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知性次世人間性  作者: 真宮蔵人
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011.夢現の住人

夢を見た、あれはVJP2での生活を始めて1年が過ぎた頃、保険屋の丸目熊太郎に呼び出しを受けた。

 

「ごきげんよう赤松さん、現実世界へ出かけると伺いましたが?」

 

 いつも見守ってくれてる頼もしい奴、丸目熊太郎は通信漏洩対策の施された喫茶店の窓際で探るように聞いてきた。

 

「女性を監視して束縛するのは良いマナーではございませんね、保険屋さん」

 

「それは失礼、所で現実へ向かうというお話の件なのですが……」丸目は苦渋の顔を作る。

 

「何か問題があるの? この生活で1年以上暮らして、エンもモンも内申点も国民点も一般人以上持っているのよ」

 

「貴女個人では問題ありません。ただ、志和さんには現実へ行った事をしばらく知られずにして欲しいんですよ」

 

「一穂も脳が無事なのだから、お金さえ掛ければ外(現実世界)へ出られるのではなくて?」

 

「出られません」 ん?

 

「なぜ?」

 

「これはご内密にして欲しいのですが、志和さんの脳は既に処分されています」

 

「しゅ、手術は成功していたと聞いていたぞ」

 

「技術不足で欠損部位の補完と維持が完璧にできなかった様です……」

 

 ドン、と激しい音と共に丸目は吹き飛ぶ。私が椅子の下から丸目に蹴りを放ったからだ。

 

 私の蹴りは、自身が持っている中で高いアクセス権限を組み合わせて発動する。プロテクトが甘い一般人だと間違いなく脳障害が起こるくらいの威力だ。

 

「すまん、立てるか?」声を掛ける、目は戦うときの様に、中年男性を抱え上げる中学2年生の構図である。

 

「いえ、ご心配なく、・・・らず、素晴らしいキックですな……」 丸目のテクスチャがエラーを起こしている、コレは相当効いたはずだ。

 

喫茶店の店員や他の客も多少驚いたらしいが知らぬフリ、警察は恐らく来ないだろう。

 

「怒らないで下さい、これが今の人間とAIの限界です。造るのは容易い、生き返らせる事は魔法があったとしても厳しいのです」

 

「今のあいつは、さっきも一緒に居たあいつはもうメモリデータ、もしくはAIになっている訳か?」

 

「その通りです。ですが、マイナンバーも戸籍もまだ存在します。それはこちら側で処置しました」

 

「AI共は私に何をさせたい、全てが茶番劇だ。うんざりする、この1年、お子様のごっこ遊びだ。これなら南シナ海のドローン戦争に出たほうがマシだ」

 

「茶番が大事なのです、観客を納得させる為の大舞台が必要なのです」丸目は続けて、

 

「それに、それが分かっていても貴方は志和さんを見捨てれますか? 「お前はもうデータのみだ」と言い放ち見放せますか?」

 

「……」

 

「身寄りの無いあの人を人間だとバディの貴方以外に誰が証明できますか?」

 

「人である証明は出来んが、俺はあいつをバディとしては認めている。掛け替えの無い親友だ、親も家族もあいつに比べればクソみたいなものだ」

 

「俺を売り払った親にもお礼がしたくてレンタボットも上等な奴を手配した」

 

「赤松さん、貴方の親御さんですが、父はDNAバンクで母親が生身でしたね」

 

「ああ、そうだ。プリっと俺を生み捨てた女だ、幸せか不幸か見定めてから程よく料理したい」

 

「そのお母上はもう既にお亡くなりになっています」

 

 がっかりと少しのショックが湧き上がる、この男はこちら側よりなので匿っているとも思えない。

 

「……そうか、死んでいるか。心のトゲがひとつ無くなったよ、情報ありがとう。種違いの弟か妹は知っているか?」

 

「貴方との戸籍から関連付けが完璧はずれているので探すのは難しいと思います」

 

「まぁ、そっちも親が死んだ境遇だ、追い討ちはしないさ。貧乏だったら札束で殴る、金持ちだったらたかる、それくらいの考えさ」

 

「他に現実へ行く理由は、オフ会ですね」

 

「ああ、いや。ええ、そうよ。そこを止める理由は無いよね? 一度リニアモーターカーというのに乗ってみたいのよ」

 

「はい、そこはお邪魔する気はございません」

 

「しかし、そうか、あいつが死んだか……」

 

 丸目とはそこで別れ、私は公団の病院へ赴いた、牧内博士と話をして外へ出る為の書類を確認する。

 

 博士に頼み脳を保管している地下施設から運ばれてきたレンタロボットに自分の脳を乗せ起動確認をする。

 

 視界が開けた、シリコン皮膚に覆われた機械の手足と、牧内が目に入った。牧内から細かい注意事項を聞いて予め呼んで置いた自動タクシーへ乗り込む。

 

 その後、東北州から関東への2時間、行きのリニアモーターカーの中では相方の事しか考えられなかった。

 

 もし、あいつがこの事実を知ったら自分はどうするべきか、そもそも私自体も何時まで人間でいられるか。いるべきか。


ふと手のひらをみて考える。

人物

・志和一穂、現戸籍上17歳。実年齢は32歳のはずだが。

種族、半AI(純AI?)

第103女学院高等部2年グリーンクラス魔法少女部所属


孤児院より南海軍備社へ「就職」する。


志和威人シワイイト(享年27) 南海軍備社社員 西カリマンタン支部所属 90式ドローン空母操縦手 2111年、事件後遺症により退職。


事件にてドローン攻撃を受け激しく肉体を損傷、一時脳死判定を下るも復活(詳細不明)特等仮想住民権を取得、現状は国家機密。


正確は温和で仲間思い、少女趣味な所が生前からあった。特技は半端ない動体視力。

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