25話駆ける勇者
本日、竜騎士運び屋コミック6巻&最強預言者コミック3巻が発売されます!
精霊道が開いてから、ウロボロスが出現するのは、ほぼ同時だった。
「オオオオオ……!!」
地響きをもたらす様な声をあげながら、まずウロボロスは目の前にあるコンテナを攫うようにむさぼった。
それを見て、コンテナ付近に待機していた職員らは身を震わせた。
「で、でけえ……」
「お、臆するな! 動きを止めろ!」
だが、震えを得つつも、職員たちは動く。
「【エレクトリック・シザー】!」
「【エア・ロック】!!」
己の杖や触媒を構え、目的を果たすための魔法を撃った。あるものは電撃の鋏で、あるものは大気の錠で首をとらえようとした。が、
――ガキン!
首に掛かったそれらの魔法は、頭を一振りされるだけで、破壊された。
「は、弾かれた?」
「雷撃系と大気系の上級魔法だぞ……!!」
魔法使いたちは戦き、わずかに後ずさる。その刹那、ウロボロスの八目が光った。
そこから生まれた光は、細く長く伸び、鞭のように飛んできた。
「ッ……光の魔力の鞭か!」
「防御しろ!!」
魔法の研究をしているが故に、職員は攻撃の性質を見抜いた。
来るのは光の魔力が物質化されているものだと。だから、
「ウッドピラー・シールド!」
一人の職員は呪文と共に、地面を勢いよく踏みつけた。
瞬間、地面から幾本もの大木が彼らの前に生え出た。
大木は攻撃の前に立ちふさがり、その硬質な身をもって防いでくれる。
そのはずだった。
なのに、
――ゴッッ!
と、鈍い音がした。そして、
「ぐ……おおおお!?」
光の鞭は大木をそのまま、なぎ倒された。
その衝撃で、周辺の草木や大地も吹き飛んでいく。
当然、職員らも、だ。
「く……だ、大丈夫、か……」
吹き飛ばされた先で、うめくような声と共に、職員たちは互いを見合う。
「ああ……防御のおかげで、多少は、威力が収まったみたいだから……な……」
「でも、くそ……やべえぞ。このままだと止められねえ……!」
目の前には、いまだ無傷のウロボロスがいる。
ほんの数秒交戦しただけで、こうなるとは。けれど、
「まだ……やれるぞ」
「ああ。結果の見えない実験にだって根気よく耐えるのがモットーなんだ。忍耐力を舐めるなよ……!」
動ける限りは、少しでも、わずか一秒だとしても、この首長の龍を止めて見せる。それが自分たちの役割なのだ。
そう思って、立ち上がった瞬間、
「よくぞ、数秒、持たせた」
後ろから、背中を支えるような風と、声が聞こえた。
「あとは、己らの仕事だ」
そして職員たちは見る。
駆けつけてきた勇者たちの後姿を。
お陰様で、竜騎士運び屋コミック6巻&最強預言者コミック3巻が、本日7/17に発売します!
どちらも面白く仕上がっていますので、ぜひ、お手に取って頂ければ嬉しいです!