アリシャの聖夜
童話を書くのは初めてです
大丈夫かな…
とある小さな町の寂れた家にお母さんと二人で暮らすアリシャという娘がいました
アリシャはお母さんをよく手伝う優しい子でしたがいつも一人ぼっち
何故なんでしょう
アリシャはお母さんに訊ねました、どうして私を他の子は避けるの?
お母さんは優しく、言い聞かせるように言いました、アリシャ、貴女は他の子とは少し違うの、でもそんなこと気にしないで
アリシャはさらに訊ねました、どうして私は他の子と違うの?
お母さんはさらに言いました、貴女はとても強いのよ、だけど私は貴女が優しい子だと分かっている、きっと皆も分かってくれるわ
アリシャは最後に訊ねました、何で皆は脆弱なの?
貴女が強すぎるのよ
お母さんの言っていることは難しすぎてアリシャにはよくわかりません。
アリシャはお母さんにお礼を言うとお庭のお掃除に行きました
お庭を掃除していたアリシャですが、ここで町の異変に気付きました
皆は綺麗におめかしをして楽しそうに買い物をしています
大変!今日は聖夜祭だったのね!
アリシャは大慌てで掃除を済ませて、準備に取り掛かります
だいたいの準備を終えた後はメインディッシュの材料を買いに行きました
ですが、食べ物を探している時に問題が起きてしまいました
なんとメインで使うはずのお肉を嫌味な野郎のジョデルに買い占められたのです
これには町の皆が怒り、ジョデルに色んなものを投げつけます
ですが既にお肉は全部ジョデルが買ってしまいました
開き直ったジョデルには何を言っても無駄なようです
ジョデルは執事にその場で肉を焼かせると町民へ見せ付けるようにかぶりつきます
溢れ出る肉汁、柔らかく分厚い肉の塊…
それは人々に空腹感を誘うだけでなく、自分たちはあの肉を今夜食べられない、そんな絶望に落とすジョデルの悪魔のような手法でした
高笑いしながらジョデルは帰っていき、町民の皆の姿には楽しそうなものは感じられなくなり哀愁を漂わせて家へと帰っていきます
そこには負け犬の姿しかありませんでした
こんなのいけないわ!そんな負け犬たちへとアリシャは呼び掛けます
しかしそれに答えるものはいません
負け犬の中の負け犬どもにはそんな言葉は通じなかったのです
わん!わんわん!わぉーん!!
しかし優しいアリシャは諦めません
負け犬に分かるように犬語で呼び掛けます
ですが、優しいアリシャの心遣いは負け犬たちには通じませんでした
まさか、虫だったのかしら…
アリシャはどうやらうっかり虫のことを負け犬と間違えていたようです
あいにく虫語は使えないアリシャは、こんなことをしているよりも他にやることがあるわ、とお肉探しに行きました
しかしお肉は見付かりません
ジョデルがきっちりと全部買ってしまったようです
…嫌な奴
それでもお肉を探しているアリシャは冒険者のおじさんたちが何かを話しているのを聞きました
な、なんと近くの森に竜が現れたそうです
それを聞いたアリシャは、まぁ、本当?と驚きます
竜は兵隊さんたちをいつも苦しめる悪い魔物です
皆の聖夜祭の邪魔はさせないわ
アリシャは森へと歩いていきました
雪がちらつきかなりの寒さになってきましたがアリシャは先へ先へと進みます
そして森の奥へと辿り着いたアリシャは大きな竜を見付けました
竜は緑色の鱗に紅い瞳、ギザギザの牙と恐ろしい見た目でアリシャは怯えながらも竜へ話し掛けます
私たちは今日、聖夜祭という大切な催し物があるんです
ですから町を襲わないで帰ってくれませんか
しかし悪い竜の返事は炎のブレスでした
なんて失礼な竜…いや蜥蜴でしょうか
炎のブレスに対してアリシャは幼い頃から熱いものにふーふーすることで鍛えたふーふーで炎のブレスをかき消しました
驚いている蜥蜴にアリシャは買い物で鍛えた脚力で瞬時に近寄ると布団叩きで極めた平手の降りおろしで悪い蜥蜴を倒すことが出来ました
蜥蜴は最後に激しく血を吐くとそのまま横に倒れてしまいます
そして降ってきた赤い雨は幻想的でアリシャはしばらくの間そこで眺めていました
赤い雨が止んだ時にアリシャはあることに気付きました
この蜥蜴のお肉を使えばいいんじゃないかしら
ですが蜥蜴はかなりの大きさ
我が家で食べきれる量ではありません
そこで優しいアリシャは閃きます
そうだ!他のお肉を虫さんたちにもあげましょう!!
しかし、アリシャは町民…いえ虫でしたね…虫とはあまり仲良くありません
どうやって渡せばいいのでしょう
ふとアリシャは聖夜祭の伝説を思い出しました
聖夜に赤い服を着た老人が皆の家にプレゼントをくれる………これだ!!
これは今でも受け継がれ、赤い服を着た人がプレゼントを置いていってくれるという話です。
しかし、アリシャは悲しい事実を思い出しました
アリシャは家に赤い服を持っておらず、今も白い服を…………
な、な、な、なんてことでしょうかー!
アリシャの白かった服はいつの間にか真っ赤に染まっています!
これが魔法なのかしら!神様、ありがとう!!
まさに魔法のようです
きっと神様は頑張りやさんをしっかりと見てくれているのでしょう
今なら何でも出来るわ!
アリシャも張り切っています、楽しい聖夜祭になりそうですね
取り敢えずプレゼントは蜥蜴のお肉ということでアリシャは蜥蜴のブレスを真似てお肉を焼いていきます
頑張っている子は何でも出来るんですね!
辺りも暗くなり、アリシャは行動に出ます
大量のお肉は重いですが、アリシャは頑張ります
まずは同い年のキッマのいる家の屋根に乗りました
キッマはいじめられっ子でアリシャもよくキッマを助けています
強くなってね、とたくさんのお肉を煙突に入れていきます
キッマの家からあがる喜びの叫びを聞いたアリシャは満足そうに頷きながら次の家に向かいました
多くの喜びの叫びを聞いたアリシャは調子良く次へ、次へと廻っていきますがある家に着くと非常に悩むことになりました
あのジョデルの家です
あんなにたくさんのお肉を買ってるんだから渡す必要はないとアリシャの悪魔が囁きます
しかし…
アリシャは悪魔の囁きを聞き流しジョデルの家にもお肉を渡すことにしました
アリシャはとても優しい子なのです
煙突が無かったので偶然窓を開けたジョデルの大きなお腹にお肉を投げつけました
ジョデルはあまりの嬉しさに地面を三回転がると奇妙なポーズ、いえ喜びのポーズのまま倒れ、家の中からは大きな声で騒いでいるようなので邪魔をしたら悪いと次へ向かいました
町中の家を廻ったアリシャは家に帰りましたが、家に帰ってくるのが遅い!その服の汚れはなんだとこっぴどくお母さんから怒られました
ですがアリシャがお肉を頑張って取ってきたというとやはり怒られはしましたが、一緒に雪の降る星空を眺めながらご馳走を食べ、すっかりと聖夜祭を楽しんでいました
もうすぐ深夜なのに町はまだ活気づき、今も多くの人が町を走り回り大声で何かを騒いでいるようです
アリシャは聖夜祭はまだ終わっていないんだなぁ…と少し嬉しそうにお母さんとの時間を大切にしました
ベッドに入ったアリシャはまだ見ぬ赤い服の老人からのプレゼントを期待しています
アリシャの欲しい物はなんでしょうか?
お金?食べ物?アクセサリー?………いいえ
アリシャは友達が欲しいのです
しかし、その老人から貰う必要はありません
きっとお肉を煙突に放り込んだ…いえ!渡した相手はお肉を持ってきてくれたアリシャにひどく感謝するでしょう
アリシャ…あなたに良いことがあるように、と私は願っていますよ
それでは、お休みなさいアリシャ
良き聖夜を…
いい感じに終わらせたぜ!多分…
一時間ぐらいで作った話だからあまり長くは続けられないんだぜ!