27話 竜の道
ウロボロスの体に飛び乗ったアクセルは、そのまま加速を続けていた。
巨大な龍の体だ。
ある程度の広さがあり、走る分には申し分ない。
前からは、狭間の世界特有の向かい風が来るが、気にすることもなくアクセルは突っ走る。
……この体の先に、第一頭がある……!
それがわかっているからこそ、ただ走っていた。すると、
「――!」
「おお……?」
ウロボロスの体がうねり始めた。
その動きは、懐にいたデイジーも分かっていて、
「揺れがひどいが、大丈夫か親友!」
「ああ。そろそろ、体の違和感に気づいて、振り落としに来る頃みたいだが、この程度なら問題ない」
だが、念には念を入れた方がいい。古代種相手に油断は禁物なのだから。故に、
「精霊の呼び鈴を鳴らす……!」
俺は走りで腕を振る動きを崩さないまま、ズボンのポケットから鈴を取り出した。
そのまま、手の動きで握りしめて、三度軽く振った。
――リン
という軽やか音が響く。
それだけで、
「――」
ウロボロスの体に沿うように、光輝く道が現れた。
精霊道だ。
それは俺が走るのに合わせて、俺の頭上付近に、どんどん形作られていく。
恐らく、俺の鈴の音を基点として、道を構築しているのだろう。
それを見て、デイジーは感嘆の声を上げる。
「おお、さすがは精霊ギルドのマスターと、都市を治める姫様だぜ。遠隔でここまできっちり道を作るなんてよ」」
「ああ。おかげで、落ちた時のセーフティも万全だ」
捕まる場所にもなるし、いざというときは飛び乗ればいい。
龍の体という道も、精霊たちが作ってくれた道もある。
恵まれて、有難い話だ。
「ここまでやって貰ったからには、応えなきゃな。……加速するぞ、デイジー!
「おうよ。しっかり捕まっておくから存分に速度を上げてくれ!」
そして安心を得た俺の速度は、一段、また一段と上がっていく。
より速く、ウロボロスの第一頭を見つけるために。




