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知性次世人間性  作者: 真宮蔵人
13/28

012.長い夢

 オフ会の会場はさいたま市にある喫茶店で行われるらしい。

 

 私は生まれて初めての都会での交通事情を目の当たりにしたので辿りつくには苦労した。

 

 それはリニアモーターカー到着の品川駅から「乗り換え」という概念に対する困惑であった

 

 駅には多くの人が居た、ニホンジンがこれほど多く見れたのは人生初でもあった。

 

 西カリマンタンの南国特有の匂いとは別の匂いが充満している。

 

 自分がかつていた場所と今いる場所は本当に関係があったのか疑問に思う。

 

 人の真っ只中に立ち竦むロボットは実に不審らしい、警察パトロールドローンに職務質問をされた。

 

 とはいえ、独自の通信要請を受けた後にマイナンバーと脳波データと行き先をドローンに送信するだけで終わる話である、私は身元不明でも無く、不審行き先な訳でも無い、挙動が不審なだけなのだから。

 

 品川駅から更に電車を乗り継ぐという事をしてさいたま市内の駅へ降り、そこから自動運転タクシーを拾い行き先を告げる。

 

 その喫茶店という物質時代には錯誤な物が町外れにあった。かつてはそれなりに栄えていただろう町並みは廃墟になりがちであったが、その店だけがちゃんと小奇麗だった。

 

 ドアを引くと「カランコローン」というよく聞いた音を耳にした、このドアも見ると確かによく見たことがある。

 

 部室は入り口はこのドアのオマージュなのだろう。

 

 店内にはカウンター席と丸いテーブル席が2つあり、そのテーブル席を陣取る集団の中に見た事のある顔を見つけた。

 

「ごきげんよう、五ヶ所さん? それと、北さんもごきげんよう。私は赤松恵子です」

 

 五ヶ所さんは今のVJP2の五ヶ所さんが大きくなったらこんな女性になるのだろうなという姿をしていた。

 

 北マリナはVJP2ほぼそのままの姿であった、仮想空間の方が多少かわいく出来ているかもしれない。

 

 「ごきげんよう赤松さん、そのシークレットサービスっぽいメカナリー姿も悪くないわね」と、五ヶ所さんは相変わらずよくわからないほめ言葉をくれる。

 

 「でも、さすがにちょっとビクっとしたわ、「エージェントか!?」ってね、まぁ座って」北さんはカラカラと笑いながら言った。

 

 「所で、他のお二人を紹介してくださるかしら」私は椅子に座りながら判定不能な残り二名を見回した。

 

 その中の清楚で大人しそうな顔立ちの少女が目礼をしながら自己紹介をしてくれた。

 

「初めまして、私は松本ニャン。茶道部だけどデバッカーの予備戦力といった所です。マリナさんの紹介で来ました」

 

 続けてもう一人の接待用だろう美人なメカナリーは動かず控えめに自己紹介する

 

 「スダレリンゴ、です。ごきげんよう、赤松さん」 簾さんもブレインポッターかメカナリーだったのは意外、でもないか。

 

しかし、念の為それは話題にしておく「驚いたわ、簾さんも結構機械化されている子だったのね」

 

「レンタボットは高いから、あまり、外には、出ない」このぽつりぽつりと喋る癖は簾さんだ。

 

そこで、こほんと北さんが咳払いをして話し始める。

 

「えーと、自己紹介も終わったみたいなのだけど緑子ちゃんがこられないという残念なお知らせがありました」

 

「あら、残念」「柏葉さんは真面目に社会人目指してるからねえ」「緑子は、よく、妹と比較、されるから」

 

 「じゃあ、みんな揃ったみたいだから。マスター、料理をお願いします」と五ヶ所さんが伝える。

 

 「メカが二人で申し訳ないけど、始めちゃうね」私と簾さんは「「お構いなく」」とほぼ同時に答えた。

 

 やれAIの陰謀論だの学校の事だので話は盛り上がった、その内に魔法少女戦便乗計画の増強話が出たのがこの日だった。

 

 一穂に対するわだかまりが方向性へと向かったのはこのオフ会のお陰だったのかもしれない。

 

 北さんや五ヶ所さんは「自己満足の会合よ?」と言っていたが、私には小さく無い転機だった。

 

 世界からの疎外感が少し無くなった気がしたのだから。

設定

・現実日本の交通インフラ

リニアモーターカー、イオンジェット航空機、自動運転車、定期航空ドローンが主体。 一部に電気鉄道が残る。


自家用車は公道で自動運転のみ許可される、車体自体は安いが税金がとても高い。 運転がしたければ仮想世界へ行くかサーキット場を借りるしかない。

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