグに入りました!」
パルムからのそんな報告が来た時にはもう、ローリエは玉座から上空を見上げていた。
「分かってるわパルム! 上空ね!」
「はい!」
窓からしっかり見えているのだ。
精霊界を構築する空間の一部が割れて。
首の長い龍が吹き飛ばされるように入ってきているのは。
そこにアクセルがいる。だから、
「すぐに戦場を展開するわよ」
「念のため、私は直下の住人の避難を始めます!」
「ええ、お願い。――避難の必要もないくらいにガチガチに構築するけどね」
そう言ったローリエは、椅子のスリットに入れていた巻物を取り出し、広げ、杖を掲げた。
「ずっとそこに潜んでいたのね、魔獣ウロボロス……!」
杖は輝き始め、それと同時に巻物も広がっていく。
それもまるで、球を描くように。
「もう逃げも隠れもできないように、戦う場所を用意してあげるわ……!」
言葉と共に魔力は込められていき、やがて巻物で作られた球の中に、インボルグの立体地図が生まれていく。
その街並みの上空を指示し、ローリエは再び呪文を唱えた。
「【構築展開・闘技場】……!」
刹那。
宮殿の窓から見える街並みの上空に、半透明の光で出来た、闘技場が生まれたのだ。




