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回想 ~鈴華編~ (2015年10月8日 訂正)

私は、彼女が好きだった。


「彩。あのね、私高校を卒業したら、東京に行くの」


「どうしたの?急にそんな事言って」


「昨日、学校帰りにスカウトされて、モデルやる事になったの。今はまだ学生だから、撮影とかはこの近くでやってくれるみたいだけど、卒業したら事務所のある東京へ行って、そこで仕事するの」


「そっか、おめでとう!鈴華ならスタイル良いし、モデル似合いそう」


私の話を聞いて、一緒に喜んでくれた彼女。高槻 (タカツキ)アヤ。

高校に入ってから出来た友達。彼女はスタイルが良くて、少し中性的な印象だけど、だからといって男勝りではなかった。


「彩は将来、どうするの?」


「私? 歌手を目指して頑張ろうかと。ボイスレッスンとか、作詞や作曲とかの勉強したいかな」


「彩の歌う歌、私好きだなぁ」


「照れるね、でも有り難う」


彼女は今、軽音部でバンドやっていて、そこのボーカルを務めている。


「音楽の勉強するって事は、東京に来るの?」


私は少し期待をする。


「いや、名古屋でも学校あるから、そこに通う」


「そっか・・・」


私は期待していた分、落ち込んだ。だけど、彩にはこの気持ちを気付かれたくないから、心の奥底に隠した。


「それじゃ、将来お互い有名になって、東京で会う可能性は有りそうだね」


私は、努めて明るく振る舞う。


「そうかもね」






。。。



。。





あれから、2年の月日が流れた。


彼女から、たまにメールがくる。そのたびに嬉しくて、直ぐに返事を送っていた。そして、今日も彼女からメールが届いた。


『鈴華。元気? 私は今度、フランスに行く事になったよ。音楽の勉強をしている時に、意気投合した友達と一緒に、向こうで勉強してくる。鈴華の事は、いつも雑誌やテレビで見てるから、向こうに行っても見れるよね』


メールと一緒に、その友達と撮った写真も送られてきた。写真に写っている彼女と、その友達は仲が良くて、幸せそうに見えた。

気付けば私は、メールを読んでいるうちに、涙を浮かべていた様だった。


「ダメでもいいから、告白すれば良かったな・・」」


この時、私は初めて失恋を経験した。



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