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久保正繁天下統一記  作者: S-melt
久保正繁天下統一記 九州編
4/12

第四話 岩又砦攻略戦

合戦の火蓋が切られたのは 夜の十二時 二十分のことだった。


由利根兵「正繁殿 全部隊準備完了いたしました!」


久保正繁「わかった。とりあえずその場で待機だ。」


由利根兵「ハッ!」タッタッタッ


また別の馬に乗った由利根兵がやって来る。


由利根兵「正繁殿ォ!門田義満隊、位置につきましてございます!」


久保正繁「よしわかった 合図までは待機とお伝えしろ。」


由利根兵「ハハッ!」 パカラパカラ!! 馬で戻る兵士。


久保正繁「よし…頃合いか。弓隊!火矢を持てい!!」


由利根兵「弓隊ィ!前へェェ!」


由利根弓隊「オォウ!!」 ガシャガシャガシャガシャ


久保正繁「火矢……放てぇェェい!!」


由利根兵「放てェェ!」


シュババシュシュシュババシュシュシュババ!


多くの火矢が岩又砦に降りかかる。


岩又砦兵「ん?なんだあれは?」

    「向かってくるぞ!」  


岩又砦兵 ザクッザクッ「グハァァッ!」

         「ウワァァ!」 「ヌハァァ!!」

       「な、何だあれグハァァッ!」


カンカンカンカン!!!


岩又砦「て、敵襲じゃぁぁ!」

   「どこの軍じゃ!!」「わからん!!」


まさかの夜襲に飛び起きてくる岩又砦の守備兵たち。


岩又砦「オレの具足はどこだ!!」

   「それはおれの槍だ!返せ!」「何言ってんだ!おれのだ!」

   「数はどれくらいだ!」「それもわからん!!」


砦内は混乱して守備どころではなくなっている。


砦の西門付近にいるのは久保正繁隊。


久保正繁「思った以上に混乱してるな。よし、正面の門をこじ開けろ!壁を登って侵入せよ!行けぃ!!!」


由利根兵「オオォオオオォウ!」 


ドカァァンドォン


岩又砦兵「ん?なんじゃ西門から音が…」

    「敵兵の集団が西門付近に!!門を壊そうとしております!!」

    「なんじゃと!西門に兵を回せい!!」


??「なんだこの騒ぎは…」


岩又砦兵「岩崎殿!敵襲にございます!敵の部隊が西門を破ろうとしております!」


岩崎軍座右衛門「なんじゃと!?おのれぇ!ここをこの岩崎軍座右衛門の守備地と知っての攻撃かぁ!?」

     「槍と具足を持てい!蹴散らしてくれる!」


ドカァァン ギィィィィィ バタァン!


西門が久保正繁隊によって破壊された。 由利根兵が雪崩れ込んで来る。


岩又砦兵「西門が破壊された!!」

    「マズい!兵を回せ!」


久保正繁「門が破れたか!よぉし敵兵を残らず討ち取れェェ!」


由利根兵「ウォォォオオォオオオォウ!」ズバァン! ザスッ!


岩又砦兵「ぐぉぉぉぉ」

    「ぎゃぁぁ!」ドサリ!ドサッ!


由利根兵「押してる!イケるぞこれ!」

    「あぁ!門田隊の力を借りるまでもねぇな!」

    「間違いないなコイツら弱…」 ドスゥッ!!


いきなり槍で貫かれる由利根兵


   

由利根兵「!???」

    「な、何だ!!?」


岩崎軍座右衛門「貴様ら…由利根家か… この砦に喧嘩売るとは 死ぬ覚悟があってのことだろうなァァァ!」


ブルンブルブルブルブル ザスッ! ザズッ!


由利根兵「うわぁぁ!」 「グハァァッ!」


岩又砦兵「岩崎殿に続けェェェェ」

    「ウォォォオオォオオオォウ!」


由利根兵「ひっ い、岩崎軍座右衛門だぁ!」

    「出てくるの早すぎだろオイ!」

    「く、食い止めろぉ!」


押され始める砦内に入った由利根兵たち


そして、砦の外にて


由利根伝令兵「正繁殿!岩崎軍座右衛門が現れまして砦内の味方苦戦中とのこと!」


久保正繁「やはり出てきたか岩崎軍座右衛門… よし、撤退の指示を出せ!」


由利根伝令兵「ハハッ!」


 

 砦内にて


由利根侍大将「撤退じゃァァ!撤退の指示が出た!撤退しろ!」


由利根兵(撤退?あの策の出番か!)

    「よぉし引けぇ!」

    「退くぞォ退くぞォ!」


岩又砦兵「岩崎殿!敵が退いていきます!」


岩崎軍座右衛門「このまま返してたまるものかぁ!追撃じゃァァ!者共ついて来い!!」


岩又砦兵「オオォォォォォォオウ!!」


由利根兵「退けェ!退けェェ!」

    「ウワァァァァァ!!!!」


岩又砦兵「逃がすかァァ!死ねェェェェ!」ズバァン!ザズッ!


由利根兵「グァァァァァ!」「ウワァァァ!」「グガァ!」


岩崎軍座右衛門と岩又砦兵は追撃のため砦の外へと誘きだされた。そして………


久保正繁「よし!今じゃ!火矢を放てぇェェ!」


シュシュシュババシュシュシュババ!!


岩又砦兵「グガァ!」「ウギャァァァァァァァァ!」

    「アツイィィィィィ!」「ウガハァァァ」


岩崎軍座右衛門「なに!?右に伏兵か!おのれぇ!」

       「まず右から片付けろォ!」


門田義満「二度目の火矢!合図じゃ!かかれェェェェ!」


門田隊兵「オォォォォォォォ!」


岩崎軍座右衛門「なに!?また伏兵だと!!?」


久保正繁「よし…時は今!反転して総攻撃をかけよ!!」


撤退しているはずの久保正繁隊が反転して突撃をしてきた。そして岩又砦の兵士たちは 左から弓隊 右から門田隊 正面から久保隊と囲まれた。


岩又砦兵「ウギャァァァァァァァァ」「ギャハァ!」「ウバハァ!」


岩又砦兵「岩崎殿!このままでは全滅してしまいまする!」


岩崎軍座右衛門(クソッ罠だったか…うかつだった… 一度砦に退いて防御に徹し……) 砦を振り返る岩崎軍座右衛門

       「…な…なに…」


パチパチパチパチ シュゴゴ 振り返ると岩又砦が燃えている。


門田義満(ふん…全軍で砦を出るとはまだまだ青いのう そんな手薄な砦…焼いてくれるわ!)


岩崎軍座右衛門(完璧にはめられた……か。もはやここまで…)


岩又砦兵「岩崎殿!撤退を!」


岩崎軍座右衛門「いや、撤退はお主たちだけでするのだ。」


岩又砦兵「そ、それでは岩崎殿は!!」


岩崎軍座右衛門「ワシはこの砦の守将ぞ 砦を捨てて逃げる負けにはいかぬ!せめて、せめて!敵将の首をあげてくたばってくれよう!」


岩又砦兵「い、岩崎殿…」


岩崎軍座右衛門「わかったらさっさと行けい!!」


岩又砦兵「は、ハハッ!撤退じゃァァ!にげるのじゃァ!」


岩崎軍座右衛門「うむ、それでよい…… では参ろうか ハァ!」 パカラパカラ!!


散り散りに逃げていく多田兵たち。


門田義満「敵が退いて行く!ワシらの勝ちじゃ!勝鬨を挙げろ!」


門田隊兵「オォォォォォォォオォォォォォォォ!!」


門田義満「まさか岩崎軍座右衛門に勝てるとはな… ん?中央が騒がしいな?一体何が…」

    

由利根伝令兵「ご報告!岩崎軍座右衛門が中央より単騎で味方を蹴散らし久保殿の所へ向かって居る模様!」


門田義満「なに!?単騎で!? まずい!正繁の身が危うい!」




岩崎軍座右衛門「どこだ!!総大将オォォォォォォォ!」


久保隊兵「と、とめろぉ!とめるんだ! グハァァッ!」


岩崎軍座右衛門「退かぬ奴は容赦せぬぞォォ!」ブルンブルン


久保隊兵「グハァ!」「ウハァッ!」 

    

岩崎軍座右衛門「あれは旗印!見つけたぞォォ!」


由利根兵を蹴散らし久保正繁にせまる岩崎軍座右衛門。


久保正繁「あれが岩崎軍座右衛門か……噂に違えずなかなかの猛者のようだな…」


久保隊兵「久保殿!ひとまずお逃げ下さい!」

    「久保殿!」


久保正繁「槍を持てい」


久保隊兵「!? まさかあれとやり合うおつもりですか!?」

    「お止めください!」


久保正繁「早く槍をよこせ!!」


久保隊兵「!! …ハッ!」 ガチャガチャ 「ここに…」


久保正繁「よし… …お主らオレを弱く見過ぎだぞ」


久保隊兵「き、来たァァ!」


岩崎軍座右衛門「敵将の首!冥土の土産にもらいうける! ウラァァァ」

       槍が勢い良く久保正繁に向かって突かれる。


久保正繁「フンン!」バキィィン!!グシャァン!


   久保正繁の槍の一閃で岩崎軍座右衛門の槍が折れる。


岩崎軍座右衛門(な、なに!槍が…!)


久保正繁「オラァァァァァ!」ザクゥゥゥゥッッ!!!


岩崎軍座右衛門「グボォォォォアハァァッ!」ドシャァ!!


久保正繁「岩崎軍座右衛門 この久保正繁が討ち取ったりぃぃ!!」


久保隊兵「ウォォォオオォオオオォウ!」

    「すげぇ…」 「一突きであの岩崎軍座右衛門を…」


そのとき


パカラパカラ!!パカラパカラ!! 門田義満が馬に乗って現れた。


門田義満「正繁!岩崎軍座右衛門が来るぞ!早く逃げ…」


地面に倒れている岩崎軍座右衛門をみつける。


門田義満「い、岩崎軍座右衛門! 討ったのは誰だ!名を言えい!素晴らしい功績じゃ!」


久保正繁「オレだよオレ」


門田義満「!?正繁が!? ハッ!」


久保正繁の槍が岩崎軍座右衛門に刺さっているのに気づく。


門田義満「お、お主が…」

    (な、なんと、初陣なのに岩崎軍座右衛門を討つじゃと!?なんという者じゃ…)


    (もしかしたら本当に 由利根家を救える存在 やも知れんな…)


久保正繁「どうした義満殿? はやく帰って戦勝報告じゃ。」


門田義満「あ、ああそうじゃな。」

    (まだまだ餓鬼じゃが…面白い奴じゃな)


合戦結果



交戦戦力 由利根軍 五百人 対 多田軍岩又砦守備兵 五百人


指揮官 久保正繁 門田義満 対 岩崎軍座右衛門


結果 由利根軍の大勝 岩又砦焼失


損害  死者約六十人   ほぼ壊滅 岩崎軍座右衛門討死





そうして久保正繁の初陣は大勝で幕を閉じた。


しかしこの戦いが新たな渦を呼び起こす……。


それは岩又砦奪取戦の三日後の話である。



















      








岩崎軍座右衛門の説明 


多田家に仕える武将 多田家で武勇に優れた三人衆のうちの一人に数えられる。


体格は大きく大槍を振り回す怪力を持っている。

一方短気で戦略などには無頓着、計略にはまりやすい。


しかし多田家当主からの信頼は厚く 由利根家との国境にあり最前線の岩又砦の守将を任されている。


年齢は四十二歳 男の子供二人 と 弟 と 兄がいる

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