設定用語集 鎧獣編
本作に出てくる様々な用語をまとめてみました。
※読まなくても、本編は楽しめます。
あれ?あの言葉なんだったっけ?って時に読む用のものです。
これは専門用語の内、〈鎧獣〉に関する用語をまとめた設定集その1です。
★『動物の名称について』
物語冒頭で、イーリオが、動物の名称に疑問を持っているが、これは理由がある。
この世界の動物は、全てある書物に記されており、人々や錬獣術師は、それと照らし合わせているからだ。
つまり、新発見や新種と呼ばれる生物(微生物や植物は除く)は、この世界に存在しない。
この書物を『諸獣目録』という。
諸獣目録は、八〇〇〇巻以上に及ぶ大百科で、この世界で最大規模の図書館にのみ、全巻収蔵されている。
なので、どうしてヨーロッパという地がないのに、ヨーロッパヒグマなどといった種の名があるかというと、諸獣目録に書かれているからである。
尚、鎧獣に錬成出来る動物のみを記載した本もあり、これを『万獣の庭園』という。
これも二〇〇〇巻以上ある。
この二大書物は、一定の期間で増巻されているというが、その詳細は管理をしているエール教という大陸最大規模を誇る宗教の秘事となっている。
★『鎧獣』
錬獣術と呼ばれる、特殊な術により精製された、人造の動物。人間がその身にまとえる(生きた着ぐるみだと思えば良い)。
この世界の生きとし生ける全ての種族には、〈神之目〉と呼ばれる宝石のような結晶石を持った個体が存在する。その〈神之目〉を媒介にして作られた生物。
最大の特徴は、人の全身を覆い、纏う事が出来る。
まとった人間は〈鎧獣騎士〉と呼ばれる。
肉食、雑食関係なく、食物はネクタルという加工品を摂取する。ゆえに、寄生虫や感染のおそれはなく、体臭もほぼしない。精製時の作用により、基本、人を襲う事はない(主の命があれば別)。
外見的特徴は、動物そのものだが、額に〈神之目〉が大きく露出しているのと、授器と呼ばれる鎧を必ず着用させる事が義務づけられている。
〈鎧獣〉になれる動物には条件があり、一つが〈神之目〉持ちだという事。もう一つが、体長が3.5フィート以上(約1メートル)ある事。
後者は、単純に、小型すぎる動物では、まとう事ができないからだ。
なので、ウサギ、ネコ、ツバメなどといった小型動物の〈鎧獣〉というのは存在しない。
★『鎧獣騎士』
〈鎧獣〉をまとった人間の事。
見た目は人獣(狼男みたいな)。鎧を着、額には宝石がある人獣の騎士。
通常の人間を遥かに超えた、超人的な体力、筋力、運動能力を発揮できる。また、鎧に頼らずとも、その外皮と筋繊維は、鉄よりも硬く、同時にしなやかな弾力を持つ。さながら、分厚い超硬質ゴムのようなもの。
その力ゆえ、一体につき、千人の兵にも勝ると言われている。
全ての国家が、この〈鎧獣〉と〈鎧獣騎士〉の質と量で軍事力を競っている。
また、それぞれの動物の種類で、強さや能力、戦法も著しく異なる。
例えば、単純な強さから言えば、通常の動物同様、体格の大きいものが一番強い(ゾウやヒグマなど)。なので、単純に、ライオンや狼などの肉食動物系〈鎧獣〉が強いかと言うと、そうではない。強さの序列は生物界のものと同一。ただし、規格外の〈鎧獣騎士〉もあり、これらはそれに含まれない。
★『授器』
〈鎧獣〉が装着している鎧と武具の事。
〈鎧獣〉時には、四肢、首輪、背中周りなど、一部を覆う鎧状だが、〈鎧獣騎士〉には、形状が変化し、人型の防具と武器に変わる。どちらも授器と呼び、武器の方は、単純に武器授器や、武具授器などと呼ばれる。
〈鎧獣〉の〈神之目〉より放出される白煙を受ける事で、形態を変化出来る。その際は、まるで水銀のように液状に変化する事が確認されている。一種の形状記憶合金のようなもの。
これを制作するのも、錬獣術師の役目。
★『神之目』
この世界のあらゆる種族の生き物が持っている、宝石状の結晶石の事。
〈神之目〉は、原理上、この世界のどの生き物にも宿っていると言われているが、視認出来るほどに固形化されたものを持つ動物は、その種族の中でもさほど多くない。それらは通称、〝神之目持ち〟などと呼ばれている。
この、〈神之目〉そのものを精製する事は不可能で、それらは野生動物を捕獲し、命を奪わないよう、慎重に〈神之目〉のみを取り出される。
野生の〈神之目〉は、額に表れる事が多く、たまに胸部やその他の部位に表れることもある。
野生動物から奪った〈神之目〉は、調合された溶液に入れられ、特別な錬成を行い、〈鎧獣〉が作り出される。〈神之目〉を媒介にし、さながらクローンを作り出すように。
〈神之目〉は、〈鎧獣〉が致命傷で死んでも、または老衰で死んでも、これさえあれば再び錬成する事は可能である。ただし、錬成の際、調合や配合が少しでも異なれば、以前とは能力や性質に違いが生じる。
また、〈神之目〉そのものが破壊されても、再び繋ぎ合わせる事が可能なので、これが〈鎧獣〉の弱点というわけではない。
再生される〈鎧獣〉には限りがあり、通常、5~10回程度で、〈鎧獣〉の再生は止まってしまう。
色や形状は様々。だが、透明度や輝度が高く、いかにも宝石然としたものであればあるほど、強力な〈鎧獣〉が精製され易い。
★『鎧化』
〈鎧獣〉を人間がまとう事。その行為。または〈鎧獣〉が〈鎧獣騎士〉になっている状態の事を指す。
★『白化』
鎧化する際の音声認識。かけ声。「変身!」みたいなもの。
装着者である騎士がこれを言うと、〈鎧獣〉は己の体をムササビのように、または風呂敷のように大きく広げる。そして。額の宝石〈神之目〉から白い煙を発して、装着者を包み込み、〈鎧獣騎士〉となる。
また、白化とは別の音声認識(変形方法)を持つ〈鎧獣〉も存在するという……。
★『蒸解』
白化の逆。鎧化を解除する音声認識。
★『騎士』
〈鎧獣〉をまとう人の事。またはその職。単純に〝駆り手〟と呼ぶ事もある。
騎士階級相当の地位にあるため、こう呼ばれる。実際、騎士の人間が多い。騎士になるための条件はただ一つ。〈鎧獣〉に認められる事。
この行為を〝結印〟と言う。
殆どの〈鎧獣〉は、各国々で管理されており、それは同時に、騎士になるには、それぞれの国から、認可を貰う事に繋がっていた。
騎士は専用の衣服や装備を身につけており、その特徴は、〈鎧獣〉を纏う際、妨げとならないような薄手の衣服が覆いという事。冬場や寒冷地であれば、薄手の服に、ごついコートなどを羽織って、まとう際に、上着を脱いで対処している。
★『結印』
騎士が、自分専用の〈鎧獣〉を決める事。またはその行為。契約みたなもの。
これを行えば、自分以外の他人が白化と唱えても、まとう事ができなくなる。
★『獣能』
〈鎧獣騎士〉が使う特殊能力。
獣能は、どの〈鎧獣騎士〉でも使えるというものではなく、己の〈鎧獣〉と相性が合い、尚且つ、ある程度の経験などを積んだ騎士のみ発動出来る。逆に言えば、獣能が使えるという事は、それだけで経験を積んだ使い手という事を意味する。
(※ザイロウは別物)
特殊能力と言っても、念動力やテレポーテーションなどの超能力的なものでなはく、必ず肉体のどこかを、極端に以上発達させたものになる。
例:ツノの巨大化、筋肉の倍増、神経を鋭敏にする、などなど……。
また、ごく稀にではあるが、非常に優秀な〈鎧獣騎士〉のみ、二つ目の獣能を使えるようになる事もある。これは単純に〝第二獣能〟と呼ばれる。
★『獣騎術』
〈鎧獣騎士〉の武術。
初めて〈鎧獣騎士〉になった人間は、その能力の高さに〝振り回される〟ように感じた事から、そう名付けられた。
様々な攻撃方法があり、大きく分けると、
大別すると、肉食獣型と、草食獣型に分けられる。これは食性ではなく、牙や爪を用いるか、それとも角や蹄を用いるかの違いで、単純に、カバなどの場合は、咬みつきもあるので、絶対にこうというものではない。
技名:
狩撃走:肉食獣型。基本の動き。走り方。
咬撃:肉食獣型。咬みつき攻撃。または咬みつきを織り交ぜた攻撃術。
爪撃:肉食獣型。爪を織り交ぜた攻撃術。
跳撃:草食獣型。ジャンプ。人間の跳躍とは著しく異なる。
駆撃:草食獣型。基本の動き。走り方。
蹴撃:草食獣型。キック。蹴り方は既存の格闘技と異なり、回し蹴り的なものが多い。
などなど……。
★『ネクタル』
〈鎧獣〉の摂る食べ物。加工品。人間も食べれる。味はほんのりフルーティー。人によってはアレルギーを起こす場合もあるので要注意。
ネクタルとは、アムブローシュという、蚕に似た虫が出す排泄物(糞)を薬液に浸して乾燥させ、その後いくつかの行程を経て固形化されたものを指す。
見た目は角砂糖に似ている。
大きさは様々。20センチ四方の大きさのものが一般的。
光を当てると黄金色に見えなくもないので、一部の地方で〝輝きの菓子〟などと呼ばれる事もある。
簡単に言うと、〈鎧獣〉のガソリンみたいなもの。
★『獣屋』
都市部における、〈鎧獣〉の預かり所の事。またはその商売人。
〈鎧獣〉は見た目は猛獣が多いし、体格も大きい。普通に町中を連れて歩けば、いらぬ不安や騒動を巻き起こすので、設置された施設。
〈鎧獣〉を扱う事を許され、都市や国に認可される事が必須。無免許は大罪となる。
信用第一で、滅多な事では裏切らないし、裏切れない。
元・錬獣術師や、騎士くずれなどが、転職でこれになる事がしばしば。
ガルーの洗浄を請け負う所もある。
また、大型のガルーのトリミングなど、洗浄のみで商いをする獣磨屋なども、大都市などでは存在する。
★『帝家鎧獣』
その国の中でも、国王や王族、王家の人間、または大将軍などの特権階級が扱う事を許された、特別仕様の〈鎧獣〉。
ただ見た目が派手というだけで、別段、特殊な能力があるわけではない。
ただし、王族が扱う以上、強力で希少な種類が多く、必然、旗印となる旗幟鎧獣となる事が多い。




