第三章 幕間〈エピローグ〉
その夜――。
シャルロッタを宿から担ぎ出し、弐号獣隊 の騎士団堂に戻った彼らは、唯一捕らえたリッペを獄につなぎ、騎士宿舎の客部屋の一間にシャルロッタを寝かしつけた後、うち揃って、報告を行いに、主席官室へと足を運んだ。
本来、客分であるイーリオらはすぐに休んでも良いのだが、彼は当然のように、自分も同行すると言い出した。意外なのは、レレケも共に行きたいと言った事だ。事の成り行きに責任を感じていたドグにも、否やの気持ちはなく、全員揃って、既に帰着しているジルヴェスターの部屋へと向かう。
報告を受けたジルヴェスター主席官は、レレケを救い出したドグの勇敢さと大胆な行動を褒め讃え、また、イーリオの活躍にも賛辞を贈った。反面、無謀な作戦行動をしたリッキーとマテューにはひとしきり小言の雨を振らせると、最後にレレケに向き直った。
だが、お互い向き合った途端、今までとは打って変わって、急に一言も発しなくなる。
しばしの沈黙。
お互い、目をそらさないレレケとジルヴェスター。
両者を除く全員が、何かわけが判らず、固唾を飲んで見つめている。やがておもむろに、
「久方ぶりですな、レナーテ嬢」
と、こんな優しい声も出るのかと驚くような声音で、ジルヴェスターが口を開いた。
レレケも相好を崩し、ジルヴェスターに向かって手を差し出す。
「ジルヴェスター様も、お変わりなく」
二人が旧知の間柄であったとは。これには全員が驚いた。
「いつ以来ですかな……、嬢に最後に会ったのは、確か――」
「師匠の元でスヴェインと学んでいた時以来です。確かあの時、ジルヴェスター様は授器の修繕にいらしていたんですわ」
「おお、そうでしたな。懐かしい。そうか、もうそんなに経つのか……」
ジルヴェスターの消え入った言葉の裏に秘められた思いが何を意味するのか、すぐにレレケは気付いた。だが、彼の望む答えは持っていない。無論それは彼女も同じだ。忌まわしきあの出来事――。
「しかし、嬢も今回は、とんだ災難に巻き込まれてしまったな」
「巻き込まれた……とは言えないかもしれません」
「と言うと?」
不審がったのはジルヴェスターだけではない。イーリオ達も今の言葉の意味を呑み込めないでいた。ただ一人、ドグを除いて。
彼はあの時、あの屋敷で、確かに聞いていた。聞いてしまった。司祭とか呼ばれる男――レレケがスヴェインと叫んだあの男と、まるで見知った相手のように話していた声を。
「今回の一件、まだはっきりと掴めたわけではありませんが、少なくとも、私と、私の身内の事件が、どうやら関わっているようなのです」
「嬢……! それは……!」
「イーリオ君達も聞いて下さい。これはそう――貴方の鎧獣、ザイロウの持つ〝宝剣〟ウルフバードに関わる話でもありますから」
次章の第四章では、新たなライバルや仲間(?)も登場し、更に物語が広がります!
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