第四部 第五章 第四話(2)『最終選択』
全身から、汗が噴き出ていた。
まるで雨に打たれたように、頭の天辺から足の先までずぶ濡れにさえ見えるほど、汗で濡れている。
一糸纏わぬ、丸裸で。
ドグから少し離れた場所にいるニーナもまた、同じであった。
二人とも衣服は纏わず、全裸である。
そして息は荒く、肌も上気し火照っていた。
「すっごかったね、ドグちん」
ニーナが息を切らせながら満足げに微笑んでいた。
「もうムリ! ってニーナ思っちゃったけど、そこから凄いんだもん、ドグちんったら」
一方のドグはと言えば、ニーナとは異なった様子で、息を喘がせていた。
顔色は蒼白で、血の気は引いている。全身にいくつもの傷跡があるが、それはこの息切れとは無関係のものなのだが、それが一層凄惨さを引き立たせているようだった。
やがて何か口を開こうとしたドグだが、その途端、無理矢理に抑えつけていたものが溢れ出すように、その場に胃の中のものを盛大に吐き出したのだった。
饐えた匂いが部屋中に漂うが、どういう仕掛けか、瞬く間に吐瀉物は回収され、匂いも消し飛ばされていった。
だがそんなドグの姿を見ても、ニーナは心配一つしていない。
それどころか最前と変わらず、にこにこと笑顔を向けている始末である。
「あのさぁ……」
薄汚れた口元を乱暴に拭うと、ドグは全裸のままその場にへたり込んだ。
全裸のニーナに視線を向けて。
「これ、裸になる意味あんのか?」
ニーナは笑顔で答えた。
「ん~やっぱね、最期を体験するなら、な~んにもない方がいいと思うの。余計なものを全部捨てちゃった方が、もうホント、最期って感じられるじゃん?」
「……ウソつけ。姐さんの趣味だろ、ったく……」
ドグの悪態に、ニーナはわざとらしい愛嬌で科を作る。
豊かでメリハリのある肢体は、卑猥というよりも美しささえあった。何より、彼女もまた一糸纏わぬ姿なのである。
今のドグは二七歳になる。
つまり健康的である以上、いくら見知った姿でも目が吸い寄せられるし、反応するのは当然と言えば当然だった。
「あら、あらら。ドグちんまだまだじゃん。すごいねえ、ほんと。さっすが〝最強の牙〟。人間にしとくのは勿体ないねっ」
「へっ、〝不敗の牙〟が何言ってんだか。大体、姐さんらみたいになれるんだったら、俺もなりてえよ。そしたら思い残すとこなく、アイツと一緒に戦えるのにな」
「戦えるよ。ドグちんなら」
ドグは苦笑いを浮かべるしかなかった。だが、お陰で欲情しかけた己に自制をかける事が出来たとも言える。
「けど、これでもうほんとに、怖いものなんてなくなった。でしょ?」
「マジの意味で慣れたからなぁ。まさか俺の最終試練ってのが、あんなヒデぇものなんてよ。覚悟はしてたけど、まあな、って気分だぜ。――で、俺はどれくらいなんだ?」
「それは後でロッテちゃんにでも聞いて。ニーナはそこまで詳しくないから。でも、アルタートゥムってそういう存在だから。万能でもないし神でも悪魔でも天使でもない」
言った後、おもむろにニーナは座り込むドグの後ろに回り込み、背中から彼を抱きしめた。
「お、おい」
「でもドグちんにとって、ニーナは天使みたいなものじゃない?」
「いや、ちょっと――」
裸の背中越しに、豊かな膨らみが感じ取れた。
「イーリオちんもレレケちんも、多分まだまだ時間はかかると思うんだ。この中で一番早く試練を終わらせたのは、ドグちんだよ」
「いや、それが一体――」
全員が美女ないし美少女であるアルタートゥムの中でも、ニーナは特に華やかな見た目と男性を扇情的にする容姿をしていた。
その彼女が、自らドグに密着している。煽っているのは明らかだった。
「だからぁ、時間はまだ余ってるってコト」
「いや、ちょっと……」
「ドグちん、これは最終試練なんだよ? 最後って事なんだよ? それなのに思い残す事はもうないの?」
背中から前に体を移すと、目の前にニーナの美しい顔があった。視線がをどこに置いていいのやら、迷子になってしまう。
「いや、でもその……あいつらが真剣になってる時にそんな……」
「思いを残さないのは真剣じゃないって事? ね、ここにはオリヴィアもロッテもいないんだから。今だけは、ニーナに集中出来るよ」
鼓動が早くならざるを得なかった。
別に何も初めての事じゃない。この三人はそういう部分でも人間離れしてるのだ。だから今更何か、恥ずかしがる必要もなかった。
けれどもこの時、ドグの心は初心な少年のように動揺していた。
唇が重なる。
これが恋愛感情的なものなのか。それともただの情欲なのかは分からない。
弄ばれているだけなのか、それとも飼い犬とじゃれるように、ドグを愛玩しているだけなのか。
けれども今の彼にとって、かけがえのない最後の心の穴を塞いでくれたのは、紛れもなく彼女だった。
※※※
〝魂の庭園〟。
それは異世界の人間が死した後、その魂を分散しないように固定させ、別の異世界に移すというもの。
そして異世界で望みの生を堪能して一生を終えた後、その人間は再び元の世界に戻り新たな生を受ける。その魂のみ、多層世界の理から外れ、循環の中に生きず、永遠に生を繰り返し謳歌する。
それが〝魂の庭園〟計画であった。
「それ……が、エポス達の……オプス神の作りたい世界の姿? 何ですかそれ……。そんな、そんなの、そういうの、ただの利己主義、いいえ、道楽じゃないですか?!」
「エゴではないし道楽でも娯楽でもない。これはな、事業だ」
「事業……?」
衝撃的な事実を聞かされたレレケが、戸惑うだけでなく処理しきれない怒りに身を震わせていると、全く予想もしない答えが、ロッテから返ってきた。
「科学者の私利私欲や不死願望のようなもの――まあそれもある意味ではそうなんだが――そういったものでこの計画は動いてるんじゃない。異世界人はこれを事業として運営し、対価と引き換えにこのサービスを提供する。〝こことは異なった世界に生まれ変わってみませんか〟みたいな事を宣伝してな」
「じゃ、じゃあそういう商売として、我々のこの世界は、貴女がた異世界人にいいように弄られてきたというんですか」
「身も蓋もなく言えばそうだ。ただ、ボク様たちは違うぞ。ボク様たちアルタートゥムはその異世界人に創られた人造魂魄だ。彼らの命令を〝ある程度〟は聞くように創られているが、基本的に独立した人格であり、そういう生命だ。だからさっき言ったんだよ。ボク様たちもエポスも、ノン・プレイヤー・キャラクターだとな。元の世界からの人格的介入のない存在、という意味だ。だから命令されてそれに従う時もあれば、命令に背く事だって当然のようにある」
「背く……? では、ひょっとすると私達にこんな事をしてるのは、もしかして叛逆という事……?」
「いや、それも違う。命令に背いたのは、かつていたもう一人のアルタートゥムだ。怪訝しいと思わなかったか? どうして人造魂魄が三人だけで四人目はドグのような人間なのか」
「……」
「四人目のアルタートゥムはいたのさ。だがそいつはアルタートゥムの掟を破り、死んだ。八〇年ほど前の事だ。だからその穴埋めのため、適合出来る候補をメルヴィグのクンケル家を通じて連れてきて貰い、そいつを四人目のアルタートゥムにしている。ドグはそれに選ばれた、二代目の人間だ」
かつて存在した四人目のアルタートゥム。
しかしその人物は掟を破った事で死んだ――いや、殺されたのか? ここにいる彼女らによって?
それに掟とは何だ?
いくつもの疑問が湧き上がってくる。
「本来の四人目のアルタートゥムが死んだのは、ボク様たちが手にかけたからじゃないぞ。そいつは天の山を下山した事で不死性を失い、死んだだけだ。さっきも言ったろう? ボク様たちはエポスと違う仕組みで不死でいるだけだと。それはこの天の山に居続ける事なんだよ」
成る程。それなら話は合う。
とはいえ、聞いた事を即座に鵜呑みにするわけではないが、突拍子もない話ばかりなので、何もかもを一旦は受け止めるしかないというのも事実だった。その上でその真偽も是非も考えようとレレケは思っていた。
「いい顔だ。いい顔をしているじゃないか。材料を可能な限り揃えてから正しい判断を導こうとする、そんな思慮のある顔だ。成る程、ホーラーはいい弟子を持ったようだな」
「それよりもです、その下山したという人物はどなたなんですか? アルタートゥムだったくらいですから、大陸でもそれなりに名の通った人物だったりするのでしょうか」
約八〇年前と言えば誰が思い当たるか。レレケは記憶を探りながら言った。
「ああ。お前らもよく知ってる奴だよ。というか、この大陸中が知っている」
「え? ――大陸中?」
「百獣王カイゼルンだ。その四代目。カイゼルン・ネイだな」
聞いた瞬間、思考が回転し始める。
カイゼルン・ネイ。六代続く百獣王の中で、唯一人の女性騎士。
そうか。アルタートゥムは三人とも女性。四人目も女性なのはむしろ容易に想像がつく。
いや、まさかそんな繋がりがあったなど、思いもよらない事だった。
「もしかして、六代目カイゼルン公の生みの親が先ほどのオリヴィア団長なのは、それと関係のある事なんですか……?」
「どうだろうな。おそらくあるんだろう。だがボク様はそれを直接聞いたわけじゃない。オリヴィアも語らないしな。ただ、エッダの事もあって、その遥か後ではあるがリオニー・ネイ――ああ、四代目の本名だ――まで同じ〝恋〟が原因で神を裏切るなんて目の当たりにしたら、興味も湧いてくるってもんだろう。まあボク様は興味のない事だがな」
四代目百獣王が生まれた理由が、恋――?
俄然、気になる話ではあったが、本筋とは関係ないと言ってロッテはこの話をここでぴしゃりと止めた。
「ようは、ボク様たちは神に逆らう事も可能だって事だが、しかし今の状況はそれではない。何を言いたいか分かるか? つまりここにお前達を呼んでいるのは、その神の意思って事だ」
レレケ達のいるこの世界を、自分たちの都合に合わせて作り変えてきた神――異世界人。
しかし、もしかしたらそれに反するような存在になるかもしれない自分たちを、わざわざ招き入れてきた。
それは何の意図があってか。
おそらくこの後それを知らせるのだろうが、その前に一つの疑問がレレケの中に持ち上がっていた。
「ロッテ様は先ほどの〝魂の庭園〟なる計画を事業と言いましたが、それは本当に事業なんでしょうか……?」
「どういう意味だ」
「神々――異世界人は千年より遥か前からこの世界に干渉してきた。巫女であるシャルロッタさんを利用して。その時から計画はずっとあって、それは今も続いているという事……。つまり千年もの間、同じ事業をずっと続けているというのですか? それが十年、いえ、数十年でも有り得る話でしょう。国家規模ともなれば百年以上に渡る事業という事も有り得ます。けれど千年ともなれば、もう想像も出来ません。これが異世界であれ人間ではなく、本当に本物の超自然的な存在という意味での神々なら、そんな気の遠くなるような時間、一つの事業を継続する事もあるかもしれません。ですが、異世界とはいえ同じ人間なら、千年間も一つの事業を続けるなんて、あるのでしょうか? それとも異世界の人間は皆、貴女がたアルタートゥムのように不死になっていて、それで千年もの事業を行えると?」
「ふむ。そこはいいところに気が付いたというべきかな。異世界人でも不死にはなっていない。お前らからは信じられんくらいの長命にはなっているがな。勿論、千年も同じ事業を続けるなんて有り得ない。せいぜいがところ人間の間尺なら、一〇年、二〇年がいいところだ」
「では一体……?」
「嘘はついてないさ、事業というのは本当だ。それに、一〇年、二〇年というのも実際にそうだ」
「はい?」
「時間が違うのさ」
「時間が? え?」
「流れる時間が、世界で異なるんだよ。こちらの世界で一〇年かかった出来事が、異世界では数時間だったり、百年が一年、千年は十年ほど。それぐらい、時間軸がずれているのさ。ようはこちらで千年でも向こうでは一〇年前後にしかならないという事だ。となると、一〇年間だけ同じ事業を継続しただけの話だ。何も怪訝しくはないだろう?」
途方もない――というべきなのだろうか。
いや、前提となる知識のレベルが、与えられた超知識でさえも追いつかないほどの話ではある。しかし理解は出来た。
「それがボク様たちアルタートゥムや、エポス達ノン・プレイヤーキャラクターが生み出された理由の一つでもある」
「時間が違う、ですか。正直、今までの話だけでも、かなり頭が割れそうですね……」
「まあ、それが試練だからな。イーリオには〝覚醒〟、ドグには〝決意〟、そしてお前には〝選択〟だ」
自分の選択というのは、きっとこれから先の話で出されるものなんだろうと分かるが、イーリオとドグの試練とはどういうものなのか。そこは思わず聞いてみたくなるところではあるが、そんな余裕を与えてくれるほど、目の前の見た目だけは少女をしている存在は、甘くなかった。
「元より、別の世界にいながら異なった世界にリアルタイムで介入するのは時間の流れ上不可能だったんだ。だからそれを可能にするため、時間軸の異なる二つを同時に知覚出来る存在としてボク様たちはある。まあ、神も全く介入出来ないわけでもないがな。特定の条件が揃えば、それも可能にはなる」
「特定の条件、ですか? では場合によったら神々も直接手出ししてくると……」
「そうだ。その一つがお前達の神話に言う〝破滅の竜〟だ」
ぞくり――となる。
何故ならそれはもう既に、エポス達の手中にあるといってもいいからだ。
「破滅の竜、正式には〝装竜〟と呼ばれるそれは、世界の形を変え、魂を思うがままにするための異世界侵略兵器とも呼ぶべき存在だ。これと座標の巫女を、エポス達が完全な状態で手に入れてしまうと、この世界は――そう、文字通りの意味でこの世界そのものが――彼らの思うがままになってしまう」
「……」
「何だ? 何か聞きたいなら聞くといい」
「その……先ほどお聞きした時は、神々の行いを思わず横暴だと決めつけてしまいましたが、よくよく冷静になれば、異世界人の行おうとしている計画は、私達に何か不都合があるのでしょうか……」
「ほう?」
「私達はずっと鎧獣のいる世界、異世界人が作った神之眼とそこから生まれた生物達と共にありました。はじまりはどうであれ、彼ら異世界の人間が事業とやらでそれを生み出した結果、今の世界があるのも事実です。それに、彼らがこちらの世界に生まれ変わろうと、それが止めなければいけないほどの危機なのかどうか……? いえ、破滅の竜によって世界が滅ぼされるなら別ですし、シャルロッタさんを奪わせるつもりもありません。けれどもそれさえどうにかすれば、他に方法もあるのでは?」
ロッテは真剣な顔で頷いている。
今まではそれでもどこか知識の披瀝を楽しんでいるかのようなところがあったが、それが今のレレケの言葉と共に、徐々に消え去っていった。
「そうだ。まさにそれだ」
「――と、仰いますと?」
「今までの話も全部、これから話す短い内容のためにこそあった。それを理解するための、全ては前提知識だ」
ロッテの声が、幾分か低くなる。
何を――
何を話そうというのか。
「異世界から人間がこちらの世界に生まれ変わろうと、確かにそれだけで済めば害悪はないように思える。問題は、この世界の魂の総量は決まっているという事だ」
「魂の総量、ですか?」
「そうだ。異世界から人間がこちらに来るという事は、分解されないままの魂がそのままの形でこちらに来るという事。しかもそれは、本来有り得ない多層世界間の往来でもある。そうすると世界の霊子総量のバランスが崩れてしまう」
滞りなく流れる水の中に、突然、他と混ざり合わない大量の液体が投入されたらどうなるか?
当然、元々流れていた水は押し出され、決壊して溢れてしまう。
そういうイメージではないだろうかと、レレケは考えた。
「自然な流れの中であれば魂は分解され、霊子は多層世界を循環するのだが――さっきも言ったように、魂の庭園計画が為されると、世の理に反して、この世界へ人為的に魂が流入してくる事になる。一方で世界の霊子の許容量は決まっているから、余剰な魂が自然に反して入ってくれば、均衡は崩れてしまう。となるとこの世界にあった魂はどうなる? 他の多層世界に無理矢理押し出されでもするのか? 違う。そうはならない。世界の均衡が崩れ、この次元そのものが崩壊しかねない事態になってしまうんだ」
「崩壊……。じゃ、じゃあ世界が全部、本当に破滅してしまうと? そんな事をしたらエポスの側にいる異世界人だって――」
「だから受け皿を作ったのさ」
「受け――皿?」
「押し出された魂をストックしておく人為的な〝場所〟だ。そこに魂を収め、多層世界も魂の流れも騙してしまえる。そんな〝場所〟を」
嫌な予感がした。
ここまでの話はまだ良かった。
どれだけ衝撃的でも、途方もない話だとただ驚くだけ。唖然となるだけ。
だがロッテの表情が物語っている。
これから告げるのは、今迄の話が〝ただの驚くべき凄い話〟に思えてしまうほどのとんでもない内容であると。
レレケの背筋が総毛立つ。
彼女の科学者としての本能が告げている。
駄目だ。聞くべきではないと――。
「つまり、私達こちらの世界の人間は、無理矢理に魂を引き剥がされ、その〝場所〟とやらで生きなければならないという事ですか?」
しかし問わずにはいられない。
これこそが、彼女の〝試練〟なのだから。
「理解が早いな」
「その――その〝場所〟とは……?」
頭の中で警鐘が鳴り続けていた。
もういいではないか。ここまで真実を知ったんだ。もう充分だろう、と。
「お前もよく知っている。いや、そのために、この世界はデザインされたと言っていい」
「知っている? その……ために?」
「それは既に、機能している。千年を超えて、ずっと。この世界の人間全員が知るものだ」
予感が繋がった。
想像が結実する。
おぞましい結論が、導き出されていく。
レレケの思考の中で。
「どうして、それは人の形になれるのか。都合の良い――特に戦いの場で都合の良い存在でいられるのか。それはかつて、この世界の人間だったからだ」
「まさか……もしかして……」
彼女の科学者としての本能が、再び告げていた。
今度は激しく、声を荒げて。
駄目だ。聞くな。聞いてはいけない。知ってはいけない。
それを知ればもう――引き返せない。
「これがお前に課せられた最終試練だ。この世界をどうするか。お前が、お前達が結論を出さねばならん」
この時点でもう、気付いてしまった。この先の答えも全部。
最終――その言葉がここまで重みを持つとは、レレケも想像していなかった。
いや、出来るわけがなかった。
「この世界の人間の魂の置き場――それは鎧獣」
人造の生命体。この世界の一部とも言うべきもの。
「鎧獣とは、この世界において、かつて人間だった存在だ。魂の庭園計画の根幹にあるのはその鎧獣だ。そしてエポスを倒す事は即ち、鎧獣の存在を消す事に繋がる」
「何で……」
「選べ、レレケよ。イーリオやドグと共に。エポスの計画を止め、この世界から鎧獣をなくしてしまうか。それともエポスらを受け容れ、鎧獣と共にある世界で居続けるか」




