第五話
「ならば、お昌の飲んでいた薬は一体なんなのです!? 詐病とか癇癪とか……人を馬鹿にするのもいい加減にして下さい!」
鼓膜をつんざく金切り声を張り上げ、お峰は怒りと興奮に髪の生え際まで赤く染めて清蘭を睨む。
そんな彼女の剣幕に圧倒されたのだろう、清蘭はグッと息を飲みその場に立ち尽くしてしまった。
その清蘭に、『薬に関しては私が』と咄嗟に助け船を出したのは、他でもない伽南だった。
「お昌さんに調合させて頂いた物ですが…… 正確には薬にも勿論毒にもならない代物、米の粉に砂糖を混ぜ、丸く固めただけの偽薬です。お昌さんやお身内の方には、万病に効く妙薬だとお伝え致しました」
「なんだ、薬まで偽物だったのか」
呆れた、と言わんばかりの声色を出した都筑が深く腕組みし伽南を見遣る。
いささか恐縮したように、軽く頭を下げた伽南だが、やがて静かに事の次第を語り始めた。
「清蘭先生からお昌さんについてご相談を受けた時、最初は私も半信半疑でした。 一先ず、腹痛と頭痛によく効く薬を差し上げたのですが、これが一向に良くならない。 お昌さんの様子を知りたくて何度かお会いするうちに、お昌さんから『粉薬ではなく丸薬に変えて欲しい』とのお話しがありました。 理由を聞いても、はっきりした答えはない。なぜ、丸薬にしてほしいのか、私なりに粗末な頭で色々と考えました」
ぽりぽり頭を掻きながら、伽南は照れ臭そうに下を向く。
業を煮やしたように、そばにいた高橋が伽南の方へグッと身を乗り出した。
「それで、理由はわかったのですか? 伽南殿、勿体振らずに……」
「高橋様そう焦らずに。答えはしごく簡単です。丸薬は飲んだふりをして舌の裏側にでも隠しておけば、後から吐き出せる。粉薬だと、そうはいかないでしょう」
「吐き出す? じゃあ、お昌さんは薬を飲んでいなかったって事なんですか?」
海華の問いに伽南は大きく首を縦に振る。
「はい。一度だけ、お昌さんに尋ねた事があります。今の薬は苦くて飲むのが大変でしょう、と。お昌さんは、とても苦くて湯飲み二杯の水で飲んでいる、と答えられました。……清蘭先生の見立ては間違いではなかったと確信しました。私の調合した物は、粉と砂糖の塊です。苦いはずはない」
「でも先生、先生に頂いたお薬は、とても良く効いていました。あれを飲ませると、痛みに暴れていたお昌は静かに……」
恐る恐ると言った様子で顔色の悪い女将が口を開く。
確かに、そう一言返した伽南は、じっと女将を見詰めた。
「それはお昌さんが、そしてお身内の方も薬が本物だと信じ込んでいたからでしょう。万病に効く妙薬だ、そう思って飲めば偽薬も本物の妙薬に変わる。だからお昌さんは、故意に薬を飲まなかった……。ただし、嘘だと知れたらそれまでです」
そう言い終えた伽南は、ひどく悲しげな眼差しを主と女将へ投げ掛けた。
「残念ですが、薬だけでは治せぬ病もあるのです。旦那様、女将さん、私が以前お願いした事を覚えていらっしゃいますか?……少しでもいい、お昌さんと一緒にいてあげて欲しい、 しっかり話しを聞いてあげて欲しい、ご両親の 愛情が最大の薬になるのだと」
『こんな結果になってしまい、本当に残念です』最後にそうこぼした伽南の目尻には、微かに光る物が浮かんでいた。
重苦しい静寂が室内を支配する。
魂が抜けてしまったようにぼんやりと立ち尽くす主と女将、そして伽南へ交互に視線を走らせていた朱王が、静かにその唇を開いた。
「先生、一つだけよろしいでしょうか?」
狭い空間に凛と響いた声色に、全員の目が朱王に集中した。
「はい、なんでしょう?」
「はい、お昌さんが粉薬から丸薬に変えて欲しいと言った理由はわかります。ですが……薬を吐き出していた、という証拠は…… 証拠がなければ全て推測になってしまいます。それでは……」
「証拠ならここにあるぜ」
朱王の言葉を遮り、若い男のくぐもった声が響く。
『あ、志狼さん』と、一言こぼした海華が辺りをきょろきょろ見回すが、室内にも、そして廊下にも志狼の姿は見えなかった。
「ちょっと志狼さん! どこにいるのよ?」
「ここだ! ちょっと……待ってろよ」
そんな台詞と共に、ごそごそと海華の足の下で何やら蠢く気配がする。
驚いて一歩後退る彼女の背中、つまりは中庭に面した廊下の縁の下から、真っ白な埃と粘る蜘蛛の巣をまとわりつかせた志狼が、にゅうと顔を突き出したのだ。
「なんだお前!? そのような場所から……」
「やだ、いつの間に床下になんか潜り込んでたのよ、全然気が付かなかったわ!」
目を丸くし、廊下へ走り出る高橋と海華へ志狼は白い歯を見せにやりと笑う。
そして、埃に軽く噎せ込みながら桐野に向かって手拭いに包まれた小さな何かを差し出して見せた。
「旦那様、やはり縁の下に棄てられておりました」
「そうか。ご苦労だった。高橋、その中身を確かめてみろ」
桐野の命に高橋は小首を傾げつつ志狼から手拭いを受け取りそっとそれを広げ出す。
白い手拭いには、くしゃくしゃに皺のよった薄い紙切れと、半分程溶けかかったカラカラに乾いた灰色の丸薬、正確には丸薬の残骸が山と包まれていた。
「これ! 薬を包んでた紙よ!そうか……吐き出した薬を縁の下に棄ててたのね!」
まるで宝物を見付けたかのように頬を紅潮させ、海華が叫ぶ。
貴重な証拠となるそれを高橋から受け取った桐野は、羽織の袂から木箱を一つ取り出した。
「この中には、伽南殿が調合しお昌に渡した偽薬が入っている。勿論、今志狼が見付けた物と同じ物だ。これでお昌が薬を故意に飲まなかった証拠が見つかったな。……さて、ではこの薬入れを管理し、お昌に薬を飲ませていた者は誰か? 簡単にお昌へ薬と称した毒薬を渡し、尚且つそれを怪しまれない者は誰か……そやつが下手人に間違いなかろう」
お昌へ疑われずに毒薬を手渡せる人物、毎日彼女の面倒をみていた人物……。
全員の視線が、ある一人の女へと注がれた……。
「な……ぜ!? どうして私がっ!? どうして私が妹を殺さなければならないのッッ!!」
ぎりぎりと眉をつり上げ、真っ赤に煮えたぎる怒りを噴出させんばかりに、お峰が吼えた。
「酷い……酷すぎます! お侍様、私は……私の妹は、この男に殺められました! そうよ、この人がお昌を殺したのよっ!」
頬を紅色に上気させ、お峰は伽南をビシリと指差す。
その目尻には興奮のためであろううっすらと涙が浮かんでいた。
「この人が毒を……なのに、私のせいにするなんてあんまりです! こんなの酷すぎる!」
身体全体を揺らし火の様に熱く荒い息を吐くお峰に刺さる全員の視線。
『お峰を疑うなんてあんまりです!』声を戦慄かせ、そう女将が悲痛な声色で叫んだ、その時だった。
「そこまで違うと言い通すなら、今ここで伽南先生の薬が毒薬ではないと証明できればいいのですねっ!?」
今まで冷静を貫きこの場の会話の一部始終を耳にしていた朱王が突然そう叫ぶ。
そして唖然とした様子で彼を見詰める桐野へツカツカと近寄り、その手から薬の入った木箱をさっ、と掴み取った。
「桐野様、無礼をお許し下さい」
そう一礼した刹那、朱王はそこに収められている薬を六粒を包む薄紙を乱暴に引き裂き、ぼんやりと白い光を反射する丸薬を、その口に放り込む。
まさに、あっという間の出来事。
桐野も海華も、その場にいた誰も彼の行動を止める事が出来なかった。
ゴリ……と鈍音を立て、朱王が丸薬を噛み砕いた途端、金切り声の悲鳴を上げて、海華が彼へ掴み掛かったのだ。
「兄様ッ! 兄様なにやってるのよっ!? 出して! 早く吐き出してッ!」
「朱王っ! お前気でも狂ったかっ!?」
ばんばんと兄の体を拳で打ち付ける海華の後ろでは、思い切り目をひん剥いた都筑がこれまた力を込めて朱王の細い肩を前後に激しく揺さぶる。
しかしそんな二人の言葉を無視し朱王は口に放り込んだ丸薬を、ごくりと飲み下し、お峰を睨み付けた。
「この薬が毒薬ならば、私はお昌さんと同様、たちどころに死ぬでしょう。もうすぐ、全ての答えが出る……。皆に見届けてもらうに丁度いい」
地の底を這うが如き低い声色で朱王が呟く。
固く唇を結んだまま、微動だにしないお峰と顔を蒼白にして朱王にすがり付く海華。
ガタガタと震えながら兄の着流しを握り締める彼女の手に、朱王のこめかみから一筋流れ落ちた汗が音もなく滴った。
朱王が薬をあおり、一瞬でその場の時が凍り付く。 刹那が永遠にすら感じる緊迫した時は、茨の蔦と化して海華の心臓をぎりぎり締め付け、すぐそばで朱王の様子を食い入るように凝視する都筑は、滝の汗を滴らせ纏っていた黒羽織を湿らせる。
お昌が飲んだ毒は瞬時に身体全体を犯し、彼女は血を噴き出して瞬く間に悶死した。
しかし、朱王はと言えば、表情はいくぶん強張っているものの、血を噴くのは勿論苦しむ様子一つない。
目尻にうっすら涙を浮かばせる海華は、そんな兄にしがみついたまま、恐る恐るその顔を上げた。
「兄、様……? 大丈夫、なの?」
「当たり前だろう。あれは米粉と砂糖の塊なんだ。 お前、伽南先生の事を信用してないのか?」
『ただ甘ったるいだけだ』そう一言、朱王は安心しろと言いたげに海華の頭をぽんと軽く叩く。
緊張の糸が切れたのか、海華はその場に力なくへたり込んでしまった。
「これで……先生の渡した薬が毒薬ではないと、わかって頂けましたね? 」
抑揚のない声で言い放つ朱王は再び鋭い眼差しをお峰へ送る。
「もしや、伽南先生が毒薬を一粒だけ薬入れに紛れ込ませそれを運悪く貴女がお昌さんに飲ませた……そう仰るなら別だ。だが、そんな確率は……」
「うるさいっっ! うるさいうるさい! もういい加減にしてっ! 私は何も知らないわ! 」
朱王の言葉を遮り、お峰は気がふれたかのように手足を振り回し地団駄を踏み鳴らす。
半狂乱で喚き散らす娘を、両親はただただ呆気にとられ、そして怯えに身を縮こませて、その場から後退るだけだ。
目を血走らせるお峰は、歯を剥き出し、朱王へ更に食って掛かった。
「私が妹を殺して何になるの! 私は……私はもうじき祝言を挙げるのよっ! どうして私が……」
「妹殺らなきゃ祝言が挙げられねぇからじゃなかったのか?」
朱王の隣から響いた一言に、お峰の動きがぴたりと止まる。
固く握り締めた拳はわなわな震え、裂けんばかりに見開かれた目は、朱王ではなく、その隣で畳に座り込んだ海華を支え立たせる志狼へと向けられていた。
「あんたの許嫁に色々と話し聞かせてもらったぜ? あんたとの婚約話し、破談になりかけてたそうじゃねぇか? しかも理由がお昌の事だ。勿論、あんたもその事知っていたんだろう?」
にや、と白い歯を見せ意味深な笑みを見せる志狼。 そんな彼の耳元に、海華はそっと唇を近付けた。
「よく初対面の志狼さんに話してくれたわね?」
「まぁ、な。 ちょいとだけ強引……いや、優しく丁寧に聞き出したんだ」
「なにが優しくよ。半分脅したんでしょうに」
半ば呆れ果てたように呟く海華から身を離し、志狼は表情を凍らせてその場に立ち尽くすお峰へ、とどめの一言を放った。
「あんたの許嫁、こうも言ってたぜ? お昌の葬式が終わってからあんたに呼び出されたと。『これでやっと一緒になれますね』って、あんたやたらと嬉しそうだったらしいな?」
『ぞっとしたと言ってたぜ?』
三日月形に歪む唇から生まれる台詞が終わるか終わらないかのうちに、お峰は最後の絶叫を張り上げどっと 畳へ崩れ落ちていった。
亀裂の入った石垣は、少しの衝撃で呆気なく崩れ落ちる。
それは人も同じこと、畳に泣き伏したお峰は止めどなく頬を伝う涙と共に妹殺しを自白した。
理由は志狼が述べた通り、都築と高橋に両脇を挟まれ、半ば引き摺られるように奉行所へと引き立てられる娘の後ろ姿を、両親は泣きも喚きもせず、まるで魂の抜けた廃人のような眼差しで見送っていた……。
「……しかし、朱王が私の薬を口にした時は、本当に心臓が縮む思いでしたよ」
中崎屋からの帰り道、額に浮かぶ汗を拭き拭き伽南が言った。
桐野は奉行所へ向かい、旅支度のまま駆け付けた清蘭は、一足先に小石川へと戻っている。
太陽の香りをまとう暖かな風が吹き抜ける川辺り、伽南の台詞を聞いた朱王はバツが悪そうに頬を掻き、その傍らに立つ海華と志狼は互いに顔を見合せ苦笑いだ。
「あんな突拍子もないことするなんて、兄様らしくなかったわ。あたし、心臓が止まるかと思っちゃった」
「お前の毛が生えた心臓が簡単に止まるかよ」
そうぼそりと呟く志狼の脇腹に海華の鉄拳が炸裂する。
ぎゃあぎゃあ派手に喚き出す二人を他所に、朱王は風になびく黒髪を掻き上げ伽南に向かい小さく微笑んだ。
「もしも……あの中に毒薬が残されていたらどうするつもりだったのか、先生は、そう仰りたいのでしょう?」
「はい。あの場で清蘭先生に御検死をさせて しまうところでしたよ?」
それは、つまり朱王が骸となっていた時の話し。 そうですね、そう小さく答え、朱王はしっかりと伽南を見詰めた。
「例えそうなったとしても、私は構いませんでした。先生、今、私や海華が生きていられるのは、先生と先生のお父上のお陰です。……この命は、先生に頂いたもの。先生の無実が証明されるためならば、喜んで捨てます。悔いなどありません」
遥か昔、寒風吹き荒ぶ地蔵堂で拾われた。
消えかけた命の光を再び燃え立たせてくれたのは、誰でもない、今目の前にいる伽南なのだ。
朱王の言葉に一緒驚きの表情を見せた伽南だったが、すぐに照れ臭そうに……しかし、嬉しくてたまらないと言いたげに、にっこり破顔する。
「私は、貴方の命を頂ける程の人間ではありません……。でも、ありがとう。今回は朱王、貴方や海華……勿論、桐野様方に助けられました。本当に、本当にありがとう」
所々言葉を詰まらせ、深々と頭を下げる伽南の影が、数多の石ころが転がる瓦に長く伸びる。
顔を上げて下さい、そう伽南を促す朱王の後ろ で、太陽が放つ光の矢が瓦に立つ四人を穏やかに照らし出していった。
「……それにしても、親に構われたい一心で仮病使うなんざ、死んだ妹もずいぶん人騒がせな女だったな」
海華に殴られた脇腹を擦り擦り志狼がぽつりと呟く。
「伽南先生まで巻き込んだのは腹が立つけど、お昌さんの気持ちわからなくもないわ」
鉄拳の仕返しとばかりに志狼に引っ張られ、赤くなった右耳を撫で撫で、そう海華が返した。
めでたく無罪放免となった伽南を実家である桜香屋へと送り届けた三人は、一息つこうと、通りにある小さな茶店の暖簾を潜っていた。
「三つ四つの餓鬼じゃねぇんだぞ? いつまでも親にべたべた甘えてる自体がおかしいぜ」
「そうじゃないのよ、ただ……気立てが良くて器量良しのお姉さんがお嫁に行く事になって、親はお店と嫁入り支度にかかりっきり自分に構ってくれなくなって……寂しかったのよ、お昌さん」
店の前に置かれた長台に腰掛け、ぽつぽつと話し出す海華と志狼を横目に、朱王は三人分の茶と団子を、茜色の前掛けを掛け、注文をとりに来た若い娘に頼む。
表には三人の他に客の姿はなく、店内には団子を摘まみつつ世間話に花を咲かせる中年女の二人連れがいるのみだ。
「きっと……お昌さんに薬を飲ませるのが女将さんだったなら、まめに顔を出してあげていたなら、もっと早くに病は治ってたと思うの」
風になびく髪を片手で押さえ、そうこぼした海華へ、やけに神妙な面持ちに変わった志狼が無言で頷く。
「偽物の薬より、親の愛情が一番効く薬だったのかもな」
朱王がそう口にした時、にこやかな笑顔を振り撒いて茶屋の娘が団子と茶を運んでくる。
いつもならすぐ団子にかじりつく海華だが、今日はなかなか串に手が伸びず、白い湯気が立つ茶ばかりを啜り、同じく湯飲みを手のひらで包む志狼は、そんな彼女にちらちらと視線を投げるだけ。
「……なぁ、朱王さん。それから海華もよ。 ちょっと聞きたい事があるんだが、いいか?」
唐突に唇を動かした志狼の一言に、兄妹の顔が彼へ向く。
すぐ隣に座る海華は、不思議そうな面持ちで小首を傾げた。
「聞きたい事って? なに?」
「もしもよ、あんた達がそれぞれ一緒になりたい奴がいるとするだろ? でよ、あんたの兄貴や妹が気に食わないから結婚出来ない、って言われたらどうする?……なんて、下らん質問だな?」
そう自嘲気味に笑う志狼を他所に、兄妹は互いに顔を見合せ目を瞬かす。
だが、次の瞬間には二人同時ににやりと白い歯を覗かせた。
「確かに、下らない質問ね」
「下らない……と言うより、愚にもつかない質問だ。俺だったら……その場で結婚話しは丁重にお断りだな。海華、お前ならどうする?」
「決まってるじゃない、相手の横っ面一発張り倒して帰ってくるわよ。兄様を気に入らない人となんて一緒になれるわけないじゃない」
けらけら声を上げて笑う海華はやっと自らの皿から団子を一串手に取り、艶やかに光るそれにかじりつく。
この三人が、偽りの薬を必要とする事はないだろう。
麗らかな春が足早に過ぎ去り、やがて過酷な夏が姿を現す。
賑やかに談笑しながら茶を楽しむ三人の近くで、丸々と太った一匹の三毛猫が柔らかな日差しの下、束の間の惰眠を貪っていた。
終




