第三話 初陣
家督相続が無事終わった次の日の夜、由利根家の兵五百人が城の周りに集まっていた。
その軍団の先頭で馬に股がるは 門田義満 と 久保正繁である。
そう、ついに初陣の夜がやって来たのだ。
由利根軍は大将は久保正繁 指揮役に門田義満を迎えての出陣で、目標は領地境にある多田家の岩又砦。
門田義満「ではそろそろ……」
久保正繁「ええ…、よし!出陣じゃ!者共!!」拳を上に突き上げる
由利根兵「オオォオオオォウ!」
ガシャッガシャッジャガシャシャカッガシャガシャ
こうして由利根家の主城 天舞城 より由利根軍五百が出陣した。
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道中にて。
久保正繁「して、敵の兵力はどれくらいだったか?」
門田義満「守備兵は多くて五百人ほどで、砦も大きくなく防御力も大したことはない。……しかし、」
久保正繁「しかし?」
門田義満「守将が 岩崎軍座右衛門 だというのが手強いな。」
久保正繁「岩崎軍座右衛門……聞いたことはある。どんな将なのだ?」
門田義満「多田家の武勇に優れた三人衆のうちの一人じゃ。頭は良くないが最前線の砦を任されるだけあって信用もある難敵と言えるな。 あとちょっかい出せばいいと殿も言ってたが…この砦は早く潰しておきたいのが本音じゃ…。」
久保正繁「岩崎軍座右衛門…それは面倒な相手だな。」
「それと門田殿勘違いするでない、オレもちょっかい出すだけのつもりで出陣したのではないぞ。 そんな砦なら潰せばよかろうこの戦でな。」
門田義満「ハハハ、お主も同じ考えか。まぁその考えは岩崎軍座右衛門が黙ってないだろうがな。」
久保正繁(狙いは岩崎軍座右衛門…という武将か。)
「ん?なにか見えて来たな。あれが岩又砦か?」
門田義満「そのようだな。」
久保正繁「ふむ、門は南と西の二つ…北は小高い山 東に川…か…」
門田義満「どう攻めようかのう…」
久保正繁「ブツブツ… お、いい作戦を思いついた!!」
門田義満「ほう、どんな?」
久保正繁「オレの言った通りにして下さいよ。ゴニョゴニョゴニョ……」
門田義満「ほう…面白いが…」
久保正繁「でしょう!」
門田義満「危険が大きいぞ…」
久保正繁「危険を背負わせなければ敵は討てませぬぞ!」
門田義満「う、うむそうじゃな…ならやってみよう。」
(初陣だというのに危険な策を練るのう小僧…面白い…)
久保正繁「では早速。」
門田義満「あぁ よし半分の兵はワシについて来い!」
由利根兵「ハッ!」ガシャガシャガシャガシャ
門田義満「久保殿 合図、よろしく頼むぞ。」
久保正繁「承知しました。」
「よし…我々も動くぞ、目指すは…岩又砦奪取 そして、岩崎軍座右衛門の首じゃ!!」
由利根兵「オォォウ!」
夜 十二時 ついに 岩又砦奪取戦が始まろうとしていた。