彼女の悩み (2015年10月8日 訂正、改稿)
私は、バイトが終わったので、何時も通りの道で家に帰っていた。
因みに、今日の服装は、白系のワンピースを着ていた。
「今日は、絡まれる心配ないよね」
あの時から、帰り道も変えて、出来るだけ人通りの多い道を選ぶようにした。自宅近くの公園の前を通り過ぎようとして、何気なく公園の方を見たら、ベンチに人影があった。
「変な人だったら嫌だから、早く去ろう」
私はそう思って、少し歩くスピードを早める。しかし、もう一度公園の方を見ると、ベンチに座って居た人は、あの人だった。
私は迷わず、あの人の前まで行くと・・・
「鈴華さん?」
私は、初めてあの人の名前で呼んだ。
「貴女は・・・」
「先程はどうも。私は、天野 遥と言います。それより、どうしてここに居るのですか?」
彼女は、悲しそうな顔をしながら俯いた。
「ちょっとね・・・」
彼女は、言いたく無いらしのか、黙ったままだった。私は、彼女の隣に座り、何も言わず、彼女から話してくれるまで待っていた。
お互い無言のまま、時間だけが過ぎていった。暫くすると、彼女の方から話しかけてきた。
「遥さん、有り難うね。私の為に傍に居てくれて」
「いえ。私なら、大丈夫ですよ」
「だめね・・・もっとしっかりしないと。貴女にも、心配かけてしまったわね」
彼女は、辛そうな顔をしていても、私に笑顔を見せてくれた。
「仕事や私情で色々とあって、気が滅入ってしまってた。それで、沈んでいた所へ貴女が来たわけよ」
「そうなんですか」
この前会った時や、雑誌で見る時は、格好良くて素敵だったけど、今の彼女は、何だかか弱い人に見えて、守ってあげたいと思った。
「あ、あの・・・私の家、すぐそこなので行きませんか?ここじゃ寒いですからね」
「お邪魔じゃない?」
「大丈夫ですよ。私、独り暮らしなので、誰も居ません」
「それなら、お邪魔させてもらうわね」
「はい」
彼女は、私と一緒に公園を出て、私の家へと向かった。
家の中に彼女を招くと、そのままリビングに通した。
「お邪魔します」
「その辺で、寛いでくれて良いですよ」
私はキッチンに行き、コーヒーを2つ淹れリビングに戻り、1つを彼女に差し出した。
「有り難う」
公園に居た時と同じく、暫く無言の時間が続いた。
私は、ふと彼女の方を見ると、彼女は涙を流していた。
「え?あ、あの・・・私、何かしでかしましたか?」
「ごめんなさい・・・ちょっと思い出しちやった事で、泣いてしまって」
「いえ、気にしないで下さい」
「本当にダメね。私、貴女より年上なのに・・・」
「そ、そんな事ないです!」
「有り難うね。こんな私に、付き合ってくれて。実はね・・・」
彼女は、好きな人に振られた事。仕事も上手く行かず、マネージャーに注意されていた事などを、話してくれた。
「そうだったのですね」
私は、傷付いている彼女を、そっと抱き締めた。ビクッと、少し驚いた様子だったけれど、私にされるがまま、大人しくしていた。




