幕間〈エピローグ〉
ラストイヤー! 年末年始特別企画 毎日投稿週間 4日目!
イーリオやディザイロウにはともかく、エール神自らが言ったように、レレケとドグについてもただ称号を与えただけではなかった。
レレケの理鎧獣〝レンアーム〟の装備を一新し、ディザイロウとはまた別種の霊授器を与えてくれた事が一つ。
またそれだけでなく、ホーラーから託されていた〝術〟についても、改良を加えてくれたらしい。それどころか、別の術式を内包した装備も、レンアームに与えていた。
「これは言わば、神の力に近い獣理術だな」
「神の術、ですか」
そう言って、巨大な水晶玉のようなものをレレケに与えた。
「これこそ、使いどころはよく考えろ。これはアルタートゥムやディザイロウ同様、対・竜用に創り出した術式だからな。使用回数も一、二回が限度だと思え」
それを横目で見ながら、ドグはと言えばのんびりとした態度と表情である。
むしろこの流れの中で、太々しささえ感じられた。
「ドグは……何かいいの?」
思わずイーリオが尋ねると、ドグはそれを鼻で笑う。
「俺はもう〝最強の牙〟だからな。何か別に、新しい力なんつうもんはいらねえぜ」
「凄いな……」
「ま、おめえ達とは違うからな」
自信過剰な発言には思えなかった。
それだけの力があるのだと、イーリオには分かっていたからだ。
何せエール神も言った通り、ドグをはじめとしたアルタートゥムは、ただの鎧獣騎士ではなく対・竜との決戦用の騎士なのだから。
「ただまあ、強いて言うなら――」
何かを思い出したように、ドグが呟く。
そうして彼は、エール神の方を見た。
「イーリオと長く、一緒に戦えたらいいかなってのは思うかな」
ドグの視線を、エール神がにこやかな目で見つめていた。
「長く……? それってどういう意味……?」
「いやさぁ、これが最終決戦だろう? だったらこれが終わったら、もう戦いなんて起こんねえじゃん。いや、戦いが好きだなんてのはねえけど、折角こうしておめえと肩を並べられるんだ。その時間が少しでも長く続けばいいよなぁ、みたいに思っただけさ。ただのタワゴトだよ」
少しでも長く肩を並べたい――。
その思いはイーリオも一緒だった。
「そうだね」
そんな若者達を見つつ、エール神はオリヴィアに頷く。
オリヴィアも、それに応えるように恭しく首肯した。
「さあ、今から地上に戻るんだ。そしてエポス達の目論見を打ち砕いてきてくれ」
エール神の言葉に、イーリオが頷く。
だがそこへ、何かを凝っと考えていたレレケが、「最後に一つだけ」と尋ねた。
その質問と答えを最後に、イーリオ達は天の山に再び乗り込む。
向かうのはメルヴィグ王国王都レーヴェンラント。
しかしその地上は、彼らの予想するよりもっと、切迫した状況になっていたのだった――。




