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銀月の狼 人獣の王たち  作者: 不某逸馬
第四部 第五章「天の山と星の城」
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幕間〈エピローグ〉

ラストイヤー! 年末年始特別企画 毎日投稿週間 4日目!




 イーリオやディザイロウにはともかく、エール神自らが言ったように、レレケとドグについてもただ称号を与えただけではなかった。


 レレケの理鎧獣(ディガルー)〝レンアーム〟の装備を一新し、ディザイロウとはまた別種の霊授器(アルーデル)を与えてくれた事が一つ。

 またそれだけでなく、ホーラーから託されていた〝術〟についても、改良を加えてくれたらしい。それどころか、別の術式を内包した装備も、レンアームに与えていた。


「これは言わば、神の力に近い獣理術(シュパイエン)だな」

「神の術、ですか」


 そう言って、巨大な水晶玉のようなものをレレケに与えた。


「これこそ、使いどころはよく考えろ。これはアルタートゥムやディザイロウ同様、対・竜用に創り出した術式だからな。使用回数も一、二回が限度だと思え」


 それを横目で見ながら、ドグはと言えばのんびりとした態度と表情である。

 むしろこの流れの中で、太々しささえ感じられた。


「ドグは……何かいいの?」


 思わずイーリオが尋ねると、ドグはそれを鼻で笑う。


「俺はもう〝最強の牙シュテルクスト・ファング〟だからな。何か別に、新しい力なんつうもんはいらねえぜ」

「凄いな……」

「ま、おめえ達とは違うからな」


 自信過剰な発言には思えなかった。

 それだけの力があるのだと、イーリオには分かっていたからだ。

 何せエール神も言った通り、ドグをはじめとしたアルタートゥムは、ただの鎧獣騎士(ガルーリッター)ではなく対・竜との決戦用の騎士なのだから。


「ただまあ、強いて言うなら――」


 何かを思い出したように、ドグが呟く。

 そうして彼は、エール神の方を見た。


イーリオ(こいつ)と長く、一緒に戦えたらいいかなってのは思うかな」


 ドグの視線を、エール神がにこやかな目で見つめていた。


「長く……? それってどういう意味……?」

「いやさぁ、これが最終決戦だろう? だったらこれが終わったら、もう戦いなんて起こんねえじゃん。いや、戦いが好きだなんてのはねえけど、折角こうしておめえと肩を並べられるんだ。その時間が少しでも長く続けばいいよなぁ、みたいに思っただけさ。ただのタワゴトだよ」


 少しでも長く肩を並べたい――。


 その思いはイーリオも一緒だった。


「そうだね」


 そんな若者達を見つつ、エール神はオリヴィアに頷く。


 オリヴィアも、それに応えるように恭しく首肯した。


「さあ、今から地上に戻るんだ。そしてエポス達の目論見を打ち砕いてきてくれ」


 エール神の言葉に、イーリオが頷く。


 だがそこへ、何かを凝っと考えていたレレケが、「最後に一つだけ」と尋ねた。


 その質問と答えを最後に、イーリオ達は天の山(ヒミンビョルグ)に再び乗り込む。


 向かうのはメルヴィグ王国王都レーヴェンラント。


 しかしその地上は、彼らの予想するよりもっと、切迫した状況になっていたのだった――。

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